2008/03/15 - 2008/03/15
528位(同エリア615件中)
ちゃおさん
日本の天皇家とタイの王室は戦前から交流が深く、双方の皇室は密な関係を持っている。特に魚類研究家としても著名な今上天皇は、天皇践祚後も2回にわたってタイをご訪問し、秋篠宮様に至っては、毎年のようにご訪問されている。
明治の後半、丁度日露戦争たけなわの前後、仏舎利がタイ王室から日本に贈られることになり、ここ名古屋の地に超宗派のお寺「日泰寺」が建立され、仏舎利を奉納するパゴダも併せて建立された。その経緯については以下のHPで詳しく説明されている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/thailand/jpth120/knowledge/temple.html
http://www.a-namo.com/ku_info/chikisaku/pages_n/nittaiji.htm
このHPには記載されていないが、この「日泰寺」のご本尊は1000年以上の歴史のある釈迦金剛仏で、これも又仏舎利と同時にタイ王室から贈られたものである。
当時タイはシャムの国名で、このお寺も当初は「日暹寺」と呼ばれていたが、その後国名がシャムよりタイに変更されて後、同寺も又「日泰寺」の名称になったものである。
3月の一日、所用で名古屋に行った折り、同寺を訪問する。同寺は地下鉄栄駅から二つ先の覚王山駅にあり、駅名は同寺の山号「覚王山・日泰寺」から採られたものである。
現在の千種区は大名古屋のほぼ中心に近い位置にあるが、明治期のこの頃、この辺一帯は丘陵地であったに違いない。今でもなだらかな起伏のある住宅地の中の参道を歩くと、当時このお寺が周辺の土地より一団と高い場所に建立されたことが良く分かるものである。
参道の正面には大きな二層の山門があり、常の日本の山門には仰々しい阿・吽の仁王・金剛像、広目天、持国天等の如来像が来る者の心肝を試しているが、このお寺の山門にはタイ風というかインド風の阿難(アーナンダ)像と目連尊者の穏やかな表情の立像が日本のお寺にはない優しさを感じさせるものがあった。
境内の正面に大屋根の本堂、右手には奈良興福寺にあるような低減率0.61の五重の塔がすっきり又どっしりと建っていて、この雰囲気は日本的ではあった。
本堂の最奥、薄暗くなっているところに、1000年の由来ある金剛仏が、にぶい金剛の光りを放っていた。由来書には「本尊釈迦如来像」として「明治33年タイ国王チュラロンコーン陛下より贈られた1千年を経たタイ国宝の金剛仏」と記されていた。
境内にある古びた石柱には消えかかった文字で、「この先東2丁」に仏舎利塔があるとの標識がり、それに従って歩いて行くと、又一つ別の丘があり、その奥まったところに、一個の大理石で彫造された高さ15mのガンダーラ様式の仏舎利塔、即ちパゴダがひっそりと建立されていた。
仏舎利殿の前には大きな石碑が3つ並んで立っていて、それぞれ「昭和13年、暹羅両陛下参拝記念」、「昭和38年、タイ国王参拝記念」、「昭和62年、タイ皇太子、日泰修好100周年記念参拝」と印されていた。
早春の一日、朝の陽光の中に日泰友好の思わぬ側面を発見し、また先年読んだ瀬戸内寂聴さんの「釈迦」の一節、80歳になろうとするお釈迦様の生まれ故郷への旅の行状を思い出しつつこの寺を後にした。
さて最後に又タイ語。「大乗仏教」のことを仏教語(梵語)では「マハヤナ」と呼んでいるが、これはインドーサンスクリット語の直訳である。タイ語でも「大乗」は同じ様に「มหายาน」(マハーヤーン)と呼び、「มหา」(マハー)の「大きい」、と「ยาน」(ヤーン)の「乗り物」が合わさった言葉である。
では「小乗」はと言うと、梵語では「ヒナヤナ」。タイの人々は「小乗」とは言わずに「上座部仏教」(เถรวาท・テラワート)と呼んで、むしろ「小乗」よりも高い位置づけをしている。
この「ヒナヤナ」、「ヒナ」(หิน)は「大理石」を意味し、「ヤナ」(ยาน)の「乗り物)であるから、さしずめ「立派なしっかりとした乗り物」という意味で「大きな乗り物」よりは更に上等なものであろう。
サンスクリット語の「マハー」は、「大きな、偉大な」という意味であるが、タイ語の中にも数多く取り入れられていて「大学」の「マハー・ウイッテヤライ」、「大バンコク首都圏」のタイ語表記「クルンテープ・マハー・ナコン」、「大衆」の「マハーチョン」等々、しばしばお目にかかるが、考えてみれば日本でも奈良の「大仏様」、本当のお名は「(摩訶)毘盧遮那」でインド名の「マハー・ビルシャナ(ヴァイローチャナ)」が転訛したものであり、「大日如来」の異称でもあった。そう言えば、「摩訶不思議」の「摩訶」も「マハー」からの転用かも知れない。
インド祇園精舎において誕生した仏教は、方や遠くガンダーラ、中国を経由してここ日本の地において「大乗仏教」として興隆し、方や、海の彼方遥かセイロンより招来された「上座部仏教」は今やタイの地において隆盛している。
今度奈良を訪れた際には嘗てとは違った角度から寺社仏閣を眺められるかも知れないし、これも又タイ語を勉強した一つの効用かも知れない、等々、あれやこれやを思いつつ、名古屋からの帰路についた。
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