フィッツジェラルド劇場

2007/02/12 - 2007/02/12

　ミネアポリス／セントポールがシアター文化のメッカであることをお話しましたが、セントポールにも歴史のある劇場があります。「フィッツジェラルド劇場」。１９１０年建築のこのシアターは、セントポール出身のアメリカを代表する作家であり、ハリウッドで脚本なども書いた、F・スコット・フィッツジェラルドから命名された。フィッツジェラルドについてはまたの機会に。
　この３月から日本でも公開される故ロバート・アルトマン監督の最後の映画「今宵、フィッツジェラルド劇場で」は、このセントポールの劇場を舞台にしたもの。実際の撮影もここで行われた。メリル・ストリープやトラブル続きのアイドル、リンジー・ローハン、トミー・リー・ジョーンズ、ケビン・クラインなどアルトマンらしいバラエティ豊かな出演者を揃えた、群像劇。
　舞台は打ち切られる事に決まったラジオの実況バラエティ番組「プレーリーホーム・コンパニオン」。この番組、実際には今も毎週全米で４２０万人に視聴されている人気番組で、シアターで行われるラジオショーを観にわざわざ全米からファンがやってくる。売り切れが多くチケットを手に入れるのは非常に難しい。ライターであり、番組の進行を努める作家のガリソン・キーラーは、日本でも「レイク・ウォビゴンの人々」という作品が翻訳されていて、こちらでは中西部の人間模様をコミカルにシニカルに描く作品に人気がある。実際彼はいつ見ても、苦虫を噛み潰したような、下顎を突き出した意地っ張りの子供のような顔つきをしていて、皮肉っぽい冗談を織り込んだトークを展開する。それでもラジオ番組の「プレーリーホーム・コンパニオン」にはどうもアメリカ人の郷愁をくすぐる、古き良き時代のエンターテイメントといった趣きがあるようで、これがアルトマンの映画になると決まってもあまり皆「なぜ？」なんて疑問を持たなかったようですね。（私はなぜこんな地味なものを、と思いましたが。）
　「フィッツジェラルド劇場」は、このラジオショー以外にもコンサートやダンスなどが催される。この映画のオープニング・プレミアも行われ、勿論メリル・ストリープもリンジー・ローハンもレッドカーペットをやった。ここを訪れた後は、セントポールのダウンタウンで、スターたちが食事をした「パザルナ」や、「桜レストラン」に立ち寄ってみてはいかが？

エリア ミネアポリス(アメリカ)

フィッツジェラルド劇場正面

セントポール（観光局の写真から）