キーウ (キエフ)旅行記(ブログ) 一覧に戻る
翌96年ウクライナに再入国した。昨年の二の舞いを踏むまいと事前に宿を調べていたので、モスクワから列車でキエフ駅に到着すると、真っ直ぐ地下鉄で目星のホテルへと向かった。ホテルは当時一泊朝食付でツイン36US$だったブラチスラバホテルに3泊した。<br /><br />ブラチスラバホテルで苦笑してしまったのが朝食。朝食は日を追うごとに貧素になって来る。初日ベーコンエッグに黒パン、パイナップル3枚に濃厚なオレンジジュースが出ていたが、二日目はパイナップルが一枚減り、そしてジュースが薄くなった。そして最終日にはパイナップルが僅か一枚、飲み物も水に色がついた程度のオレンジジュースに変わった。まるでホテルの経営がこの三日間で悪化してしまったのではないかと思うほど、初日と最終日の朝食は劇的な変化を遂げた。ほぼ同じ日程で偶然にも毎日同じ時間帯に、しかも食堂で隣りの席に座っていたドイツ人はパイナップルの入ったグラスを持ち上げ、本当に一枚しかないのか目を疑っていた程だ。<br /><br /> そしてホテルのロビーには夜になると美しい蝶達が艶美な眼差しで宿泊している男達を誘う。しかし彼女達には気をつけなければならない。ホテルの外には彼女達が覚せい剤を回し打ちをしていたのだろうか、幾つもの注射器が捨てられていた。旧ソ連では注射の回し打ちによりHIVが急速に拡大した。勿論彼女達が打っていたのか否かわからないが、覚せい剤を投与していた娼婦は少なくないと聞いていたので可能性は捨てきれない。こうした背景の中、市場を歩いていた私自身がまさか覚せい剤の常習犯に間違われて拘束されようとは思いもしなかった<br /><br />この時友人とキエフに訪れ、二人でブラチスラバホテル近くの市場を歩いていた。すると巡回中の警察に目を付けられ、職務質問を受けた。これくらいの事は旧ソ連圏では良くある事だが、彼らは直ぐに我々を拘束し、自分達二人は理由もわからず、連行されてしまった。当時まだ経験の浅い自分はどうしてよいやら当惑ばかりしていた。連行後、警察は入国目的やルートを執拗に聞き、自分達の持ち物や、身体検査までも行った。普通旧ソ連圏で警察が持ち物検査をする時は、現金や金目の物を強請り取る為に荒捜しするが、彼らは鞄に入れていたカメラや、身に着けていた財布の中の現金には全く目もくれなかった。彼らは自分達から一体何を捜しているのだろうか?<br /><br /> 彼らは我々のバックを引っ掻き回したが、目当てのものは我々の所持品の中からみつからなかったが、彼らはロシア語やウクライナ語がわからぬ自分達に、彼らは捜している物体を手で表現した。そして自分達が警察に拘束された理由がようやくわかる。彼らが表したものは、注射器、つまり自分達を覚せい剤の常習者と見間違えて拘束したのだ。そんなもの持っているはずもない。我々は慌てて首を横に振ったが彼らは私の腕を捲り、注射の痕跡を凝視して捜した。最終的に疑いも晴れて解放されたが、麻薬常習者と間違われた事にショックを受けた。<br /><br /> 彼らはなぜ我々が麻薬常習者だと思ったのだろうか?実はこの時自分の格好は蛍光色の帽子にサイクリング選手の履くようなピチピチの蛍光のストライプカラーのショートパンツ、彼らは自分の着用している服装から判断したのだろう。麻薬常習者は蛍光色等を好んで身に付ける習性があると聞いたことがある。何とか解放され後、友人は開口一番こういった。「捕まったのは我(お前)のせいじゃ!我とは旅行しとぅないわ。我が変な格好しとるけぇ間違えられるんじゃ!」、その後彼とは旅をしていない・・・。<br /><br />悪い事ばかりがウクライナであったわけではない。チェルノブイリ原発事故でベラルーシやウクライナの多くの子供たちが、私の地元の原爆病院に移送された事は、当時の広島でも話題になっていたが、一部のキエフの人たちは私が広島人だとわかると、ウクライナの子供たちを救ってくれた広島の人達に逢う事ができたことがとても嬉しい、と感激してくれたり、史上最悪の放射能汚染事故と原爆が彼らの中で重なり合い、妙な親近感を持つ人もいた。前編での紹介のように、困っている時に助けてくれる人もおり、ウクライナ人個人との付き合いは良かったが旅の経験が浅い段階で思いもしないハプニングに遭遇し、対応できなかったから余計にウクライナの旅の印象が良くないのだろう。ウクライナにはまた訪れ、今度は楽しい旅にしたい。

何故かハプニングに見舞われるウクライナ 3−3 麻薬常習犯に間違われる!?

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1995/02/10 - 1995/02/13

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worldspan

worldspanさん

翌96年ウクライナに再入国した。昨年の二の舞いを踏むまいと事前に宿を調べていたので、モスクワから列車でキエフ駅に到着すると、真っ直ぐ地下鉄で目星のホテルへと向かった。ホテルは当時一泊朝食付でツイン36US$だったブラチスラバホテルに3泊した。

ブラチスラバホテルで苦笑してしまったのが朝食。朝食は日を追うごとに貧素になって来る。初日ベーコンエッグに黒パン、パイナップル3枚に濃厚なオレンジジュースが出ていたが、二日目はパイナップルが一枚減り、そしてジュースが薄くなった。そして最終日にはパイナップルが僅か一枚、飲み物も水に色がついた程度のオレンジジュースに変わった。まるでホテルの経営がこの三日間で悪化してしまったのではないかと思うほど、初日と最終日の朝食は劇的な変化を遂げた。ほぼ同じ日程で偶然にも毎日同じ時間帯に、しかも食堂で隣りの席に座っていたドイツ人はパイナップルの入ったグラスを持ち上げ、本当に一枚しかないのか目を疑っていた程だ。

 そしてホテルのロビーには夜になると美しい蝶達が艶美な眼差しで宿泊している男達を誘う。しかし彼女達には気をつけなければならない。ホテルの外には彼女達が覚せい剤を回し打ちをしていたのだろうか、幾つもの注射器が捨てられていた。旧ソ連では注射の回し打ちによりHIVが急速に拡大した。勿論彼女達が打っていたのか否かわからないが、覚せい剤を投与していた娼婦は少なくないと聞いていたので可能性は捨てきれない。こうした背景の中、市場を歩いていた私自身がまさか覚せい剤の常習犯に間違われて拘束されようとは思いもしなかった

この時友人とキエフに訪れ、二人でブラチスラバホテル近くの市場を歩いていた。すると巡回中の警察に目を付けられ、職務質問を受けた。これくらいの事は旧ソ連圏では良くある事だが、彼らは直ぐに我々を拘束し、自分達二人は理由もわからず、連行されてしまった。当時まだ経験の浅い自分はどうしてよいやら当惑ばかりしていた。連行後、警察は入国目的やルートを執拗に聞き、自分達の持ち物や、身体検査までも行った。普通旧ソ連圏で警察が持ち物検査をする時は、現金や金目の物を強請り取る為に荒捜しするが、彼らは鞄に入れていたカメラや、身に着けていた財布の中の現金には全く目もくれなかった。彼らは自分達から一体何を捜しているのだろうか?

 彼らは我々のバックを引っ掻き回したが、目当てのものは我々の所持品の中からみつからなかったが、彼らはロシア語やウクライナ語がわからぬ自分達に、彼らは捜している物体を手で表現した。そして自分達が警察に拘束された理由がようやくわかる。彼らが表したものは、注射器、つまり自分達を覚せい剤の常習者と見間違えて拘束したのだ。そんなもの持っているはずもない。我々は慌てて首を横に振ったが彼らは私の腕を捲り、注射の痕跡を凝視して捜した。最終的に疑いも晴れて解放されたが、麻薬常習者と間違われた事にショックを受けた。

 彼らはなぜ我々が麻薬常習者だと思ったのだろうか?実はこの時自分の格好は蛍光色の帽子にサイクリング選手の履くようなピチピチの蛍光のストライプカラーのショートパンツ、彼らは自分の着用している服装から判断したのだろう。麻薬常習者は蛍光色等を好んで身に付ける習性があると聞いたことがある。何とか解放され後、友人は開口一番こういった。「捕まったのは我(お前)のせいじゃ!我とは旅行しとぅないわ。我が変な格好しとるけぇ間違えられるんじゃ!」、その後彼とは旅をしていない・・・。

悪い事ばかりがウクライナであったわけではない。チェルノブイリ原発事故でベラルーシやウクライナの多くの子供たちが、私の地元の原爆病院に移送された事は、当時の広島でも話題になっていたが、一部のキエフの人たちは私が広島人だとわかると、ウクライナの子供たちを救ってくれた広島の人達に逢う事ができたことがとても嬉しい、と感激してくれたり、史上最悪の放射能汚染事故と原爆が彼らの中で重なり合い、妙な親近感を持つ人もいた。前編での紹介のように、困っている時に助けてくれる人もおり、ウクライナ人個人との付き合いは良かったが旅の経験が浅い段階で思いもしないハプニングに遭遇し、対応できなかったから余計にウクライナの旅の印象が良くないのだろう。ウクライナにはまた訪れ、今度は楽しい旅にしたい。

同行者
友人
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー ヒッチハイク
航空会社
アエロフロート・ロシア航空
  • ウクライナの農夫達

    ウクライナの農夫達

  • 果てしなく平原が広がっています。

    果てしなく平原が広がっています。

  • ウクライナの田舎町です。

    ウクライナの田舎町です。

  • とある駅の情景。駅と言うのは独特の雰囲気があります。

    とある駅の情景。駅と言うのは独特の雰囲気があります。

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