2007/11 - 2007/11
5位(同エリア21件中)
風神さん
前ブログはシバームの城壁内で撮った写真を集めましたが、このブログでは外からの写真を集めました。
世界遺産として撮られつくした感のあるシバームを改めて撮ろうとしても、なかなか新味は出せません。
しかしとにかく歩いて歩いていろいろ撮ってみました。
ところでシバーム、サナアに見られるようなイエメンの大型建築について「アドベ(日干しレンガ)や石をただ積み重ねただけ、もちろん鉄筋は入っていない」「イエメンは地震がなく雨も少ないのでそれでも崩れず長持ちする」といった記述がガイドブックなどに見られます。
それは違います。強い風が吹けば建物全体で受ける風圧は何十トンかことによれば100トン以上かも知れません。何十人という人が同時に中に入ります。「ただ積んだだけ」の建物が100年以上ももつわけがありません。
その種明かしもこのブログの中で少し触れます。
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シバームに向かう途中の景色です。
走っている道路も見える農地も緑もワジの河床(底)です。
ワジは伏流水等で水が得やすいので、人の生活の場になるのです。
遠くに採石場なのか工場のようなものも見えます。
崖の上は何億年もかかって水が削り、深いワジを形成する前の原始大地でほとんど平です。
岩が柱状節理(柱のように縦長に割れ目が入ること)しさらにそれが方状節理(さいころ状の割れ目)しているのが分かります。
それがやがて持ちきれなくなって落ちます!
別写真に落ちた大きな岩が写っています。 -
シバームのそばから周りと、ワジの崖を見ています。
平屋の小さい家が点在しています。
もともとシバームの社会は極端な階級社会で、最下層とされた奴隷や農民はシバーム内に住むことは許されず、周辺の平屋の小家屋に住んでいたとされています。 -
シバーム前の幹線道路から反対側のワジ大岩壁を見ています。岩壁が日陰である上に手前の新集落には陽が当たっているので何か合成写真のような印象を与えます。
しかしなにより圧倒的なインパクトは崩れ落ちている岩の大きさです。遠景なのに手前の大きな建物よりずっと大きく写っています。実際非常に大きいのです。
柱状節理した岩がそのままの形で倒れているのも、方状節理した岩が転がり落ちているのも見えます。
近くに行くと、細かい岩や礫に埋まってしまった建物もあることが分かります。 -
ワジの中央辺り、砂地です。水は流れていません。
一般にワジの水は、上流にダムや堰(せき)がなければ、適量の水がコンスタントに流れ続けることはなく、涸れるか洪水か、です。 -
シバーム外縁の高層建物群です。8階建てくらいはありそうです。
いくつか建築上の特徴が見えます。
①1階から3階あたりまで窓がない⇒これは外敵の侵入を防ぐため窓を作らず、家畜小屋・穀物倉庫にしたためと言われています。
②何棟かは基部が広がっています⇒「イエメンの建築は石やアドベをただ積んだだけ」ではない証拠の一部です。泥と木だけで造った巨大な構築物であるブータンのゾン等を見ると、1階の壁厚は数メートルもあり、そのため下層階では「建物は巨大、部屋は狭小」です。イエメンでも同じです。大きな建物の大変な重量を支えるために、下層階の壁厚を増やし、そのため「末広がり」になったのです。
③シバームの外に向いた外壁を互いにずらして、陽の当たる窓を増やしています。 -
真ん中の建物、完全に崩れていますね。他にもこういうのありました。10年後はどうなっているのでしょうか。
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真ん中の崩れている建物ですが、下層階は崩れていないし、傾いてもいません。
基礎はしっかりしているのです。巨大な建物が100年以上もっているのですから当然です。基礎がいい加減で不等沈下したら建物はたちまち傾いて「イエメンの斜塔」です。
基礎はまず安定した岩盤まで掘り込み、丈夫な木材と岩塩さらに漆喰セメントを入れて、かかる重量の分散・補強・防虫・防湿をしています。
さらに1階から最上階まで丈夫な「大黒柱」を通しその周りに階段を造って、各フロアにかかる重量も分散しています。 -
白いミナレットの先が少し見えています。
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漆喰を全面に塗って、お金かかってますね〜
手前の白くて低い建物は、シバームの外にあるモスクです。 -
右の白い建物、基部の「末広がり」わかりやすいですね。
照明塔や植物はシバーム外の地面です。シバーム内の地面とは2m以上高さが違います。 -
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画面左端に見えるのが「簡易出入り口」です。
壁にスリットを切り、人一人幅の階段をつけてあります。何箇所かあります。
これが無いと、たった一つの門までいつも大回りか、飛び降りるか・・・ -
建物の「つら」をいちいちずらしています。
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月のミナレット。
元画像にすれば、窓の木彫やミナレットの細部、そしてウサギの耳もご覧いただけます。 -
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ひとつだけの門です。今写真を見ると2重の門になっているように見えますね。
奥にわずかに見えている白い建物が旧王宮です。 -
子どもが来て写真のリクエスト、使い切ったプリペイドカードをあげたら嬉しそうでした。
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カードを見せているのは演出ではありません。
二人の感情の自然な表出です。 -
大岩壁と緑とシバーム。
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右よりの白い大きな建物、基部が手前にも横にも広がっているのが見えます。
新宿副都心にある超高層ビルと同じですね。基部の壁厚をまして強度を高めています。 -
画面下部、やや右寄りに門、広場、モスクとミナレットそれに旧王宮が見えます。
そして岩壁は巨大です。
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この旅行記へのコメント (4)
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- momotaさん 2007/12/12 23:56:21
- 夕日に映えますね〜
- 風神さんこんばんは〜。早速おじゃましました。
外側からの眺めはまた素晴らしいですね。
一見するとレンガと漆喰で固めた簡易な造りなのかと思いましたが
実際こういったシンプルな造りほど計算されたものなのですね。
建物の内部には入られたのですか?
夕日に染まる街が美しいですね。
子供たちの笑顔もいきいきとしていいですね。
これからもこの独特の文化、景観を残していってほしいですね。
- 風神さん からの返信 2008/01/05 22:50:07
- おめでとうございます。
- イエメンのブログは「12ハジャラ」で一区切り、しばらく休憩にします。
主だったところは済んでいますので、再開しても軽い短いブログになると思います。
今月中にバングラのブログを大幅増補して、マンガチックに仕立てるつもりです。バングラの人たちの異常な写真好き出演好きが皆さんに伝わるといいと思っています。
イエメンの後半、バングラにまたご訪問ください。
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- ishicameraさん 2007/12/12 20:55:36
- シバームの謎
- 夕焼けのシバーム綺麗ですねぇ。
私は日数がなく、シバームに行けなかったのですが、評判どおり迫力ある景色ですね。
サナアでも建物の高さの秘密気になったのですが、シバームの写真を見ると非常に解り易いですね。低層階の構造は凄くしっかりしていて、窓が少なく、幅も広いですね。
謎が解けました。
サナアと同じ日干し煉瓦と漆喰の建物ですが、装飾は全然違いますね。
サナアは窓枠の装飾など華やかでおもちゃ箱のようですが、ジパームは非常にスッキリとしていますね。
余計に高さを感じます。ワジと街の対比きれいですね。
- 風神さん からの返信 2007/12/12 21:55:19
- ishicameraさん今晩は〜
- ちょっと「しばらく」ですね。ブログ訪問と投票ありがとうございます。
その前も何回も訪問してくれて嬉しいです。
イエメンの「高層ビル」の工夫聞いてみればなるほど、でしょ?
「・・・歩き方」の「ただ積んだだけ」の記述はあまりにラフですね。
私はishikameraさんと反対にサナアもっと歩きたかったです、もちろん旧市街中心に。
サナアに3泊したんですがホテルがちょっと郊外で旧市街から遠かったのがマイナスになりました。
でも国立博物館最上階やイエメン門前のホテル屋上からサナア撮りましたから、またブログで見てください。
じゃ、また。
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