2007/03/02 - 2007/03/02
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フーテンの若さんさん
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僕のように観光しながらサーフィンしている旅行者は珍しいのではないだろうか。
そもそも本格的なサーファーは観光地にはまったく興味が無い。彼らは常に波だけを純粋に求め、世界の何処にでもマイボードを持ち込み、辺鄙な所へのアクセスも厭わず、ただサーフィンだけに没頭する。
僕の場合は欲張りでサーフィンもしたいし、観光もしたい。サーフィンの腕は「なんちゃって級」なので観光ついでにサーフィンできればやろうかな程度(なのでボードはいつもレンタルだ)。ただその場合、困ることがある。観光地とサーフポイントが離れていることが多いため、両方していると時間が倍かかってしまうことだ。
そういう意味では、ここイースター島は素晴らしい場所である。なぜなら、かの有名なモアイ観光と孤島でのサーフトリップがいっぺんに両方できるからだ。
イースター島はあまり知られていないが意外とサーフィンが盛んだ。島唯一の市場に近い海岸では地元の子供たちが毎日サーフィンに興じていた。早速、僕も近くのダイブショップでボードをレンタルして海に入ってみる(純粋なサーフショップは存在しなかった)。
強いサイドオンショア。サイズは腰程度だがセットは頭まで上がる。波足が速く、早めにテイクオフしなければ置いてかれてしまう。海水はウェットがないと冷たい(当たり前だが持参していない)。海水は黒く、動物園のオットセイの匂いがした。
強風の影響か、波はダンパー気味でコンディションはよくない。それでも地元の子供たちは頻繁にポジションを変え、うまくピークを見極め、どんどん乗りこなして行く。
そのなかで僕はさっぱり乗れないでいた。
久しぶりのサーフィンということもあるが、海下がリーフでかなり浅い。転んだら危険な気がする。「なんちゃって級」サーファーは度胸も「なんちゃって級」なのだ。
30分ぐらい何もせず、ボードの上で波観察をしていると、そばの少年がなにごとか僕に早口で捲くし立てた。スペイン語なので意味はわからないが、口調からすると明らかにからかいの類だろう。
「このヘタレ野郎。おめぇ、何しに来たんだ?海はサーフィンするためにあるんだぜ。だまって見ていて波に乗れるのかい?俺たち子供ですら怖がらず乗れるのに、あんたは本当に根性がないよな!」
なんて言っているのかもしれない。
そこまで言われて(勝手な自己解釈だけど)日本男児は黙っていられない。僕も果敢に攻め出した。あの少年に格好いいところ見せてやる。
そしてまもなく来た!セットのビックウエーブ。サイズは頭オーバー。もっと手前から乗らないといけないと思いつつ、パドルがもう間に合わない。仕方がない、ここから乗ってしまえー!
ザバーーーーーーーーーーーーーーーーーーン。
パーリングしておもっいきり波に揉まれる。海の中で回転サーブを何回したことか(幸いにもリーフには当たらなかった)。海上に出て、慌てて息を吸う。おかしい?身が軽い。いつもぐっと引っ張られるはずのリーシュコードの張りがないのだ。後ろを振り返ると僕のサーフボードは波と共に遥か先へ流されていた。
リーシュボード切れてるやん!!!!!!
急いでサーフボードを取りに泳いでいく。周りの子供が僕の姿を見て笑っている。
このように観光しながらサーフィンしているとさっぱりうまくならない。サーフィンを始めて3年。「なんちゃって級」サーファーを卒業できるのはいったい何時なのだろうか。でも僕には観光も、サーフィンも「なんちゃって級」の中途半端さがとてもしょうに合っていると思う。
しばらくはモアイと向き合ってサーフィンをこの島で練習してみよう。
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