2006年スイスの旅（１３）ビール/ビエンヌとタウベンロッホ渓谷

2006/08/28 - 2006/08/28

ビール（ビエンヌ）はフランス語圏とドイツ語圏の丁度境界にあって公用には両方の語を併記する義務があるという珍しい町。他所では（たとえば郵便局はフランス語圏ではla Poste,ドイツ語圏ではdie Postと）夫々の語圏に合わせた単一の表現だ。
同じように境界にあるシオン（シエール）は駅名の表示では併記だが私の印象ではフランス語が多用されており、郵便局もla Posteだけの表示だったと記憶している。
町はフランス語圏のヌシャテルとドイツ語圏のベルンの中間に位置しているがヌシャテルによく似た歴史を持っている。スイス統一独立の前はスイス盟約者団に入った従属邦でありながら同時にバーゼル司教を領主とする複雑な政治体制だった。
駅を出ると近代的な町並みで、ある人はフランス的というが私にとっては活気のある、むしろドイツ・スイス的のようにとれた。ちなみにスウォッチとオメガの本社はここにあり時計産業が盛んな町だ。
町の大通りを過ぎて旧市街に入ると馴染みの深い中世的雰囲気。街を一通り見た後でビール湖畔に行くつもりだったがパンフで近郊のタウベンロッホの存在を知り、ここの駅前の観光案内で行き方を聞いてそちらに行き先変更。この渓谷は手短かにミニ・ゴルジュ（シュルフト）を体験できる渓谷だと思う。
午後にはここを去ってムルテン/モランに行く予定なので少し慌しい見物だった。

エリア ビエンヌ(スイス)

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: JAL

ビールに行く列車のまどからヌシャテル湖の向こうにアルプスが見える。今日の天気予報はかなり悪いはずだったのだが。

司教の要塞があったことからその名がついたブルク広場にある正義の女神の噴水。

リンク広場の全景。ビールがバーゼル司教の支配下にあった11世紀からフランス革命の間は町の中心であった。裁判もここで行われ被告は半円上に並ぶ評議員の前に立たされたのでRink（輪）広場といわれた。周りはアーケードと小塔を備えた家が並ぶ。右端は聖ブノア教会（Stadtkircheとも）。

たまねぎ形のドーム塔とゴシック様式の窓を持つZunft(中世の同業組合）の会館。リンクに面しその中心に騎士の噴水がある。

ビールの旗を持つバナレット騎士の噴水。この騎士は民兵と戦争を象徴する。後の左はツンフト会館のたまねぎ形の屋根の塔。右は聖ブノア教会の塔

同じくリンク広場に面した建物。いずれもベルン風のアーケードを持つのが特徴

リンク広場からオーバーガッセへ抜ける道

オーバーガッセに家並みベルン様式のアーケードのある家とブルゴーニュ風の家がならぶ。ここの通りの中央は並木が並びリンク広場周辺とちょっと雰囲気が違う。

オーバガッセのリンク広場側の端にある天使の噴水。悪魔の脅しから子羊を抱いて護る天使

タウヴェンロッホ峡谷へはバスで下流から行くのと、列車で上流から行くのとが現地の案内パンフに出ているが案内所で後者の列車利用をすすめられる。マイナーな案内パンフは仏、独のみが多いので困る。
旧市街からビール本駅に戻りムーティエ行きの支線で次の駅フリンヴィラー/タウベンロッホで降りる。駅の横の広い道に出て右方向に少し歩くとこの道標が見えて一安心。

谷に入るところで出会ったのはこの水路。間違えたかな。それともちゃちな谷かも。
午後にはムルテンに行きたいので時間がもったいない。列車の時間を考え30分歩いて引き返すかどうかを判断することにして歩き出す。

先ほどの水路はここでは川に変わる。

川幅が狭まり渓谷らしくなる

石灰岩層の特徴で岩から水が染み出る所が見られる。

古い石橋が架かっているが通行禁止

谷はだんだん深くなり峡谷らしくなってくる。平野に近くても立派な渓谷があるいい例だ

トンネルもあって道の整備がいい。都会に近いのにまったく人に会わなかった。天気が悪いせい？

川はねじれて浸食し、まさにゴルジュの様相

やがて谷巾が広くなり、流れも遅くなり渓谷の終わりを告げる

渓谷の末端にある。工場の廃屋？と思ったらその建屋の続きはまだ会社として機能していた。こんな谷間にわざわざ工場を作ったのはかっては水力を利用していたからだろう。

手前の建屋では人の気配がする。ここまでの歩きの時間は約40分

建屋の看板で時計関連工場とわかる。ここから100mぐらいで交通の激しい道路に出る。そこはビール駅へのバスが頻繁に通る完全な市街地。