重慶　午後6時13分　0016

2006/10 - 2006/10

〜0015のつづき〜

■アメオ＆ハルオ

　ハリファックス空港の入国管理で予想外にたくさんの質問をされて戸惑った。今考えると当然で、滞在先を「友人宅」と書いたからだ。いつも旅行する時は、滞在先未定なのにホテル「シェラトン」だの「ヒルトン」だの書いていた。そうしておけば入国など早く済むのに、今回は毎回やっている事を忘れて正直過ぎた。

　その友人宅に到着を知らせる電話をしたいのだがコインが無い。閉店した空港内ショップの売り子のおばさんに話すと、閉めたレジの鍵を開けて両替してくれた。公衆電話は何度やってもつながらなかったが、隣で電話している女性に教えてもらった。こういう「親切な出会いから始まる国」はうれしい。電話して、その国で会う予定の人と話す瞬間もうれしい。空港シャトルバスを降りた所で友人が待っていてくれた。この瞬間もとてもうれしい。

　友人は「雨男」でオレは「晴れ男」だ。旅をしていて雨で困った記憶が無いのだが今回は雨男の勝ちで、見事に嵐になった。ハリファックス港は景色など何も見えず、海は荒れていて岸に近付くのが恐い。傘の準備をしていなかったので友人にポンチョを借りたが、全下半身徹底的に濡れた。ずぶ濡れなズボンが店の人にバレないようにと思いながらオシャレなレストランでシーフード料理を食べ、再び風雨の中を歩く。

エリア カナダ

■ドライブとペギーズコーブと紅葉のしっぽ

　晴れ男パワーが少し巻き返し、曇り気味のハリファックス。自転車を走らせて東南端にある公園を目指す。富裕層の邸宅を左右に見ながらのサイクリング。ヘルメット義務がうっとうしいが、異国でペダルをこぐのはいつだって爽快だ。借りた自転車をマラッカで壊してしまった経験があるので、

「パンクしたらどうしよう」

という不安を少し持ちつつ。ひぃひぃとなる距離を走り、緑の公園に着く。雨が降った朝のせいか霧がかった静かな森。ジョギングする人、犬の散歩をする人、リスにエサをあげる人、、、数人とすれ違いながら大西洋につながる海の岸に出た。旅を始めてからいったい何回、海を眺めて思ったことだろう。

ずいぶん遠い所まで来たな、

と。

　友人の職場はダルハウジー大学の研究室だ。職場を見学させてもらい、彼のボス（それは研究室の大ボス）の運転でペギーズコーブへドライブ。大西洋に面した岬にかわいらしい灯台が立つ。その後、ボス宅におじゃますることになった。穏やかな碧い海と静かな湖。サイクリングとドライブで、ほんのわずかだが紅葉の終わりのしっぽに触れることができてよかった。なんといっても、国旗に描かれたメープルの国なのだから。

■髪型 as you like

　この年から「旅先の異国で髪を切る」というミニイベントを開催していた。そろそろ髪が伸びてきたので切り時である。たいして店の選択肢があるわけでもない、お金もそんなにかからない方がいい、そんなことで目に入った大通りの美容院に飛び込んだ。一応、

「日本人だが切ってくれるか？」

と、コミュニケーションがうまく取れない事をほのめかして確認したつもりだったが店側では頓着せず、ソファで順番を待つことになった。美容師はオカマっぽい感じで、フレディマーキュリーを1.5倍に太らせた雰囲気。

「どういう風に？」

と当然聞いてきたので「あなたにおまかせします」と言うつもりで「as you like」を遣ったのだが

「これでいいか？」

と最後に確認された時に美容師と同じ髪型になっている鏡の中の自分。「あ、失敗した」と思う、英語スキルの貧しさがゆえ。毎回切り終えた後、美容師と並んで写真を撮るようにしているのだが、横に並ぶと再確認できるシンクロしたヘアスタイル。

（つづく）
http://www.geocities.jp/kanaibon/