2007/01/05 - 2007/01/06
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megmeguさん
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滋賀県の坊村にある比良山荘(ひらさんそう)。夏は鮎、冬はジビエが有名な料理旅館。
ずっと前から行ってみたかったんやけど、年末年始は休みはるんで、なかなか予定が合わへんかった。
やっと今年、初営業日にいくことができました。
京都の出町柳からバスで1時間ほど、若狭地方で獲れた魚貝類などを京都に運ぶための鯖街道(さばかいどう)の途中にあります。
鹿はお刺身で、猪と熊はしょうゆ仕立てのお鍋でいただける。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 新幹線
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-
良山荘へは、出町柳から京都バスの朽木学校行きに乗っていく。
15人しか座れへん小さなバス。一日に朝夕2本しか便がない。
かま風呂で有名な八瀬、三千院、寂光院のある大原を過ぎて、花折のあたりから年末に降った雪が残ってた。
1時間で坊村のバス停に到着。990円やった。
滋賀県っていうても、京都との境やから京都の雰囲気がある。
お宿はバス停からすぐのとこにあった。
鄙びたええ感じの佇まい。
お部屋は2階の一番奥、「比良」やった。6畳二間のシンプルな部屋。お風呂、お手洗い、洗面、冷蔵庫、みんな部屋にはなくて共有。
お風呂はええけど、お手洗いと洗面は欲しいなあ。
古い建物を大事に使うてはるから、むやみに改築はできないんやろうなあ。
お風呂は槙で、気持ちよかった。
6時から夕食。
ビールで乾杯して、上原酒造の不老泉(ふろうせん)を熱燗にしてもらう。
食前酒は橙の果実酒。甘さ控えめで橙のすっぱさがキリッとした味わい。
まずは、白子蒸し。
この白子、鯉のやった。キクラゲのシャキシャキ、銀杏のモッチリした歯ざわりがアクセントになってる。
先付は鮎のなれ寿司、ごまめ、黒豆、ちょろぎ。
なれ寿司っていうのは、お寿司の原型っていわれてるもんで、鮒を使うた鮒寿司が有名。
子持ち鮎の内臓を取りのぞいて、塩漬けにしたものに、炊いたご飯を詰めて、樽にご飯とともに漬け込んで醗酵させて作る。
乳酸発酵によって酸味が生まれ、うま味も増す。
鮎自体もええけど、一緒に漬け込んだご飯がおいしい。
ピリッと舌を刺すような、でもやさしい酸味。
これをちょびちょび舐めながら、熱燗を飲んでるとしあわせこの上ない。
一番下の写真が、おみやげに買うてきたの。
楽天でも鮎のなれ寿司売ってはった。
比良山荘の子持ち鮎のなれ寿司もセコムの食で買えるねんなあ。
ちょろぎは巻貝みたいな形をしたお野菜。シソ科の植物の塊茎部分。これも楽天で売ってはった。
続いて、岩魚と鯉と鹿のお造り。
鯉は3か月以上、私のいただいたんは半年も山の冷水を入れた生簀に泳がしてたもんやねんて。
泥臭さなんてこれっぽっちもないし、もう鯉とは違う別の魚に生まれ変わったみたいやった。
日本鹿のお刺身は、牛肉とマグロの赤身を合わせたような味。あっさりしてるけど十分な旨味とかすかな酸味がある。大根おろしをのせて食べた。
下に敷いてあるんは、わさびの葉。ピリッと辛くておいしかった。
この後、熊と猪のお鍋が登場する。 -
お食事をいただく部屋は、泊まる部屋とは別の1階秋の間。秋の草花が描かれた襖絵、雪見障子のむこうにはほんとの雪景色。
部屋の真ん中には備長炭の入った切り出し七輪が漆の箱に収まって鎮座してる。
ええ具合に貫入の入った土鍋がのせられた。
お味をみてみると、かつおとお昆布でていねいにとったおだしに、お醤油とお砂糖、ちょっと鷹の爪が入ってるみたい。
このあたりでは、熊や猪をすき焼きにして食べてはるらしい。
それをアレンジして、おしょうゆ味の効いた甘辛いおだしにしはったそうや。
おだしが沸くまでに出てきたのが、うなぎの八幡巻き。
こんなおいしい八幡巻き食べたことない。焼き立てで、うなぎの身は脂がのってほろほろしてる。あっさりと炊いたごぼうと、よう合うなあ。
いのくま鍋の具材が運ばれてきた。
九条葱に芹、京菊菜、しいたけ、うど、トチ餅。
九条葱は香りがようてぬめりが多く、煮ると甘さと柔らかさがたまらん。
京都のスーパーとかで売ってるんは、細いのが多いけど、これは関東の白葱ぐらいの太さがある。
右側の菜っ葉が、京菊菜。春菊の一種みたいやけど、葉っぱに切れ込みが少なく、肉厚で柔らかい。普通の春菊のように香りが強くなくて、甘味がある。
しいたけも肉厚。
ご主人が、天然の月の輪熊と猪のお肉が入ったお皿を持って登場。
牡丹の花のようにきれいに並べられたお肉の、一番外側の一周が猪で、それ以外は全部熊。
アップの写真で、熊と猪の違いがわかるやろか。
下の一枚が猪で、上のが熊。
熊の脂身はほんまに純白で、室温でとろけかけてる。
まずは、熊から。
鍋奉行は、ご主人の役割。
しゃぶしゃぶと軽く火を通すだけがおいしいそうや。
口に運ぶと、脂がしつこうなくて甘い。
獣臭さもなく、上品な旨味が口いっぱいに広がる。
牛肉のようなアクもほとんど出えへん。
内臓系が得意でないだんな様も、脂身がおいしいとパクパク食べてはった。
次に猪。
これも、しゃぶしゃぶとさっと火を通すだけ。
お味はちょっと豚肉に近いかなあ。
でももっとコクがあって、それやのにあっさりしてる。
とってもおいしいんやけど、熊の味わいの後では、霞んでしまうなあ。
猪を先に食べるようにしたらあかんのかと聞いてみた。
そしたら、猪は熊よりアクが出るから、同じお鍋のおだしを使うには熊が先になってしまうねんて。
そやけど、猪からもほとんどアクは出てへんようやった。
途中でお刺身でいただいた岩魚の骨と皮の唐揚げが出てきた。
カリカリしてて香ばしく、頭まで全部食べられた。
地元の人が作りはったトチ餅も、柔らこう煮てくれはった。
コクのあるおだしをよう吸って、おいしかった。
最後は、おうどん。
讃岐うどんかなあ、腰がある湯がきたてのを土鍋に入れてちょっと煮る。
ご飯を入れて、おじやを希望するお客さんもいはるらしいけど、おじやにするにはあまりにも濃厚なだしかもしれん。
おうどんがええ塩梅やった。
ご飯とお漬物に鯉コク。
鯉コクもコラーゲンたっぷり。
お漬物はお沢庵と壬生漬けの刻んだんと、自家製のお昆布を炊いたん。
お腹いっぱいやったけど、全部食べてしもた。
デザートはいちごと、ほろほろとした柚子のシャーベット。
地元のもんだけで、これだけ楽しませてもらえてしあわせな夕餉やった。
泊まらずにお食事だけやと、13650円(税込み)でいただける。
サービスでお部屋に持ってきてくれはった、年代物の梅酒のロックと、山葡萄のジュースも濃厚でおいしかった。 -
比良山荘、朝ごはん。
一番上の写真は、右上が鯉の飴煮、下のがまいたけの煮たの、左の上が鯖のへしこ。
この鯖のへしこ、生の鯖を塩漬けにして、糠で漬けたもん。
魚の糠漬けやな。若狭地方の保存食。
鯖以外にも、イワシやふぐ、イカ、ニシン、サンマなんかも使うみたいや。
脂ののった鯖の味がぎゅっと凝縮してて、そこに糠の乳酸発酵の旨味が加わるからたまらへん。
これをちょびちょびのせながらやと、ご飯がなんぼでも食べられる。
ここで出てきたんは、朽木村で作られてるもんやそうや。
炊き合わせは、大根、高野豆腐、どんこの干し椎茸、菜の花
熱々の出し巻き卵にだいこんおろし、鮎の昆布巻きに、赤かぶ漬け、ずいきのごま酢あんかけ
海老芋の雑茸あんかけ
そして土鍋に入った芹のおかゆ。お餅も入ってる。
おいしいおいしい朝ごはんやった。
比良山荘は、自然に恵まれた場所にあることを活かして、ほとんどすべての食材が地のもん。
それが、こんなにおいしいんやから豊かな土地やなあ。
9時53分の京都バスで出町柳にもどってきた。
鯖のへしこが、あんまりおいしかったんで、京都の高島屋に入ってる田村長さんで大きい春鯖のを1匹買うてきた。
ちょっとずつ削ぎ切りにして、生で食べてる。
おにぎりの具、お茶漬け、お酒のおつまみにも絶品や。
ついてる糠も洗い流したりしたらもったいなあ。
そのまま食べてもええし、パスタにふりかけてもおいしそうや。
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