ベイルート：入国の小ネタ

2007/11/30 - 2007/11/30

レバノンに初めて訪れたのは07年11月30日。首都ベイルートに到着したのは現地時間で夜中の二時過ぎ、自宅を出発して一日が過ぎようとしていたので、眠たさもピークに達していた。

　飛行機がターミナルに到着後、私は重い瞼をこじあけ、フラフラになりながらイミグレーションへと歩いた。レバノンへの入国には07年現在、日本人は査証が必要だが、空港で容易に且つ無料で取得可能だ。

イミグレでのビザ取得用のレーンは幾つか設けられており、円滑に入国手続きが進むようになっており、私はそのレーンの一つに並んだ。入国手続きではカスタムコントロールとして、質問をされるが、査証の取得から入国審査までの一連の手続きには２分も要さない。

　いよいよ自分に入国手続きの順番が回ると、私はコントローラーの前に出てパスポートを渡した。するとコントローラーは
「ジャパン・・・」と呟いた。

そして真剣な顔で「これはカスタムチェックの為の質問だ。」　と私に切り出した。私もそんなことを言われたら何を質問されるのかと身構えてしまう。

「ダイハツの車は日本で何番目に良い車なんや？」

カスタムコントロールで突拍子もないことを尋ねられた私は、「え！？　ダイハツ？　何番目？？　 聞きまちがいか？」　と戸惑っていると、

「日本車は何が一番や？」　と更に尋ねて来るではないか。

「えっと、トヨタ、ＮＩＳＳＡＮ、ホンダ、三菱、ＭＡＺＤＡ、ＳＵＺＵＫＩ・・・。う〜ん良くはわからないですが、知名度ではダイハツは６番目か７番目ですね。」　と私は答えた。

すると彼の頬はみるみる緩み、ニヤッとしたかと思うと、まるで漫才でも見ているかのように机で大きくズっこける素振りをみせた。

「なんやって！？７番目やと？？その下は何があるんや！？」

「乗用車だとスバルといすゞかなー」

「それだけかいな！？　俺の車ダイハツやで！」
彼は大声で叫ぶと、回りの同僚から笑われ落ち込む彼・・・。

「でもダイハツのメカニカル技術はトヨタですよ。」

その私のフォローに、彼の悲壮めいた今までの雰囲気はどこへやら、瞬く間に元気を取り戻した。

「どやーっ、みたか！俺の車はトヨタの技術やで！」　と周りの同僚達に自慢する彼。何と立ち直りが早いのだろうか。

そして彼は何度も私に「ホンマにダイハツはトヨタの技術なんやろな？？」　と確認してくるので、「そうですよ。」と私は頷く。

彼は満面の笑みで
「よっしゃー！、君はエエ奴や。普通は14日滞在分しかビザは発給されへんけど、君には俺の権限で特別に30日間有効にしたるわ。」

エエーーーッ！そんなことで査証の有効期限を変更が可能なん！？　そんなことで入国審査は大丈夫？？心の中でそう思いながらも、彼がパスポートに押した入国スタンプの上に何か手書きで書いているのを黙って見届けている私・・・。


？？？何でこんな話をしているんだっけ？　そう、この馬鹿話がカスタムチェックなのだ。こんなふざけたカスタムチェックのために私の列の進行は大幅に遅れたばかりか、周りのカスタムの手までも止めてしまった。爆笑するコントローラー、そしてその中心にいる私に入国審査を待つ人たちが白い目を向けたのは言うまでもない。

エリア ベイルート(レバノン)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス

昨年ベイルートはイスラエルの空爆の憂き目に遭い、このベイルート国際空港もその例外ではなかった。

空港の免税品売り場に立てられたクリスマスツリー。
あれ？？レバノンってイスラム教の国のはずでは・・・。
空港の免税店の品揃えは良く、歩いていても楽しい。

町に残る銃痕。市内の古い建物にはこうした内戦の跡が痛々しく残っている。

市内に残る古い建物。
建物の窓を見るととてもおしゃれな窓。内戦以前のレバノンが豊かで、自由な雰囲気があったのか、うかがい知ることができます。こうした古い建物は第二次世界大戦後の古き良きレバノンの象徴として残してほしいものです。また旅行者もこうしたことに気づいてほしいものです。

レバノン内戦以前の建物。
おしゃれなバルコニーが内戦以前のレバノンの自由な雰囲気を物語っていますよね！

旧市街は内戦で甚大な被害を受け、廃墟となったそうですが、現在では見違えるほど美しく蘇りつつあります。

旧市街に残るローマ浴場

旧市街に再建された教会。

内戦以前の建物と同じように再建された建物。ベイルートの旧市街を見ているとワルシャワの再建された旧市街と重なって見えてしまいます。ワルシャワの旧市街は｢壁のヒビ一つまで忠実に｣を合言葉に見事再建されたことで有名ですよね。

内戦の傷跡が生々しく残る建物は旧市街では少なくなりつつあります。

町はこうした自由な雰囲気が。ベイルートの町が好きになりました。

旧市街は｢中東のパリ｣といわれるほど美しい街並みだったそうです。

この旅行記へのコメント （8）

• sate8さん 2008/04/10 15:43:18

  お誕生日おめでとうございます

  shijoさん、お誕生日おめでとうございます。
  
  日刊の新着メールで、「本日が誕生日」のトップに
  shijoさんのお名前を発見して参りました。
  
  コントローラーのおじさんが
  関西弁風に訳されている所も、ツボです。
  

  worldspanさん からの返信 2008/04/11 12:43:26

  RE: お誕生日おめでとうございます

  sate8さん
  
  ご無沙汰しております。そして有難うございます。
  
  ホンマですか〜〜。そんなことが書かれていたのですね。3月からずっと仕事が忙しくて見てなかったんですよ。しまった！見とけばよかった（笑）。

• ayanさん 2007/12/13 13:21:29

  カスタムチェック！

  おもしろいですね〜読んでて一人で声に出して笑っちゃいました(｡￫∀￩｡)
  ちなみに本当に３０日まで伸びたんですか！？！
  
  レバノンは町がきれいな中東の国のひとつと聞いたので、ぜひぜひ行ってみたい所のひとつです。しかもそんな面白い体験↑ができるなら、なおさらです笑

  worldspanさん からの返信 2007/12/13 14:12:55

  RE: カスタムチェック！

  そうなんですよ、30日もらえました(笑）。でもたった一日しか滞在しなかったので、全く役には立たなかったですけど＾＾；。
  
  私の入国審査を担当していたコントローラーは私の前の外国人には入国目的や滞在日、滞在場所を聞いていたんですよー。きっと彼は日本人が入国審査に現れるのを心待ちしてたんでしょうね。マイカーが本当にワールドスタンダードでよいものなのかって。何せ｢ダイハツ」というレバノンで高級車を購入したのだから(笑）。
  
  

  ayanさん からの返信 2007/12/14 13:50:49

  RE: カスタムチェック！

  そうだったんですね！でも多い分にはよかったですよねーもしかしたらトヨタの話ナシには１日分さえももらえなかったかもしれませんよね（そんなことはないか･･！）
  
  エジプト人についても笑わせてもらいました〜！！なかなか持てない執着心！？ですよね笑　shijoさんの交渉術、見習わせていただきます♪

• 女一人旅さん 2007/12/12 22:38:19

  おひさしぶ！

  入国手続きのコメント、ツボヒットです(^-^)
  そういうのんびりした雰囲気って、日本の感覚で言うと
  サービスが行き届いてない、とか怠慢とか思っちゃうけど、
  そのペースに慣れてひたると温かいヒューマンな感じ？？で良いですよね(^-^)
  それにしても旅行先がレアじゃあないですか？お仕事ですか？
  まあ、私が知ってる国が少ないだけですが。。。

  worldspanさん からの返信 2007/12/13 00:46:49

  RE: おひさしぶ！

  久しぶりです〜。
  レバノン＋南北キプロス＋エジプトには遊びで行きました（笑）。4年前にシリア・ヨルダンに行った時、レバノンも行く予定だったのですが、疲れて立ち寄りを辞めたんですよ。なので今回エジプトに行くにあたりレバノンにも寄りました。
  
  この話、更に続きがあって本当であれば無料ビザは2週間しか出ないんですけど、彼の権限で私は1か月分も特別に査証の有効期間を貰いました（笑）。それもこれも全て｢ダイハツはトヨタの技術」のおかげです＾＾。

  女一人旅さん からの返信 2007/12/13 02:24:48

  RE: おひさしぶ！

  爆爆爆(^_^)／