ロシアの地方劇場めぐり　（１）

2007/11 - 2007/11

　ペテルブルグに留学中の2007年11月、ロシアの文化水準の格差をこの目で確認するべく、列車でロシアの地方都市を旅してきました。

　旅のルートは、サンクトペテルブルク→モスクワ→カザン→ペルミ→エカテリンブルク→チェリャビンスク→ノヴォシビルスクです。

　思い立ったが吉日の決行だったので、劇場のチケットはおろか、ホテル予約・夜行列車手配もろくにしないままの出発でしたが、さすが地方都市、意外とどうにでもなるものです。もちろん本命の劇場めぐりも面白かったのですが、それ以外にもなかなか貴重な体験の連続だったので、今回旅行記をお届けすることになりました。

　なお、まさかこれを読んで「私もこんな旅をしてみたい！」と思う方はまずいないと思いますが、これは国内を自由に移動できる就学ビザがあったおかげで実現した旅であって、このようなずさんな旅程では、観光ビザはまず下りないことを書き添えておきます。

◆◆11月6日◆◆　サンクトペテルブルグ出発

　いよいよ夜行列車でモスクワに出発です。今までは2等の4人部屋を使っていたのですが、予算の都合で今回3等の「プラツカルト」に初挑戦です。車両の中にコンパートメントがない、いわゆる雑魚寝部屋ですが、逆に死角がないから安全な気もします。ただし狭い（笑）ですし、特に上段はさらにその上に毛布・荷物置き場の棚が設けられているので、高さ70〜80センチ程度のスペースしかありません。うっかりすると起き上がった拍子に頭を打ちます。

◆◆11月7日◆◆　モスクワ

　何を観るかさえ決めていなかったので、とりあえず地下鉄テアトラーリナヤ（劇場）駅の近くのチケット売り場で市内の公演予定一覧を見て、その場で「オブラスツォーワ記念人形劇場」のチケットを購入しました。ペテルブルグと違って、200ルーブル以上のチケットを購入する場合は手数料として10％とられるのですね。ちょっと損した気分です。

　今日の夜行列車―　今日は2等の4人部屋だからゆっくりできると思ってコンパートメントに入ったところ、私以外はパパ・長男・次男のようなのですが、なんとみんなマッチョでした。吹き出しそうになりましたが、笑ったら何をされるか分からない…どうしよう、ということでなんとかこらえました。

■オブラスツォーワ記念人形劇劇場　“くまのプーさん”

　今回観に行ったのは子供向けの人形劇ですが、「カルメン」「リゴレット」など大人向けのプログラムもありますし、劇場というハコ自体がとても興味深いので、行く価値があると思います。劇場内にマリオネット博物館があり、収蔵品もかなり充実しているので、開演前や休憩時間も退屈しません。公演自体はミュージカルで、登場人物がマリオネットとイメージしていただけたらと思いますが、セリフは全てロシア語なので「ヘラクレス」や「アラジン」など、よく知られた演目でないと分かりにくいかもしれません。

　今回の公演内容に限定していえば、子供向け公演だけあって、子供だましだな〜という印象です。ロシアの「くまのプーさん」は、ディズニーと違ってタヌキみたいであまり可愛くありません（笑）。

エリア その他の都市(ロシア)

◆◆11月8日◆◆　カザン

　朝7：55にタタールスタン共和国の首都・カザンに到着です。駅前にはマクドナルドもあるし、比較的何でも揃っている印象ですが、なぜか駅にもサービスセンターにもシャワーがない！一気にテンションが下がりますが、しょうがないので地図を買って重要そうな芸術施設の場所をチェックします。劇場などは街の中心地にあるのが普通ですが、カザンもその通りで、例えばサーカスはクレムリンの隣、オペラ劇場・コンサートホールは市会議事堂などが位置する官公庁エリアにあります。

　17：55発の夜行列車でカザンを去る予定なので、劇場のチケットは購入しませんでしたが、街中のポスターを見る限り、中国の舞踊団が遠征を行うなど、なかなかバラエティに富んだイベントがあるようです。

　しかし実際に街中を歩きまわって気づいたのは、芸術施設よりスポーツ施設が充実しているということ。

　特にこの日は“バスケットホール”で、地元チームとペテルブルグのチームの試合があるということで16：00位に通りかかったら、すごい人だかりでした。これがタタールの血なのでしょうか。街全体としては、自分のロシア語が通じやすかったり（やっぱりタタールなので、クセのあるロシア語に慣れている様子）、“ＲＩＮＧ”というショッピングモールの雰囲気が日本そっくりだったりと、懐かしさを感じさせる街でした。

（つづく）