2006/09/25 - 2006/09/25
666位(同エリア772件中)
フーテンの若さんさん
- フーテンの若さんさんTOP
- 旅行記250冊
- クチコミ4件
- Q&A回答0件
- 422,317アクセス
- フォロワー13人
フロリダ半島の先端、アメリカの最南端の町、キーウエスト。名前だけは僕も聞いたことがあった。多分、ラップの歌詞とかに出てきていたと思うし、テレビでも特集されていたことがあっただろう。でもキーウエストが実際どんな場所かは皆目知らなかったし、そこがアメリカにあるということすら今回の旅行で始めて知った。ただ、名前から想像するに「甘美」な南国の楽園というイメージがあった。
キーウエストに至るまでは陸続きではない。約50の点在する島々を42の橋で結ぶハイウェイで渡る。それが「世界一美しいハイウェイ」といわれるオーバー・シーズ・ハイウェイだ。終点7マイルに至ってはセブン・マイル・ブリッジといわれ、海上に島を繋ぐ橋だけが立っている。まさに楽園への架け橋。右はメキシコ湾、左は大西洋。見渡す限りは海と空のみ。天国への道がもし可視化できるとしたら、こんな風景かもしれない。この道は永遠に続くようでもあるし、既に終点が見えているような気もする。一つだけ確かなのは片側1車線なので途中で停車もUターンもできない。つまり、終点の楽園まで行ってしまわないと引き返すことはもうできないのだ。果たして「甘美」な楽園に行って、現世に戻って来ることができるのだろうか?ここまで来て躊躇はできない。僕はアクセルをさらに踏み込んだ。1度目は少し躊躇して弱く、しかし2度目は現世に未練がないことを確認するかのように思い切り。さしてパワーのないクライスラーのエンジンが苦しそうにうねりをあげる。
キーウエストに到着。夕方はサンセットを見にマロリースクエアには観光客がゾロゾロ集まる。日が沈みかけると大道芸人たちの芸が始まり、一層賑やかに。ワインやビールを片手にアメリカ最南端から夕日を楽しむ。周りを見るとお爺さんお婆さんと年配の観光客の姿が多い。時間がゆったりと流れている。ただ僕のイメージ、「甘美」ではなかった。もっと健全。老人たちが余生を楽しむ、小さな南の島の風景。へミングウェイが晩年住んでいたのもよくわかる。
僕が「甘美」な楽園に到着するには早すぎたのかもしれない。幸か不幸か、僕にはまだ帰りの道が開かれていた。その橋は、逆光を浴びながら、はるか奥に突き抜けるようにまっすぐと延びていた。まるで、これからも現世の人生が長く続くかのように。
PR
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0