1996/10 - 1996/10
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みどりのくつしたさん
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この僕の東欧縦断旅行(1996)は、実は、「世界旅行者旅行国数百カ国超え、2回目の世界一周旅行(1996)」の、ごく一部でした。
東欧の国々は、1989年から次々に社会体制を変え、その余波がやっと落ち着きかけたという時代。
日本人が旅行をするにもまだ、ビザが必要とされていて、ビザを取るのが面倒だったりした。
海外個人旅行者もほとんど見かけない。
英語が通用する国も多くなかった。
海外個人旅行者用の安いホテルやゲストハウスも、まだまだ整備されてない、そういう時代。
これまでの、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、と移動した旅は、正直、心地よくなかった。
フィンランドはとにかく物価が高かった。
エストニア、ラトビア、リトアニアは、(ナイショの話だけれど)ほとんど見るものがない。
続く、ポーランド、スロバキア、ハンガリーでは、東洋人に対する敵意が感じられた。
実際に人種差別としか思えない扱いを受けたしね。
チェコの場合は、昼間に通過しただけなので、そこまでははっきり断定できないだけだ。
そして到着したルーマニア。
ところがルーマニアは、これまでと全く違っていた。
ルーマニア人は、人が明るくて、純朴なのがいい。
さらに、誰でも一応英語が通じるんだ。
ルーマニアに入った最初の町オラディアでも、誰でも英語が通じた。
じつはこれは、独裁者チャウセスクが米国と仲が良かったせいなんだよ。
だからルーマニアの教育では、英語が集中的に教えられていた。
オラディアからシギショアラの鉄道では、コンパートメントで一緒になった美女と、英語で話ができた。
彼女に、シギショアラへの到着も教えてもらったしね。
シギショアラという町は、世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)が滞在したことがどうやら理由となって、1999年に世界遺産に登録された。
でも僕が居た1996年には、観光客はほとんど見かけられない、静かな中世の町のままだった。
これから進む予定の、ルーマニアの首都ブカレストは、あまりいい噂を聞いていない。
「TIME」誌にも、ブカレストの駅の地下道に住み着いている少年の記事が載っていたくらいだ。
ブカレストも見るものとしては、チャウセスクが建設した巨大宮殿くらいのもの。
ブカレスト自体はそんなに長居したいところではない。
そのあとは、多分、ブルガリアを抜けて、一気にイスタンブールへ行くだろう。
イスタンブールは、僕は1988年に二回も訪れたことがある。
イスタンブールへ行けば、土地勘もあるし、のんびりできるはずだ。
とすれば、東欧縦断の途中で、シギショアラでちょっと身体を休めるのは、理屈にかなっている。
そう考えた僕は、僕が大いに気に入った「HOTEL STEAUA」にしばらく居ることにした。
シギショアラは、ドラキュラ伯爵が生まれた町。
そして、近くには、ドラキュラ城(ブラン城)が存在するという。
だとしたら、ドラキュラ城へ行くのは当然。
「Lonely Planet Eastern Europe(3rd edition)」によると、ドラキュラ城へは、ブラショフからバスがあるらしい。
シギショアラからブラショフへは、鉄道で簡単に行けるようだ。
シギショアラの町中にあるCFR(鉄道切符売り場)で鉄道を調べてみる。
すると、2時間もあれば、移動できる。
前日に切符を買った。
インターシティの予約(wagon1 seat36)を取ると、料金が17,890レイ(600円)。
インターシティは、午前6時44分に出て、ブラショフ到着が8時21分予定だった。
それにしても、ドラキュラ城は世界旅行者としては、どうしても訪れなければならない。
東欧を縦断したとして、普通の人が知っているのは、ドラキュラくらいしかないよ。
ポーランドの首都ワルシャワや、ハンガリーの首都ブダペストだって、ほとんどの日本人は興味を持たないだろう。
でも、ドラキュラの名前は誰だって一度くらい聞いたことがある。
そこで「ドラキュラ城へ行った」というのは、とてもポイントが高いわけだ。
とすれば絶対に、ドラキュラ城へ行かなければならない。
だっていま、ドラキュラで有名な、ルーマニアのトランシルバニア地方に居るのだからね。
トランシルバニアへやってきて、ドラキュラ城を見なければ、そりゃ旅行をする意味がないよ。
だからなのか、胸が高鳴って、早朝から何度も目が覚めた。
列車の時刻に合わせて、午前5時半に起きる。
ホテルから鉄道駅へ歩いて10分ちょっと。
ルーマニアの地方の駅というのは全く親切さがない。
だから、どのホームへ行けばいいのか分からない。
でもいろいろ聞くと、2番線とのこと。
インターシティにもなると、到着直前にちゃんとアナウンスはあったけどね。
コンパートメントに入ると、英語のしゃべれるルーマニア美女とまた2人きりだった。
僕が旅をすると、その地方ごとに美女と話せるように神が設定しているようだ(笑)。
列車は午前6時42分にシギショアラを出て、ブラショフ到着が予定より5分遅れの午前8時26分。
ブラショフ駅で、トイレを使うと、これが400レイ(12円)。
ブラショフの鉄道駅は町の中心からちょっと離れている。
市バスの往復切符(700レイ/21円)を買って、4番の市バスに乗る。
地図を見ながらバスに乗っていて、町の中心らしいところ、つまり「CAPITOL HOTEL」が見えたところでバスを降りる。
ガイドブックには、ブラン城へのバスが図書館前から出るとあったのでそこで待つ。
普通なら僕はもちろん、観光案内所で確認する。
だが、まだ午前9時前だったので案内所が開いてなかったんだ。
しかしやってきたバスは、ブラン城へは行かない。
通りかかった上品な老夫婦にブラン城への行き方を聞く。
すると、「世界旅行者よ、私たちがお前をドラキュラ城へ導こう!」という返事だ。
一緒に5番のトロリーバスに乗って、別のバス乗り場へと移動。
午前9時半ごろに、大型の赤いバスがやってきた。
ブラン城への値段は、1400レイ(40円程度)。
バスに45分くらい乗ると、ブラン城へ到着した。
僕を誘ってくれた老夫婦に感謝の言葉を述べる。
すると、「私たちは旅行の神だ。お前を導くために待って居たんだよ」という答えが返る。
「世界旅行者よ、ドラキュラ城では特別な使者がお前を待っているだろう」と、告げる。
僕は神の導きに感謝して、バスを降りる。
バスを降りたのは僕1人だけ。
「ドラキュラ城なんかをわざわざ見に来る人は居ないんだろうなー」と、僕は思う。
でも、すぐにそれが大間違いだとわかった。
ここはちゃんと、ブラン城、博物館、民族村まで揃っている、立派な観光地だった。
結構広い駐車場には、大型観光バスが数台並んでた。
旅行シーズンには、観光バスに乗ってツアー客が押し寄せているのだろうね。
10月も半ばになって、いまはちょっと観光客が少なくなったという感じだ。
入場料が8000レイ(240円)。
とにかくブラン城へ入る。
お城自体は、特に興味のあるつくりではなかった。
この山中のブラン城は、もともとは、トランシルバニアを通行する商人から、税金をぶったくるところだったらしいね。
ツアーの集団がガイドの説明を聞いて、ワイワイと通り過ぎると、あとはとても静かだ。
僕は1人で、このお城の声を聞いて歩いていた。
すると、突然魔女が僕の前に出現する。
「あなたは世界旅行者さんですね。こちらへどうぞ」と、ささやく。
僕を、一般客の通る通路から離れた、秘密の小部屋へと導いた。
そして、「あなたは世界旅行者さんですね。それならば…」という。
なるほど神は、僕をここに導いて、魔女と出会わせたのか。
そして魔女の、次の言葉は、僕を驚愕させずにはおかないものだった…。
(続く)
【旅行哲学】神の導きによって、トランシルバニアの古城を訪ねると、魔女がささやきかける。
http://www.midokutsu.com/europe/bran.htm
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