2005/06/24 - 2005/06/24
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mozartianさん
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カナダ・アラスカ旅行 第3日目
今日は9時間40分かけてスーセントマリーからハーストまで、アルゴマ・セントラル鉄道の定期列車(週4往復)で476kmの移動です。
この鉄道は、鉄鉱石運搬と森林資源開発の目的で五大湖側から北極海に面したハドソン湾まで敷設する計画で1899年に工事を開始し、1914年にスーセントマリーから中間地点のハーストまで開通したが、以北の工事は断念されました。1998年にWawa 鉄鉱石鉱山が閉山となってからは、アルゴマ・フォレストと呼ばれる森林の開発のみとなり、旅客列車は週に夏4往復、冬3往復が運転されるほか、1972年から夏から秋にかけて「アガワキャニオン観光号」がスーセントマリーからアガワキャニオンまで毎日1往復運転されていて、紅葉シーズンには30両近い編成になり非常に賑わうようです。
南の混合林に覆われた起伏のあるカナダ楯状地(カナディアン・シールド)とムースが生息する大きな湖のある針葉樹林に覆われた北の大粘土地帯を結ぶ沿線は手付かずの自然に溢れ見どころが多い路線です。
この鉄道には「キャニオン・コンボ」と称する面白いプランがあります。「アガワキャニオン・ツアー号」運転日に合せて、客はこの列車に乗ってキャニオンに先に着いて約2時間の観光をすると、荷物は後続の定期列車に積んでくれるので、観光後これに乗り込めば荷物の心配なしに先に向かえるというものです。私も「キャニオン・コンボ」の利用を考えたが、日程と運行日が合わず断念し、車窓からの観光のみとなりました。なお、鉄道会社では、S.S.マリーやハーストの宿泊設備、沿線のロッジの斡旋もしてくれます。
日本出発の2日前になって、列車とホテル予約を依頼した鉄道会社の Mrs. Kelly Boothから、緊急メールが入りました。列車に乗る予定の24日に、Geometric Carによる線路点検をすることになり、列車運行がキャンセルされるかも知れないが、確実なことは不明とのことでした。
S.S.マリーから次の目的地 Cochrane まで交通機関はなく、トロントに戻ってもNorth Bayまでしか空路はありません。これでは初日から躓くことになるが、とに角行ってみようと腹をくくりました。ところが、出発当日の午前に彼女からGood Newsとして、点検は延期になったとの知らせが入りヤレヤレとなりましたが、あわやの二日間でした。
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ステーション・モール前にある鉄道駅舎裏の乗り場です。列車は客車2輌と荷物車2輌の僅か4輌編成。
この日の乗客は私の他はアメリカ人らしい11人の男性だけ。乗客は私だけという途中区間も相当にありました。終着駅で降りたのは、私の他は父親の仕事の関係で横浜に住んでいたことがあるアメリカ人の家族連れ3人だけでした。 -
発車前の機関車です。借用なのか、お下がりなのか、カナディアン・ナショナル鉄道のマークがそのままでした。上に乗っている人物は車掌です。発車後、車掌が検札に来て乗車券を持っていこうとしたので記念に欲しいと言うと、後からパンチを入れて持ってきてくれました。(逆光のため見苦しい写真で申し訳ありません。)
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鉄道路線図(鉄道ホームページより)
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発車後、列車は疎林の中を40分ほど走ると、車窓からは湖とカナディアン・シールド(カナダ楯状地)が目につき始めます。線路際の開けた場所には色とりどりの花が美しく咲いていますが、その両側は針葉樹林です。右側に次から次と湖が現れます。湖には1〜2軒のログハウスやロッジがあるだけで、集落らしいものはありません。更に北に行くにつれてその人の気配もなくなります。
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途中のHawk Junction駅。沿線で集落を見かけたのは、こことOba Junction駅だけでした。
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Hawk Junction駅
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昼になりました。
この列車に食堂車がある筈もありませんが、なんと調理(コック)兼売り子が乗務していて注文すると、サンドイッチ程度のものはその場で作って席に持ってきてくれるのです。(3日後−その5−に乗った同じ2輌編成の列車にはなんと食堂車が連結されていました!)日本の鉄道なら、このような閑散路線の列車に売店すらある筈もないし、仮にあったとしても既製品の弁当類しか置いていないでしょう。いま私一人しか乗っていないこの列車には、贅沢なものはありませんが、メニューが張ってあり、注文により車内で、ハムやチーズや野菜を挟んだサンドイッチ類を作ってくれるサービスがあったのです。
この調理員がこの日作ったのは結局私の昼と夜の2食だけでした。私は500km近くを専従コック付きの列車で旅行したことになるのですが、この贅沢を喜んでばかりはいられません。貨物も旅客もこれほど閑散としていては、鉄道が或いは列車が、いつ廃止に追い込まれてもおかしくないからです。
看板列車においてすら食堂車を次々と廃止してしまって、乗客から旅先で食べることの楽しさを奪ってきたJR各社の運賃収入からも、車内の販売からも利益を上げようとする姿勢からは旅の楽しさは生まれてこよう筈もありません。
この鉄道には、美しい車窓風景だけではなく、贅沢とはいえない質素な車内サービスから生まれる、本当に贅沢な旅がありました。 -
車内。このときの乗客は私だけでした。
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殆ど空の荷物車
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Wyborn駅で。終着駅Hearstの一つ手前のこの駅で停車し、運転はここで打ち切りとなるのでタクシーに乗り換えてくれと言う。2時間以上と大幅に遅れたのが理由のようだが、あと僅か2kmなのにと何となく割り切れないが、手回し良くタクシーは既に駅(と言っても建物も、ホームも何もない)に来ていました。(20時45分)
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結局終着駅(正確には一つ手前)で降りたのは、私のほかは途中駅から乗った父親の仕事の関係で横浜に住んでいたことのあるというアメリカ人の家族連れ3人だけでした。タクシーでホテルまで送ってもらって、複雑な意味で贅沢な列車の旅は終わりました。(太目の女性はタクシードライバー)
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