2008/04 - 2008/05
5位(同エリア36件中)
風神さん
今回の旅行で最も撮りたかったのは、黒色玄武岩を多用したボスラのローマ劇場、そのスケナエ・フロンスです。
スケナエ・フロンスとは舞台背景の壁面(壁体)のことで、演劇等での視覚的効果と、音響設備の無かった当時、声と音を反射して劇場内の音響効果を高める役割を持っていました。現在もそうですが。
ここのスケナエ・フロンスは他のローマ劇場とは全く違う雰囲気と魅力があります。
構造も複雑で、三ヶ所のへこみがあり、そこが楽屋への入口になっています。
同じような写真が沢山あるとお思いでしょうが、自分なりに事前のイメージに近く撮れたと思う3コマに◎印をつけてみました。条件は
1ありきたりでない構図。
2とにかく「石」しか写っていないのですから、カチッと締まった硬質の画面。
3ただ、それだけでは雰囲気に幅が出ないので、適度な量の影による陰影の幅。
しかしこのローマ劇場には、思わぬ伏兵がいました。
この伏兵、撮影の大敵です。伏兵も写っています。
(コリント式円柱上部の装飾など細部も描写しています。アップロード前のファイル程ではありませんが、元画像で見ていただくと、より楽しんでいただけると思います。)
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ペトラに首都を置くナバタイ王国の出城・砦であるボスラは、AD106年ローマ帝国アラビア属州の州都となり、大規模なローマ式建築が次々建築されました。
なかでも2世紀に建設されたローマ式劇場は最上段に列柱廊を残した完全な形で残存する唯一の遺跡です。
良好な状態で残された理由はこの写真でわかります。
ローマ式劇場としてはいかつい印象です。城塞のようです。
このローマ式劇場、まさに城塞にリフォームされていたのです。
内側のローマ式劇場が、城塞のカプセルに包まれて、保護されていたんです。 -
ボスラは、ペトラに首都を置くナバタイ王国が交易路を守るための「出城」として始まり、さらにローマ帝国支配下、ビザンティン帝国支配下と推移していきますが、交易・巡礼の要地であり、周辺に湧水が多く、広い農地が広がっていたこともあり、一貫して発展を続けます。
ビザンティン時代、AD636年イスラムの勢力がビザンティン勢力をボスラから追い出します。
イスラム勢は、ローマ劇場が要塞にうってつけであることを見抜き、7から13世紀にかけて9基の見張り塔を持つ堅固な要塞にリフォームします。
要塞は2度にわたる十字軍の攻撃を撃破します。
写真ですが、手前の広場とそのすぐ向こうの要塞外壁の間には深い濠(=堀)があります。
(ゴミが多く見苦しいので写真は載せません) -
左右の塔の間にガードレールのようなものが見えますが、これが劇場客席最上段の列柱廊です。
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ちょっとですが大きくしています。
中に入ると良くわかります。 -
展示物を撮ったのではありません。
要塞の入口は本来一箇所だけ、それも深い濠を渡らなければなりません。
その入口は一見行き止まり!それがこの写真です。
ここから堅固な門を破りクランク状に曲がらないと要塞内に入れません。
赤いモザイクのすぐ左に注目してください。縦長のスリットがあり、防御しつつ敵を見張りかつ攻撃できるのです。 -
一応展示物もアップしておきます(笑)
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閉眼の顔、死者?
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階段を上り、上に出ました。
右が要塞、劇場を包むように建っています。
左の黒く潰れているのがローマ劇場本体です。 -
イスラム系の人たちは、宗教上の理由もあり、劇場を本来の目的で使う習慣はありません。
彼らは劇場の通路・階段を使って移動し、要所要所に増設した「渡り廊下」を使って城壁部分に移動したと考えられています。
従って通常のローマ劇場にはない複雑な構造が見られます。
この写真が「渡り廊下」「渡り階段」の部分です。 -
客席最上段にでました。
スケナエ・フロンスの客席から見て左端を撮っています。 -
右寄りを見ています。
画面やや右寄り、スケナエ・フロンスが奥にへこんでいます。この奥が楽屋への入口になっています。
この構造が3箇所あります。
おそらく音響的にも、残響時間が延びるなど効果があるはずです。 -
反対側の観客席は逆光です。
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この階段でオルケストゥラにおりて、舞台に向かいます。
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オルケストゥラからスケナエ・フロンスを見ています。ご覧の通りスケナエ・フロンスは3層で、並んでいるコリント式列柱は高さ26mありましたが、上部はほとんど失われています。
ところで、撮影をしていたらイタリア人女性がオペラのアリアを歌い始めたのです。
じきに夫らしい男性が現れて2重唱になりました。多分ベルディです。
歌い終わると彼女はプリマドンナのように、片足を後ろに引き片腕を大きく前で振ってお辞儀をしました。
けっこう様になっていました。
ただ声はとてもオペラ歌手のそれではありませんでした。 -
この自己陶酔の様子を見てあげてください。
彼女はとても気持ち良かったと思います。 -
客席を見上げています。
客席は下から14列18列5列で、収容人員はおよそ15000人です。
最上段に先ほど場外からガードレールのように見えていた列中廊が望めます。 -
舞台に向かって左側の「へこみ」に入ってコリント式円柱とスケナエ・フロンスを見上げています。
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舞台中央の大円柱4本は、殆ど失われていますが右から2本目の基部装飾は良く残っています。
それが画面手前左半分です。 -
残念ながら円柱の白さは多少失われていますが、
それも趣です。 ◎ -
円柱上部の装飾が見事です。
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青と黒と白!
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スケナエ・フロンス本体の殆どはボスラ周辺で得やすい黒色玄武岩を使っています。
「黒いローマ劇場」という名の元になっています。
円柱はボスラ周辺では手に入らない白色の石材を使用しています。
結果、独特のカラーコンビネーションになっています。 -
スケナエ・フロンス本体の最上部の曲線と、
列柱上部の曲線がリズムを作っています。 -
やはりかなりの高さ、迫力です。
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よく見ると「伏兵」が映っています。
左下部です。 ◎ -
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◎
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中央の「へこみ」です。
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スケナエ・フロンス下の通路です。
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客席の下方向にまわって、
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出口に向かいます。
(あっ、そうだ伏兵、撮影の大敵の話!それはオペラおばさんではありません。それはコードです!ライトアップか実際に演劇等を上演するときの照明のためか、ライトが設置されて、その太い電源コードが無造作に円柱のすぐ横や壁面に垂れているんです。フレームから外すのに苦労しました。円柱の後ろに隠すなどちょっとした配慮と工夫が望まれます。
実際、表紙を除いて24コマ目の左から3本目の円柱の左に太いコードが垂れています。) -
スケナエ・フロンスは「舞台背景の壁面のこと」と書きました。「壁体」と表現している本もあります。
確かにスケナエ・フロンスは壁面というよりはるかに厚みのある大きな構造物です。
よく残されている壮麗・壮大なスケナエ・フロンスの例をひとつ紹介しておきます。
リビアの世界遺産サブラダ遺跡の円形ローマ劇場のスケナエ・フロンスです。
↓他ブログで詳しく紹介しています↓
http://4travel.jp/traveler/bnbnbn/album/10166731/
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