1988/09 - 1988/09
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みどりのくつしたさん
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チューリッヒで21日有効のユーレイルパスを購入してから、オナニーを覚えたばかりの中学生の右手のようにように、ひっきりなしに動いている。
昔は「ヨーロッパではユーレルパスを購入出来ない」という日本のガイドブックの嘘を信じていた。
自分でも「旅行というのは一カ所にじっくり留まって、そこを歩き回り、その土地の良さを肌で感じるということなのだ。ユーレイルパスを使ってヨーロッパ中をただ動き回るというのは本物の旅行じゃない」とまで言い切っていた。
チューリッヒでユーレイルパスを持っている学生に出会った時は、おせっかいにも「君の旅行は間違っているね!」と説教してあげた。
しかし、いったんパスを手に入れてしまえば、人はがらっと変わる。
パスを手にしてからは急に動きを速めて、これまでの2週間で、スイス〜西ドイツ〜デンマーク〜ノルウェー〜スウェーデン〜フィンランド〜スウェーデン〜デンマーク〜東ドイツ〜西ドイツ(西ベルリン)〜東ドイツ〜チェコスロバキア〜西ドイツと旅して、昨日ライン川を下り、ケルンの大聖堂を見て、暗くなったころアムステルダムに着いた。
アムステルダム中央駅前の大きな観光案内所が閉まる直前だった。
外は真っ暗なのに、観光案内所(VVV)だけが明るく光っている。
9月も終わりだと言うのに、思ったより観光客が多い。
ホテル予約のカウンターには長い列が出来ている。
正直言うと、ヨーロッパの旅行に関しては、ホテルの心配をする必要はない。
という意味は、自分でホテルを捜してうろうろ動き回るより、どこに行ってもまず観光案内所があるので、そこで紹介された所に泊まるのが一番間違いがないのだ。
ミュンヘンの観光案内所で出会った女の子は友達から紹介された(といっても友達がただ一泊したというだけなのだ)ホテルに泊まると言い張った。
僕がこの女の子に声をかけた理由は、一人でビアホールに行きたくなかったからだ。
ミュンヘンでは観光客はヒトラーがミュンヘン一揆を起こした有名なビアホール「ホーフブロイハウス」に行くに決まっているのだからね。
彼女と機械じかけ人形のある時計台で有名なマリーエン広場で待ち合わせしたが、すっぽかされたかと思ったほど遅れてきた。
僕が案内所で紹介して貰ったホテルに直行してすぐ落ち着けたのに対して、女の子は友達が紹介したホテルに自分で直接行った。
しかしそこがいっぱいで泊まれず、又もう一度観光案内所に戻ってホテルを紹介してもらったのだ。
それからシャワーを浴びたり、(魅力的な中年男性とお酒を飲むのだから、当然)パンティーを選んだりするのに時間がかかったということなのだ。
その後2人で「ホーフブロイハウス」へ行った。
案の定1リットルのジョッキを3つと、女の子の余ったビールまで飲み干して酔っ払ってしまったので、せっかくシャワーを浴び下着を替えて来た女の子には期待はずれで、ホテルに誘うこともしなかった(ごめんね!)。
僕は普通のSEXよりもお酒が好きなのだよ。
さて、アムステルダムに着いて、もしこの観光案内所が開いていなければ困る訳だが、さすが観光施設が整ってるオランダなのでずいぶん遅くまでやっている。
ここが閉まっていたら、鉄道を使ってそのままどこかに行ってしまえばいい。
VVVで紹介されたのはホテルリーガル、一泊シングルルームで朝食込み45ギルダーと紹介料が 3.5ギルダー。
この時の交換レートはだいたい1ギルダーが70円。つまり全部で3400円。
特に安くはないが、駅から本のいっぱい詰まった僕のバックパックを背負って歩いて行ける距離だし、ドイツに比べれば高くはない。
経営者は中年の太ったインド人だ。
地下が食堂になっていて朝食が取れるようになっている。
僕の部屋は狭い階段を上った3Fの隅の部屋で、全てがきちんとした小綺麗なドイツの部屋に比べればぐっと落ちるが、元々部屋を楽しむつもりも時間もない。
どうせ一泊しただけで、明日は又列車に乗るつもりだ。
ユーレイルパスを持っていたら一所にとどまるだけで大金を失っていることになるんだからね。
マネージャーに道を聞いて、アムステルダム一番の観光名所「飾り窓の女」を見学に行くことにする。
観光旅行には基本があって、ミュンヘンは「ホーフブロイハウス」、アムステルダムは「飾り窓の女」を見ることと、決まっている。
日本で言えば、長崎はオランダ坂、金沢は兼六園、奈良は東大寺、京都はDX東寺といったようなものだ。
これを逃したら、観光旅行している意味がない。
ギリシアのロードス島で出会った日本人カップル(#3「イアリソス船上のカップル」参照)の話によると「アムステルダムは世界中の訳の解らない人たちの吹きだまりで、薬も女も何でもあり、誰も他人のことを気にしない過ごし安い所」だそうだ。
観光案内所でもらった地図を見ながら歩く。
途中で感じの良さそうなバーを見つけて入る。
カウンターの、30代後半の昔は結構奇麗だったが今は崩れかけた白人女が男の客と話しているだけで、他は誰もいない。
1パイントのビールが5G(350円)。
女は僕にどこから来たのかと英語で聞く。
ドイツ人も英語がうまいけれどオランダ人には適わない。
僕が日本からだと答えると、当然といった顔で「薬が欲しいの?」と聞いてくる。
さすが、アムステルダムだ。
噂通り何でもありだ。
でも僕は昔ネパールのポカラでガンジャクッキー(ハシシ入りのクッキー)で、女の子と問題を起こしたことがある。
それを理由に女の子から肉体を要求された。
あわてて助けを求めて日本大使館に駆け込んで以来、薬には手を出さないことにしている。
親切な申し出を断って、飾り窓の場所を確かめて歩きだす。
人けのないがらんとしたダム広場を通り過ぎ、飾り窓地域に入る運河を渡ろうとするちょっと手前に、屋台があるのを見つける。
お腹が減っているので春巻を頼んでビールがないのかと聞くと、この店は酒販売のライセンスがないのでこっそりカウンターの下からハイネケンの缶ビールを出してくる。
春巻とビールで合計 4.5G。
さてやっと運河沿いの飾り窓ゾーンに入った。
びっくりしたのは言葉の通りに飾り窓に赤い照明がついていて、本当に窓があって、本当に目の前に女の子がいて、女の子と客が直接交渉していることだ。
話がつけば窓から見える部屋の中に入って性行為を行うようだ。
だからカーテンが下りている部屋はその奥でSEXをしているということなのだろう。
こんな状況では外が気になって楽しめないのではないか。
まあ、外から覗かれていると想像するとすごく刺激的だが、みんな僕のような考えだとは思えないし。
噂では日本人の女もいるということだが、それらしい女を捜しても見つからない。
白人もヨーロッパ人ではなくて、どうやら中南米からきているような感じがする。
愛のないSEXはしないというのが僕の主義だし、外人の女は好きじゃないので、見学して話の種を作っただけで、何もせずに帰ることにする。
うろうろしていると中華料理屋を見つける。
メニューに「牛肉入りヌードル」を見つけて頼むが、出てきたのはグロテスクな「モツ入りそば」だった。
気持ちが悪くてモツは食べられなくて、でもお腹はすいているので、我慢してスープをすする。
結局悟ったのだが、アムステルダムは出来の悪い新宿みたいな町なのだよね。
ホテルへ帰る途中に、もう一度アムステルダム中央駅に寄る。
明日の朝の列車の時刻を確かめなければいけない。
もちろん「トーマスクック」は持っているが、1987年のものなので絶えずチェックすることが必要だ。
日本には、この毎月発行される「トーマスクック・ヨーロピアンタイムテーブル」を翻訳して(!?)売っている、信じられない出版社があるが、それは時刻表がなぜ毎月発行されるのかを考えない、知的レベルの低い、金儲けの上手な人たちなのだろう。
まあこういうものを買う連中というのは本物の旅行者じゃなくて、この出版社から出る本に本当のことが書いてあると信じてガイドブックを集めている(冗談かと思ってたんだけど、本当にこんな奴がいるんだ)というような、知的にはレベルの低い人たちなので、まあ実際に使うことはないのだ。
実際に使えば腹が立って捨ててしまうに決まっているのだから。
だから表紙だけを替えて毎年同じことを書いていても誰も気付かない。
英文の時刻表「トーマスクック」を辞書を引いても読めないような頭のレベルなら、JRの時刻表も読めない。
日本人にそんな奴はいないよ。
さて、駅で明日朝のブリュッセル行きをチェックする。
時刻表通りで6:22、7:03、7:24とある。
一日で4ヶ国を旅するためにはこの3本のどれかに乗るしかない。
この後は8:26となるのでこれでは遅過ぎる。
次の日はホテルの朝食が朝7時からとなっていたので断って(朝食ぬきなので宿泊料を値切ろうとしたが駄目だった)、中央駅に6時半に着く。
駅の両替所で手持ちのギルダーをベルギーフラン(BF)に換える。
もともと東銀の額面5万円のT/C(なぜこんなT/Cを持っていたかは「観光客をからかうだけが生き甲斐の東京銀行の馬鹿な窓口女」という題で書くと思う)をドイツでマルクに換え、それをオランダのギルダーに換えて、更に余ったものをベルギーフランに換えているのでよく解らないが、大体1BF=4円見当になる。
そして、7時3分アムステルダム発パリ北駅行きに乗る。
今日は、一日で、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、フランスの四カ国を旅するつもりなのだ。
http://www.midokutsu.com/europe/amsterdam.htm
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