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ゴアに到着して、あちこちチェックしたが、結局、宿をカラングートのコンリアに決める。<br />その日は、20年ぶりのカラングートをあちこち歩き回った。<br /><br />1985年と変わっているところもあれば、変わってないところもある。<br />がとにかく、2005年の10月だと、インド人の観光客だらけだったね。<br /><br />つまり、雨季が開けて、まだ欧米人観光客がやってくる直前だったんだ。<br />だから、ビーチにいるのもほとんどがインド人だった。<br /><br />ゴアの前のハンピ遺跡でも、観光バスは僕1人を除いてインド人ばかりだったよ。<br />これからも、インド人の中産階級が激増していることがわかる。<br /><br />翌朝早く、日が昇ると僕は、カラングートの砂浜を南へ歩いていった。<br />1985年には、南のシンケリムビーチまでずーっと歩いていったものだ。<br /><br />ちょっとしたホテルの海沿いのカフェでビールを飲んだ。<br />そこへいく途中で、ちょっと気になるモニュメントがあったんだ。<br /><br />最初に来たときとは違って、砂浜にはいやに漁船が多かった。<br />全世界で魚の消費量が増えているらしいが、ゴアのビーチに、これだけの漁船があるのにびっくり。<br /><br />びっくりするだけならかまわないが、静かなはずの砂浜に漁船が引き上げてあるのは困る。<br />わざわざ船をよけて歩かなければならないからね。<br /><br />歩いていると、僕が1985年に見たものがあった。<br />それは、海に向かって立っている十字架だ。<br /><br />ただ僕の記憶とは違う。<br />僕の記憶では、台座は白く十字架は青かったはずだ。<br /><br />僕はその記憶で、1986年の年賀状にプリントゴッコでこの十字架を描いた。<br />カラングートから南へ歩いてきたのは、実は、この十字架の写真を取るためだった。<br /><br />ただ、十字架が茶色だと、良くないんだよねー。<br />だから、今までこの写真を封印してたんだけど。<br /><br />最初に来た時は、ビーチはどこまでもまったいらだった。<br />漁船もほとんどなかった。<br /><br />僕は、「ゴアの海岸に立つ十字架は、ゴアを愛してここでなくなったヨーロッパ人の若者の家族が立てたものだろう」というストーリーが自然と浮かんだ。<br />ただ、今ではすぐ近くまで、掘っ立て小屋のレストランが迫っている。<br /><br />これだとそういうロマンチックな物語は語りにくい。<br />しかも十字架が茶色じゃね…。<br /><br />やはり、ゴアの十字架の色についても、気を使ってほしいものだ。<br />僕の考えでは、もともとは白い土台に鮮やかなブルーの十字架というステキな色だった。<br />それを誰かが、余ったペンキで十字架を茶色に塗っちゃったんじゃないかな。<br />まあ、案外そういう単純な話なんだよ(涙)。<br /><br />ゴアには、あちこちに十字架が立っている。<br />それはおそらく、まだ観光客がそれほど多くなかった時代。<br /><br />ゴアに魅せられて、ヨーロッパや米国からやってきたセレブな家庭の若者が、何かの理由でここでなくなった。<br />親が子供のことを思って、いつまでもゴアに魂が残るようにと立てたものじゃないかな。<br /><br />それは、僕の勝手な思い込みなのだが。<br />その魂も、今のゴアのように、観光客が溢れているようなところならば、永遠に見ていたいとは思わないかも。<br /><br />でも今がどうあろうとかまわない。<br />なくなった若者の心は、もちろんそのころの世界の最先端だったゴアの想い出を持ったままだ。<br /><br />そのまま、十字架の下に眠っている。<br />僕は最初のインド旅行から二十数年たって、またゴアにやってきた。<br /><br />昔ゴアで会った欧米人、日本人の若者たち。<br />魅力的だった、そのころ年配の人たち。<br /><br />今はどうしているだろうか。<br />僕は生きているが、そんなに遠くない将来に、この世を去るだろう。<br /><br />誰が幸せで、誰が不幸だったか。<br />それは、わからない。<br /><br />人はただ、生まれて死んでいくだけだ。<br />その人生を誰も判断はできない。<br /><br />【旅行哲学】人はいつか死ぬ。墓がどこにあろうと、死んだ人には関係ない。<br /><br />http://www.midokutsu.com/2005/cross.htm

海岸に立つ十字架を見る@ゴア/インド

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2005/10 - 2005/10

76位(同エリア84件中)

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん

ゴアに到着して、あちこちチェックしたが、結局、宿をカラングートのコンリアに決める。
その日は、20年ぶりのカラングートをあちこち歩き回った。

1985年と変わっているところもあれば、変わってないところもある。
がとにかく、2005年の10月だと、インド人の観光客だらけだったね。

つまり、雨季が開けて、まだ欧米人観光客がやってくる直前だったんだ。
だから、ビーチにいるのもほとんどがインド人だった。

ゴアの前のハンピ遺跡でも、観光バスは僕1人を除いてインド人ばかりだったよ。
これからも、インド人の中産階級が激増していることがわかる。

翌朝早く、日が昇ると僕は、カラングートの砂浜を南へ歩いていった。
1985年には、南のシンケリムビーチまでずーっと歩いていったものだ。

ちょっとしたホテルの海沿いのカフェでビールを飲んだ。
そこへいく途中で、ちょっと気になるモニュメントがあったんだ。

最初に来たときとは違って、砂浜にはいやに漁船が多かった。
全世界で魚の消費量が増えているらしいが、ゴアのビーチに、これだけの漁船があるのにびっくり。

びっくりするだけならかまわないが、静かなはずの砂浜に漁船が引き上げてあるのは困る。
わざわざ船をよけて歩かなければならないからね。

歩いていると、僕が1985年に見たものがあった。
それは、海に向かって立っている十字架だ。

ただ僕の記憶とは違う。
僕の記憶では、台座は白く十字架は青かったはずだ。

僕はその記憶で、1986年の年賀状にプリントゴッコでこの十字架を描いた。
カラングートから南へ歩いてきたのは、実は、この十字架の写真を取るためだった。

ただ、十字架が茶色だと、良くないんだよねー。
だから、今までこの写真を封印してたんだけど。

最初に来た時は、ビーチはどこまでもまったいらだった。
漁船もほとんどなかった。

僕は、「ゴアの海岸に立つ十字架は、ゴアを愛してここでなくなったヨーロッパ人の若者の家族が立てたものだろう」というストーリーが自然と浮かんだ。
ただ、今ではすぐ近くまで、掘っ立て小屋のレストランが迫っている。

これだとそういうロマンチックな物語は語りにくい。
しかも十字架が茶色じゃね…。

やはり、ゴアの十字架の色についても、気を使ってほしいものだ。
僕の考えでは、もともとは白い土台に鮮やかなブルーの十字架というステキな色だった。
それを誰かが、余ったペンキで十字架を茶色に塗っちゃったんじゃないかな。
まあ、案外そういう単純な話なんだよ(涙)。

ゴアには、あちこちに十字架が立っている。
それはおそらく、まだ観光客がそれほど多くなかった時代。

ゴアに魅せられて、ヨーロッパや米国からやってきたセレブな家庭の若者が、何かの理由でここでなくなった。
親が子供のことを思って、いつまでもゴアに魂が残るようにと立てたものじゃないかな。

それは、僕の勝手な思い込みなのだが。
その魂も、今のゴアのように、観光客が溢れているようなところならば、永遠に見ていたいとは思わないかも。

でも今がどうあろうとかまわない。
なくなった若者の心は、もちろんそのころの世界の最先端だったゴアの想い出を持ったままだ。

そのまま、十字架の下に眠っている。
僕は最初のインド旅行から二十数年たって、またゴアにやってきた。

昔ゴアで会った欧米人、日本人の若者たち。
魅力的だった、そのころ年配の人たち。

今はどうしているだろうか。
僕は生きているが、そんなに遠くない将来に、この世を去るだろう。

誰が幸せで、誰が不幸だったか。
それは、わからない。

人はただ、生まれて死んでいくだけだ。
その人生を誰も判断はできない。

【旅行哲学】人はいつか死ぬ。墓がどこにあろうと、死んだ人には関係ない。

http://www.midokutsu.com/2005/cross.htm

  • ゴアのビーチに立つ十字架。

    ゴアのビーチに立つ十字架。

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