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2002年夏。<br />中国の出国手続きを完了して、国境の橋へ進んだ。<br />建物を出ると、すぐに橋があるが、この国境の橋も、朝からけっこう賑わっているよ。<br /><br />自転車に付けたリアカーに山のような荷物を積んで、ベトナム人が3人がかりで押している。<br />その男性が、ベトナム戦争の記録映画でよく見たように、痩せている。<br /><br />頭にはあのベトナム兵のつばの広いヘルメットをかぶっているのが感動的だね。<br />「ベトナムへ来たぞっ!」という感動が、身体の隅々まで広がるよ。<br /><br />橋の手前で、若い中国人カップルにベトナム側をバックにして写真を取ってもらう。<br />彼らは、おそらくは日帰りでベトナム観光をする中国人なのだろう。<br /><br />河口では、中国人の1日ベトナム入国の観光が盛んなようだしね。<br />僕はそのまま、ゆったりと、国境越えの感動を味わいながら歩いた。<br /><br />橋を渡り終えた右側の、緑色の屋根の平屋に入る。<br />これがベトナム側の入国管理事務所だ。<br /><br />事務所入って、ベトナムの入国カードに記入して、それを女性の職員に提出して、パスポートを渡す。<br />カウンターを越えた向こう側のパスポートをもらう待合室へ入る。<br /><br />すると、「あれー、西本さん!」と声がかかる。<br />あれーっ、世界旅行者の名前は、中越国境にまで知られていたのか。<br /><br />河口から橋を渡ったベトナム側の入国管理事務所のパスポートを待つところへ行ったら、「西本さーん!」と声をかけられる。<br /><br />さて誰だろうか…。<br />世界中を旅してきた世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)は、もちろん世界中でいろんな人に出会っている。<br /><br />そして、旅先で会った人と思いがけないところで再会することがよくある。<br />旅行のルートというものはほとんど決まっているから、一つの旅の途中で会った人と、また会うことも不思議ではないよ。<br /><br />一度会って、別れて、また再会したら、とてもうれしくて、喜びが倍になるよね。<br />人が本当に強く願えば、なんでもかなうものなのだよ。<br /><br />今度の旅で僕が再会したいと強く思うのは、新鑑真号で会って、上海で小雨の中を一緒にタクシーに乗ったキャミソール姿が眩しい「キャミ子さん」だ。<br />で、キャミ子さんと再会したなら、一緒に旅をして、一緒のホテルへ泊まり、いろいろあって、いずれは結婚してもいいかな、と考えていた。<br /><br />だから、キャミ子さんとの再会を強く願って、声のするほうを見ると、肥った男性の汗ばんだ顔が見える。<br />キャミ子さんじゃないのか…。<br /><br />しかし、この肥った男性は誰だろう。<br />もちろん、この旅行記を注意深く読んでいる人は、とっくにわかっていると思う。<br /><br />僕がここで再会したのは、昆明で別れたばかりの「亜瀬尾覚象(あせお・かくぞう)」君だよ。<br />しかし、亜瀬尾君は他の旅行者といっしょだ。<br /><br />亜瀬尾君の他に、髪を金色に染めた日本人男性、頭に黒いバンダナを巻いた男の子、それと日本人の女の子がいる。<br />この日本女性は、バンダナを巻いた男の子とカップルのようだ。<br /><br />それから、長身の白人女性が一緒にいる。<br />話を聞くと、みんなはただ国境のゲートが開いた時に一緒に中国を出国して、同時にベトナムへ入国したのだとか。<br /><br />ベトナムの入国事務所の中では、旅行者のパスポートをまとめてスタンプを押している雰囲気で、どうやら彼らと同時に受け取れるようだ。<br />これは正直な話、ラッキーだよ。<br /><br />他の旅行者と一緒に行動できるのだからね。<br />その待っている間、互いの旅の話、旅行情報の交換、世間話をして時間を潰す。<br /><br />僕が大理行きを勧めた亜瀬尾くんは、一応大理に行ったのだとか。<br />一日だけ大理に居たが、たいして面白いとも思わず、そこで金髪の男の子と会って、一緒にベトナムへ来ることにしたという。<br /><br />その金髪君(面倒なので、金髪君と呼ぶことにする)は、日本の大学生で、バイトで金を貯めて、休学して旅に出た。<br />これからアジアを中心に回るらしい。<br /><br />男女のカップルは、北京の大学に留学中で、夏休みに旅に出ている。<br />彼らはベトナムへはちょっと入っただけで、すぐにまた中国へ戻る計画だ。<br /><br />白人女性に声をかけると、名前はミミと呼んでくれ、という。<br />オランダ人女性で、これから、ベトナム、カンボジア、タイと旅をする予定。<br /><br />僕は旅行者の皆さんとにこやかに雑談をしながら、いつものようにコバンザメ式旅行法の適用を考えている。<br />つまり、僕はサパへ行くつもりなので、もちろんサパへ行く人間を捕まえて、一緒に行動するつもりなんだ。<br /><br />とにかく、新しい国に入ったら、誰かと一緒に行動した方が安全だからね。<br />「ねーみんな、もちろんサパへ行くんでしょ♪」と、ニコニコして声をかける。<br /><br />日本人の留学生カップルはこのまますぐに、鉄道でハノイへ行くという。<br />ミミは、さすがヨーロッパ人らしく(ヨーロッパ人はとにかく山が好きなんだよね)サパ行きの予定だ。<br /><br />金髪君もサパへ行く。<br />ところが、亜瀬尾くんはちょっと迷っていたが、ハノイへ行くという。<br /><br />亜瀬尾くんは、昆明で僕に話したように、旅があんまり好きじゃなくなった。<br />だからここらへんで寄り道をせずに、とっとと進みたいらしいんだ。<br /><br />それはそれでいいさ。<br />ミミと金髪君と僕がサパへ行くとすれば、三人だから、これならある程度心丈夫だしね。<br />パスポートが配られて、そのベトナム入国のスタンプを確認して、入国管理事務所の外に出る。<br />目の前にさっき歩いてきた国境の橋が見える。<br /><br />ベトナム側の大きな赤いゲートをバックに写真を取ってもらう。<br />国境によっては撮影が禁止されているところもあるが、ここは町が迫っているので、誰も気にしない雰囲気だ。<br /><br />みんなでわいわい言いながら歩きだす。<br />ま、早い話、ラオカイ(老開)の地理のことを言い合ってるわけなんだけどね。<br /><br />中国側の河口とベトナム側のラオカイの間の国境の橋が架かる川は、紅河の支流だ。<br />本流の紅河は二つの町の西側を南北に流れている。<br /><br />河口からベトナム側を見た時に、右手に(西側に)紅河に架かる橋を見た。<br />サパは山のある方角、つまり西のほうにあるから、多分あの橋を渡った方向だろうと見当をつける。<br /><br />

《中国河口からベトナムラオカイへの陸路国境を越える》

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2002/08 - 2002/08

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん

2002年夏。
中国の出国手続きを完了して、国境の橋へ進んだ。
建物を出ると、すぐに橋があるが、この国境の橋も、朝からけっこう賑わっているよ。

自転車に付けたリアカーに山のような荷物を積んで、ベトナム人が3人がかりで押している。
その男性が、ベトナム戦争の記録映画でよく見たように、痩せている。

頭にはあのベトナム兵のつばの広いヘルメットをかぶっているのが感動的だね。
「ベトナムへ来たぞっ!」という感動が、身体の隅々まで広がるよ。

橋の手前で、若い中国人カップルにベトナム側をバックにして写真を取ってもらう。
彼らは、おそらくは日帰りでベトナム観光をする中国人なのだろう。

河口では、中国人の1日ベトナム入国の観光が盛んなようだしね。
僕はそのまま、ゆったりと、国境越えの感動を味わいながら歩いた。

橋を渡り終えた右側の、緑色の屋根の平屋に入る。
これがベトナム側の入国管理事務所だ。

事務所入って、ベトナムの入国カードに記入して、それを女性の職員に提出して、パスポートを渡す。
カウンターを越えた向こう側のパスポートをもらう待合室へ入る。

すると、「あれー、西本さん!」と声がかかる。
あれーっ、世界旅行者の名前は、中越国境にまで知られていたのか。

河口から橋を渡ったベトナム側の入国管理事務所のパスポートを待つところへ行ったら、「西本さーん!」と声をかけられる。

さて誰だろうか…。
世界中を旅してきた世界旅行者みどりのくつした(みどくつさん/みど先生)は、もちろん世界中でいろんな人に出会っている。

そして、旅先で会った人と思いがけないところで再会することがよくある。
旅行のルートというものはほとんど決まっているから、一つの旅の途中で会った人と、また会うことも不思議ではないよ。

一度会って、別れて、また再会したら、とてもうれしくて、喜びが倍になるよね。
人が本当に強く願えば、なんでもかなうものなのだよ。

今度の旅で僕が再会したいと強く思うのは、新鑑真号で会って、上海で小雨の中を一緒にタクシーに乗ったキャミソール姿が眩しい「キャミ子さん」だ。
で、キャミ子さんと再会したなら、一緒に旅をして、一緒のホテルへ泊まり、いろいろあって、いずれは結婚してもいいかな、と考えていた。

だから、キャミ子さんとの再会を強く願って、声のするほうを見ると、肥った男性の汗ばんだ顔が見える。
キャミ子さんじゃないのか…。

しかし、この肥った男性は誰だろう。
もちろん、この旅行記を注意深く読んでいる人は、とっくにわかっていると思う。

僕がここで再会したのは、昆明で別れたばかりの「亜瀬尾覚象(あせお・かくぞう)」君だよ。
しかし、亜瀬尾君は他の旅行者といっしょだ。

亜瀬尾君の他に、髪を金色に染めた日本人男性、頭に黒いバンダナを巻いた男の子、それと日本人の女の子がいる。
この日本女性は、バンダナを巻いた男の子とカップルのようだ。

それから、長身の白人女性が一緒にいる。
話を聞くと、みんなはただ国境のゲートが開いた時に一緒に中国を出国して、同時にベトナムへ入国したのだとか。

ベトナムの入国事務所の中では、旅行者のパスポートをまとめてスタンプを押している雰囲気で、どうやら彼らと同時に受け取れるようだ。
これは正直な話、ラッキーだよ。

他の旅行者と一緒に行動できるのだからね。
その待っている間、互いの旅の話、旅行情報の交換、世間話をして時間を潰す。

僕が大理行きを勧めた亜瀬尾くんは、一応大理に行ったのだとか。
一日だけ大理に居たが、たいして面白いとも思わず、そこで金髪の男の子と会って、一緒にベトナムへ来ることにしたという。

その金髪君(面倒なので、金髪君と呼ぶことにする)は、日本の大学生で、バイトで金を貯めて、休学して旅に出た。
これからアジアを中心に回るらしい。

男女のカップルは、北京の大学に留学中で、夏休みに旅に出ている。
彼らはベトナムへはちょっと入っただけで、すぐにまた中国へ戻る計画だ。

白人女性に声をかけると、名前はミミと呼んでくれ、という。
オランダ人女性で、これから、ベトナム、カンボジア、タイと旅をする予定。

僕は旅行者の皆さんとにこやかに雑談をしながら、いつものようにコバンザメ式旅行法の適用を考えている。
つまり、僕はサパへ行くつもりなので、もちろんサパへ行く人間を捕まえて、一緒に行動するつもりなんだ。

とにかく、新しい国に入ったら、誰かと一緒に行動した方が安全だからね。
「ねーみんな、もちろんサパへ行くんでしょ♪」と、ニコニコして声をかける。

日本人の留学生カップルはこのまますぐに、鉄道でハノイへ行くという。
ミミは、さすがヨーロッパ人らしく(ヨーロッパ人はとにかく山が好きなんだよね)サパ行きの予定だ。

金髪君もサパへ行く。
ところが、亜瀬尾くんはちょっと迷っていたが、ハノイへ行くという。

亜瀬尾くんは、昆明で僕に話したように、旅があんまり好きじゃなくなった。
だからここらへんで寄り道をせずに、とっとと進みたいらしいんだ。

それはそれでいいさ。
ミミと金髪君と僕がサパへ行くとすれば、三人だから、これならある程度心丈夫だしね。
パスポートが配られて、そのベトナム入国のスタンプを確認して、入国管理事務所の外に出る。
目の前にさっき歩いてきた国境の橋が見える。

ベトナム側の大きな赤いゲートをバックに写真を取ってもらう。
国境によっては撮影が禁止されているところもあるが、ここは町が迫っているので、誰も気にしない雰囲気だ。

みんなでわいわい言いながら歩きだす。
ま、早い話、ラオカイ(老開)の地理のことを言い合ってるわけなんだけどね。

中国側の河口とベトナム側のラオカイの間の国境の橋が架かる川は、紅河の支流だ。
本流の紅河は二つの町の西側を南北に流れている。

河口からベトナム側を見た時に、右手に(西側に)紅河に架かる橋を見た。
サパは山のある方角、つまり西のほうにあるから、多分あの橋を渡った方向だろうと見当をつける。

  • 中国河口の出入国管理ビル

    中国河口の出入国管理ビル

  • 河口国境の橋の上で。

    河口国境の橋の上で。

  • ベトナムラオカイの国境で。

    ベトナムラオカイの国境で。

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