2006/07/26 - 2006/07/26
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night-train298さん
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7月26日(水)San Vicente de la Barquera 21.7km
七時半に起きて、しぶしぶ支度をはじめる。
しぶしぶ・・・なのは、睡眠時間が少なかったせいもあるが、自転車組というのは、必ずと言っていいほど出発が遅いし、今まで出会った仲間たちから離れて、先を急いで一人で歩いていることが、いやになってきたのである。
外は霧雨。
なおさらである。
ポンチョを着込み、緑の道に目をやると、草花は雨露に覆われて、いっそう緑を増し、風に揺れるさまが美しいのである。
何度も立ち止まり、写真を写して歩くものだから、なかなか進まない。
でも、こんな風に夢中になっている時が、一人でいて楽しい時間なのである。
さっきまでの悶々とした気持ちが晴れてきた。
そして、目の前には分かれ道。
矢印はない。どちらに行くべきか迷っていると、右手上方に平行してある車道を、また、ジャンピエールおじさんが歩いているではないか!
向こうも気がつき、手を振った。
私もそっちに行ってみようかな。
するとそこにあった一軒家から、おばちゃんが出てきて、巡礼路はこっちだよ!と、反対の左手の道に行くように勧められてしまった。
この辺りにはずっと家などなかったのに、その家のおばさんが出てきて言ってくれるのだから、きっと何か意味があるのだろう。
私は田舎道を歩くことにしよう。
ジャンピエールおじさんも、了解したらしく、次の町であるComillasで会おうと、遠くから言ってくれた。
雨が止み、Comillasに着くと、ここも観光地のようで、人がたくさんいる。
そこへ昨夜一緒だった自転車の二人も通りがかった。
そして次の瞬間だった。
あっ、ジャンピエールおじさんが50センチほどの目の前を歩いているではないか!
いつから私の目の前に来て、歩いていたのか。ジャンピエールおじさんにも私にもわからない。
いつも目の前に出現するか、ばったり出くわすのである。
ジャンピエールおじさんは、足の調子が悪いらしく、今日はこれからマッサージに行くのだそう。
そのために、遠回りの田舎道を避け、今は幹線道路を歩いているのだった。
ジャンピエールおじさんとはそこで別れ、barでタコのサラダや小さな貝をつまむ。その貝を食べるために、店の人はコルクに刺さった虫ピンを持ってきてくれた。
この針でなければ、食べられないほど小粒な貝なのだが、味はしっかりしており、ビールのつまみにはもってこいだった。
お店の人と話をし、ガウディの建築物の場所を聞いた。
ここではそれを見ていくことにしよう。
巡礼路から、少し外れたところに、ガウディの建造物はあった。
今はレストランとして使われているようだが、今回は外から見るだけにした。
ひまわりがたくさんあしらわれ、おとぎの国のお城のようなかわいらしい館だった。
町を出ると、車道の隣にサイクリング道があり、そこを歩いていく。
もう、眠くて限界だった。
睡眠不足が祟ったのだ。
そばにあったベンチで一眠りすることにしよう。
このあとの12kmも長かった。
そして今日の目的地であるサン・ヴィセンテに着いたのは、夕方6時だった。
インフォメーションに行き、巡礼宿の所在地を聞いた。
向かい側の道を入って、すぐ左に折れ、ずんずん登って行けば良い。
かなりの登りである。
町が見渡せる、丘のてっぺんの教会の隣にアルベルゲはあった。
そこまで上がると、今度は反対側の小さい湾を見渡すことが出来、とても景色が良い場所だった。
中に入ると待っていたのは、ソフィアとマリーローの親子だった。
ソフィアがこのアルベルゲの世話人で、マリーローは、週末だけ手伝いにやって来たと言う。
二人は私をみつけると大騒ぎ。
一刻も早く荷を下ろして、水を飲みたいのに、質問攻めでなかなか休ませてくれない。
話していると、サンタンデールで出会った、自転車の女性から話を聞いていたらしく、彼女の名前が出たり、以前に泊まった日本人巡礼者の話になったり。
なかなか受付さえしてくれない。
部屋に辿り着くまでに、一時間近くかかった。
メールチェックに行きたかったので、早めにシャワーと洗濯を済ませ、山の下に下り長い橋を渡り、ネットカフェを探し当てる。
そこでジュースを飲みながら、メールチェック。
今夜はソフィアおばさんが、夕食の支度をして待っているはずだ。早く帰らねば。
さっとメールをのぞいて、トンボ帰りで再び丘を登って行く。
今日の宿泊客は、男性3人、女性4人。みんなピコス・デ・エウロパ(ヨーロッパ)に行く登山客のようだった。
一昨年、スペインを旅行するなら、ここに行くといいと、勧められた美しい地域であった。
このアルベルゲを通過する人は、三通りあるという。
ひとつは私のようにに、Camino de Santiagoの巡礼者、
もう一つは、このピコス・デ・ヨーロッパに出かける足がかりにする人。
そしてもう一つが、ピコス・デ・ヨーロッパを含むサント・トリビオという巡礼路を歩く人々だった。
(後日再訪し、私もこの道を歩いた。)
この巡礼路も、やはりこのサン・ヴィセンテを通る。たまたま今年はその道の聖年にあたるため、ここ、カンタブリアでは特に、巡礼を応援してくれており、どこでもメイグリーンに赤字で染め上げられた旗が舞っているのであった。
http://www.jubileolebaniego.com/jubilar.htm
食事は、野菜たっぷりのスープに始まり、トマトのパスタ、サラダだった。
スープは絶品だった。
全員がテーブルを囲む。ソフィアは面倒見が良く、大家族の肝っ玉母さん風だ。
後片付けは、私たちが行う。
ソフィアの娘、マリーローは、ふだんはサンタンデールに住み、働いている。
とてもフレンドリーな親子で、すっかり仲良しになってしまった。
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