2007/12/11 - 2007/12/11
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まりも母さん
つくば市の研究学園都市にある
「高エネルギー加速器研究機構」で茅刈りのボランティアに参加してきました。
茨城県石岡市の八郷地区に点在する茅葺き民家を保存する事を目的に
市民団体”やさと茅葺き屋根保存会”が毎年行っている行事です。
八郷の茅葺き住宅の所有者さん、茅葺き屋根職人の”茅手"の方々、それに学生さんやボランティアが集まり
広い敷地の中に生えているススキを刈るのです。
国の重要な研究施設である「高エネルギー加速器研究機構」では、超ハイテク施設で、科学の最先端研究が行われています。
めったに入れないこの施設で、超ローテク(?)な茅葺き屋根用の良質な茅が手に入る、というのもおもしろいですが、
茅葺き住宅の当家の方、
茅手の職人さん、
それに保存会事務局長さんからも興味深いお話が伺えて
大変有意義な一日を過ごす事ができました。
最近プチ旅行で見かける美しい茅葺き屋根の建物に興味を持っていたところですが、
茅刈りのボランティアに参加して、
深みにはまりそ〜な予感です・・・。
- 交通手段
- 自家用車
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高エネルギー加速器研究機構の入り口付近です。
通称KEKと呼ばれるそうですが、
ここでは1周3kmもある巨大な加速器で粒子を光の速度まで加速させ物質の構造を研究するなど
正直、難しくてちんぷんかんぷんな研究が行われています・・・。
スーパーカミオカンデとかニュートリノとか
聞いたことはありますが、さっぱり判りません。
(まぁ誰も判れとは言いませんが・・・)
とにかく、年間予算400億円以上を使って、
重要な実験や研究をしている超ハイテク施設な訳です。
KEKについてはこちら
http://www.kek.jp/ja/index.html -
入場許可証を頂きます。
入り口の受付で、施設内の入場許可証をもらいます。
施設は東京ドーム33個分とか、めちゃめちゃ広いので、車でないと移動できません。
また、重要施設ですから、入場には事前登録が必要でした。
今回は、保存会のお手伝いなので、
”やさと茅葺き屋根保存会”を通して登録済みでした。
名前や住所の他車のナンバーも事前に登録します。
身体検査は・・・ありませんでした。 -
筑波山が後ろに見える場所です。
今日は曇りのち小雨との予報でしたが、まぁまぁのお天気です。
保存会の事務局長さんに案内されて、茅刈りの場所まで車で移動しました。
加速器のあるあたりのようですが、
かなり広い場所にススキが沢山生えています。
茅刈りは前日が今年の初日で、すでに刈られた場所があり、今日2日目はその続きを刈っていきます。
前日は60人もの人が集まったそうです。 -
ススキです。
茅という植物はなく、茅葺き屋根の茅とは屋根に葺く材料になる草の総称だそうです。
ススキ、葦(ヨシ)、麦わら、稲わら、チガヤ、菅(スゲ)など様々だそうですが、
一般的に茅葺き屋根の材料としてはススキが一番だそうです。
なので、茅とは大体ススキの事のようです。
茅葺きの屋根が多かった頃は"茅場”と言って、屋根に使う為のススキを確保する場所もあったそうですが、
現在はかなり少なく、また、ススキの中に他の植物が混ざってしまう為、生えてりゃどこのでもいい、とはいかないそうです。
このKEKの敷地内にはススキが群生した広い場所があり、
日当たりも良く、質がいい茅が確保できるそうです。 -
茅はまず、草刈りに使うような丸い刃が回転する機械で根元を切ります。
これは担当の方がやってくれます。
この倒れた茅を集めるのがボランティアの主な仕事です。
事務局長さんから「暖かい格好で来て下さい」と言われていました。
うす曇の12月です。
私は結構寒がりなので、薄手のセーターの上にLLビーンのフリース、LLビーンのアノラックを着込んで、更に貼るカイロもぺたっとやって行きました。
軍手はありますから、と言われていたので
持っていかないで行きましたが、
事務局長さんに貸してもらうのを忘れました。
その辺にいらっしゃった他の方に”手袋ありますか?”と聞いた所、
茅手のお兄さんが貸してくださいました。
やっぱし、素手では無理です。
ススキは結構手が切れそうですから。 -
切った茅をなるべく揃えた状態で集めて、束にします。
地面に畳の縁の再利用品の”紐”が2本置いてあります。
そこに茅を置いて、大人が一抱えする位の量がたまると、根元部分とその上、やや広がったあたりを畳縁の紐で縛ります。
しかし、紐の縛り方があるらしく、縛るのはその縛り方を知っている人です。
茅刈りもこの日の最後の方になると縛り方を習って、縛っているボランティアの方もかなりいましたが、
私はどうも紐結びが不得手なので、チャレンジするより茅集めに集中しました。
なにせ〜もやいむすびももう忘れちゃった位ですから・・・。
茅を集めるだけと思ったら、これが結構汗かきます。
早々にフリースは脱ぎました。
それでも動いている間は首にタオルが必要でした。 -
この大人が一抱えほどの量が1束です。
聞いた所によると、
八郷の茅葺き住宅の屋根の補修の他にも八郷以外の地域から茅を分けて欲しいとか
茅葺き屋根の修復の依頼がこの地区の茅手さんのところに来ているのだそうです。
注文分をまとめると、この束が4000位必要なんだそうです。
また、この束がそのまま屋根に乗っかる訳ではないので、
これを茅手の方が屋根用にもっと細かく分けたり加工するので、この大きな束のうち使える分はかなり少ないそうです。 -
茅刈りボランティアは”筑波山麓 茅刈り隊”という名称です。
参加は自由・無料ですが、自力で現場まで来れる事です。
午前・午後の2回の休憩時間のおやつとお弁当が出ます、と聞いていました。
私は勝手に、農家のお弁当をススキの原っぱで皆で食べるのかな〜とか思っていました・・・。
もしかしたら、以前、八郷のフラワーパークの農産物直売所でかったおいしい焼きお結びみたいなお弁当?とかそーぞーしておりましたぁ〜。
が、早めのお昼時間になると、車や軽トラックの荷台に分乗して向かったのは施設内のレストランでした・・・。
なんと、布のテーブルクロスのかかった結構きれいなレストランでした!
メニューはカレーでした。
サラダバー(種類は少なめですが)とスープバーもついていました。
なんか、たいしたお手伝いしていないのに申し訳ないような・・・。
と思ったら、国の施設だからでしょうか、
食券販売機や入り口のメニューを見たら結構安い!
オムライスセット600円とかハンバーグセット650円とか。
食事は大盛りの男性テーブルと分かれて、女性は普通盛りのカレーで、
事務局長さん御夫妻、千駄ヶ谷からいらしたマダム、
八郷に千坪の土地をお持ちだという土浦市の奥様などと御一緒させて頂きました。
食事をしながら、事務局長さんに色々苦労話などもお伺いしました。 -
画像の植物は葦(ヨシ)のようです。
ススキに比べて、茎が太くてきれいに見えますが、
これはダメなんだそうです。
隙間ができちゃうとか、茅手さんが教えてくれました。
使えないそうで、”省いて”との事でした。
このススキの群生地は、KEKでセイタカアワダチソウや他の植物を間引いてくれているそうで、
ただの生えっぱなしではないそうです。
管理されてもいるので、質のよい茅が確保できるそうです。 -
こっちが茅屋根に使うススキです。
2メートル位ありますので、切ったススキを抱えて歩いている時気をつけないと他の人が持ち上げたススキにぶつかります。
顔にぶつかったりすると、目に穂の綿毛とか入りそうです。
私はのどが弱いので、マスクもつけて作業していました。
ススキもまっすぐなもの、なんとな〜くカーブしたものとかあります。
茅手さんが”これがいい茅だっぺ”、と教えてくれたのはなるほど、
細くてまっすぐで白っぽい感じでした。 -
茅の中に鳥の巣発見!
他のボランティアの男性が見つけましたが、
なんだか、こういうのを見つけると”あ〜鳥の巣だ〜””何の巣だろうね?”などど和みます。
とっくに巣立っていて空っぽでしたが、
小さい鳥の巣みたいでした。
他にもススキの茎にまんまるに葉っぱがボール状にくっついた鳥の巣も見ました。
事務局長さんには
”写真は撮ってもいいですが作業優先でお願いします”、と言われていましたが、
アノラックのお腹のジッパーポケットの中にデジカメを入れてスキあらば撮影していました。
でも、作業はがんばってやりましたよ〜。 -
束に縛った茅は茅手さんたちがトラックに積み込みます。
まぁ、軽いものですが、ものすご〜くかさ張ります。
トラックの上に積んでは上に乗っかって踏み固めたり
ロープで崩れないように縛っています。
茅葺き住宅の当家の方が軽トラックできて自分ちの分は積んでいましたし、
他にも石岡市の大きなトラックも来ていました。
ちなみに休憩時間に事務局長さんに
”あのトラック1台分でどの位葺けるのですか?”と聞いた所、
当家の方に笑われました。
軽トラックに50束位乗ってるそうですが、
それで屋根2坪分位とか・・・。
一軒分どころじゃない・・・。
ざっとこの日のトラックの台数などを”どんぶり勘定”してみると、
1日で500束位刈ったとして、予定の4日間+臨時の2日の合計6日ではせいぜい3000束位でしょうか・・・。
目標の4000束には届きそうにありません・・・。
だから事務局長さん 頭が痛いとおっしゃっていました。 -
茅積みを完了したトラックはこのまま八郷に帰ります。
特盛り状態のトラックです。
毎年12月の初旬〜中旬の月・火の4日間くらいが茅刈りの日になっているようです。
今年はまだ、12月17・18日それに21日の金曜日も行う事になったそうです。
KEKの敷地内は10日刈る分位はススキが生えてるそうですから、たんまり刈りたいところですが、やはり人手がかなり必要です・・・。
私ももう一日は行きたい所ですが、
12月は忙しくて仕事が休みにくいのです・・・。
1月とかならまた行けるんだけどな・・・。 -
茅刈り隊の皆様で記念撮影。
この日は30人ほどだったと思います。
ここに写っていない、作業中の方もいらっしゃいます。
かわいい女子大生も来ていましたよ。
筑波大の学生さんは茅葺き建物に詳しい専門家の同大の安藤教授の所の学生さんのようです。
午前中の休憩時間には茅葺き住宅の当家のおじさまにお話を伺いました。
一人で来ていた私にお菓子をすすめて下さったり。
八郷の茅葺き民家が紹介され、段々に知られるようになってきた訳ですが、
中にはお住まいである住宅なのに、「地図に載せてるんだから見せて当然」とばかりにズカズカと入ってくるような観光客もいるようで、
嫌がる住民の方もいると、地図の配布はやめてしまったと聞きました。
”長年住んでいる家が珍しいものになっただけで、
茅屋根で ボロでやだ と子供は言うし〜”とか
笑っておられましたが、
どのお宅も茅葺き屋根の維持には並々ならぬ努力と費用がかかっていらっしゃると思います。
美しい茅葺きの建物を見せて頂く私のような身としては、
せいぜいこの位のお手伝いしかできませんが・・・。 -
本日の作業ほぼ終了。
刈った茅の束を全部トラックに積んで終了です。
茅の確保と茅狩りは4年前に始まったこの”筑波山麓
茅刈り隊”の活動で、徐々にペースもつかめているようです。
毎年ボランティアも増えつつあると聞きました。
これは大変良い事ですが、
事務局長さんの最大の悩みは
「若い茅手の育成」だそうです。
現在茅手として活動されている方たちはほとんどが御高齢です。
もう、80歳位の方もいらっしゃいます。
その職人の技を継承する、若者の茅手になろうという人がいないのです。
特にこの筑波山麓の茅葺き屋根に関しては、
"筑波流”という独特の屋根の葺き方があり、
それは芸術性でまさに日本最高の技術です。
つまりそれだけのハイグレードな技術はちょっとやそっとの短期間では継承出来ない訳です。
仕事は難しいし、キツイです。
おまけに一般的には"茅葺き職人なんてじきに不要になるだろう”と思われているらしいのです。
とんでもありません。
これは、後世に伝えていかなければならない、すばらしい芸術なのです。
それが〜じぇんじぇん、まだまだ世の中に知れていないのです!!
事務局長さんは、県として職人を雇い茅葺き屋根の建物が保存・維持されるような道を推進したいとお考えのようですが、
本当に早急になんとかしないと茅手の危機な訳です。 -
まりも母代理と柿。
この日の作業が終わって、当家の方が軽トラックから柿を持って来て、
”町から来た人に持って行ってもらうべ”と
ひとつづつ下さいました。
八郷のおおきくておいしい柿です。
いや〜私も町なんて・・・都会から来てんじゃないですけど・・・。
さて、御挨拶して帰りかけた頃、なんだか手首のあたりがピリピリします。
たまにアノラックのゴムの入った袖がずれ上がって、手袋の上の腕の部分が出ちゃいましたが、あまり気にせず作業してました。
しばらくすると、そのピリピリ部分が真っ赤なぶつぶつになってて痛くなってきました〜!!
あちゃ〜かぶれちゃったよ・・・。
ススキの茎で少々擦り傷っぽいのもできましたが、
それよりなんだか良く判りませんが、ちいさいぶつぶつが赤くて痛いです。
お風呂に入ったらめっちゃしみました・・・。
花粉症もないし、アレルギーとか無いと思う体質ですが・・・。
ちゃんと長い手袋かアームカバーを持参すればよかったのです。
そういえば、みなさん結構アームカバーしてたな〜。
反省。
次回は首にタオル!アームカバー!ゴムで補強された手袋!は持って行くぞ!
アノラックのようなつるつるした上着は正解でしたが。
靴も足場がデコボコっぽいので、しっかりした底の靴がいいですね。
初めての茅刈り隊の参加でしたが、
茅葺き屋根の保存・維持について考えさせられつつ充実した一日でした。
また、なにかお手伝いしてこれからもずっとあの美しい茅葺き屋根の建物を見せて頂きたいと思います。
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