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 フラメンコを見せる店をタブラオと言うのだが、アルハンブラ宮殿城下のサクロモンテにあって、フラメンコの盛んなアンダルシアでも評判が高く、ここだけは是非とも行きたいと思っていた「Cuevas Los Tarantos(タラントスの洞窟)」のパンフレットをHビクトリアで見つけ、宿泊者でもないのに、9時半のバス送迎付きで予約をしてもらった。<br /><br /> そのマイクロバスには6人しか乗ってなく、城の夜景が見れる場所に寄りながら、10時半頃に着いた。洞窟のタブラオと言うが、正面から見た感じは旧市街にあるほかの建物とあまり変わりなく、奥にあるステージの辺りが洞窟になっている。洞窟の前にタブラオを建てたと言う感じか。しかし、有名な(筈?)タブラオなのに、客は20人くらいで、その内6人が日本人だった。ここは日本人にだけ有名なタブラオなのか?前の方の席に着くと、飲み物の注文を取りに来た。3000ペセタ(2000円くらい)あまりしか払ってないので、飲み物は別料金かと身構えたが、ドリンク込みとの事、サングリアと言うとたっぷり持って来てくれた。ステージは休憩を挟んで1時間半ほどあるそうだ。終わった頃には日付が変わる訳だが、日本人客の一部は早くも、うとうとしていた。<br /><br /> さてステージが始まった。全部で7人(女性は3人)がステージに上がる内、楽器を持っているのは一人だけだが、他の一人が木箱に座って、ドラムの様に叩き、足を踏み鳴らす。舞台の床全体がこの音を響かせるようになっていて、それが洞窟全体で反響するので、すごい迫力だ。<br /><br /> 足踏みだけでもゾクゾクするような響きに加えて、歌が始まる。ジプシーキングスの曲を一通り聞いた事ある人になら理解できるかもしれないが、腹の底から出る、叫ぶような、うめく様な声で、これには息を呑んで聞き惚れた。そうか、ジプシーキングスの名前はここから来ていたんだと言う事をこの時初めて気がついた。良く考えてみればフラメンコはジプシー音楽だったんだ。<br /><br /> 足踏みと声だけで、すっかり満足したところで、女たちが踊り出す。最初に踊ったのが、年をとって太っていたので気分を害してしまったけれど、次の女は典型的インド人顔でジプシーの歴史を感じさせた。そして、3人目の女は実に情熱的だった。時に誘惑し迫り来るようであり、それでいて今にも襲いかかるような殺気があり、映画「氷の微笑」の様な緊張感に瞬きもできずにいて、彼女が踊り終えると、息をつくのを忘れた事に気がついたほどで、他の観客の拍手に我に返って、手が痛くなるまで拍手していた。この女たちが交互に出番を繰り返し、最後に写真の男が踊りだした。断じて同性愛の趣味などないのだが、この男の踊りはあまりに美しい。長身にすらりと伸びた手足がリズムに合わせて踊るうちに、腕は刀の様にも見えてくる。彼は単に踊っているのではない。長い髪が散り、汗がひかるのを見ているうちに、「そうだ。彼は神であり、私の目の前で魔物と戦っているのだ」と思えてきた。見ている私も戦っていた様で、彼が戦いを終えた時には、アドレナリンが私の全身をまわって、勝利の高揚感に打ち震えていた。<br /><br /> ステージが終わり、ホテルに送ってもらった頃は1時近くになっていたが、それでもなお、興奮は冷めず、日本に電話して、ステージの興奮とそれでも寝ているふとどきな日本人観光客の話を熱く熱く伝えた。「ああ、これが『はまる』と言う事なんだね」と実感した・<br />

グラナダでフラメンコを見る

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1997/11/03 - 1997/11/04

1385位(同エリア1553件中)

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KAKU-SAN

KAKU-SANさん

フラメンコを見せる店をタブラオと言うのだが、アルハンブラ宮殿城下のサクロモンテにあって、フラメンコの盛んなアンダルシアでも評判が高く、ここだけは是非とも行きたいと思っていた「Cuevas Los Tarantos(タラントスの洞窟)」のパンフレットをHビクトリアで見つけ、宿泊者でもないのに、9時半のバス送迎付きで予約をしてもらった。

そのマイクロバスには6人しか乗ってなく、城の夜景が見れる場所に寄りながら、10時半頃に着いた。洞窟のタブラオと言うが、正面から見た感じは旧市街にあるほかの建物とあまり変わりなく、奥にあるステージの辺りが洞窟になっている。洞窟の前にタブラオを建てたと言う感じか。しかし、有名な(筈?)タブラオなのに、客は20人くらいで、その内6人が日本人だった。ここは日本人にだけ有名なタブラオなのか?前の方の席に着くと、飲み物の注文を取りに来た。3000ペセタ(2000円くらい)あまりしか払ってないので、飲み物は別料金かと身構えたが、ドリンク込みとの事、サングリアと言うとたっぷり持って来てくれた。ステージは休憩を挟んで1時間半ほどあるそうだ。終わった頃には日付が変わる訳だが、日本人客の一部は早くも、うとうとしていた。

さてステージが始まった。全部で7人(女性は3人)がステージに上がる内、楽器を持っているのは一人だけだが、他の一人が木箱に座って、ドラムの様に叩き、足を踏み鳴らす。舞台の床全体がこの音を響かせるようになっていて、それが洞窟全体で反響するので、すごい迫力だ。

足踏みだけでもゾクゾクするような響きに加えて、歌が始まる。ジプシーキングスの曲を一通り聞いた事ある人になら理解できるかもしれないが、腹の底から出る、叫ぶような、うめく様な声で、これには息を呑んで聞き惚れた。そうか、ジプシーキングスの名前はここから来ていたんだと言う事をこの時初めて気がついた。良く考えてみればフラメンコはジプシー音楽だったんだ。

足踏みと声だけで、すっかり満足したところで、女たちが踊り出す。最初に踊ったのが、年をとって太っていたので気分を害してしまったけれど、次の女は典型的インド人顔でジプシーの歴史を感じさせた。そして、3人目の女は実に情熱的だった。時に誘惑し迫り来るようであり、それでいて今にも襲いかかるような殺気があり、映画「氷の微笑」の様な緊張感に瞬きもできずにいて、彼女が踊り終えると、息をつくのを忘れた事に気がついたほどで、他の観客の拍手に我に返って、手が痛くなるまで拍手していた。この女たちが交互に出番を繰り返し、最後に写真の男が踊りだした。断じて同性愛の趣味などないのだが、この男の踊りはあまりに美しい。長身にすらりと伸びた手足がリズムに合わせて踊るうちに、腕は刀の様にも見えてくる。彼は単に踊っているのではない。長い髪が散り、汗がひかるのを見ているうちに、「そうだ。彼は神であり、私の目の前で魔物と戦っているのだ」と思えてきた。見ている私も戦っていた様で、彼が戦いを終えた時には、アドレナリンが私の全身をまわって、勝利の高揚感に打ち震えていた。

ステージが終わり、ホテルに送ってもらった頃は1時近くになっていたが、それでもなお、興奮は冷めず、日本に電話して、ステージの興奮とそれでも寝ているふとどきな日本人観光客の話を熱く熱く伝えた。「ああ、これが『はまる』と言う事なんだね」と実感した・

同行者
一人旅
交通手段
鉄道

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