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 タリン<br />                2000年10月17日〜10月18日<br /><br />  朝サンクトペテルブルグのホテルを出発してバスでエストニアに向かった。白樺と松、杉、ポプラなどの林と牧草地ばかりが続く単調な平地を走行して、約3時間後国境近くのナルヴァにさしかかった。やがてバスが止まって出国検査のためロシアの検査員が乗り込んできて顔と見比べながらパスポートを回収していく。パスポートに検印がおされて返ってくると次はバスに積載してある荷物を下ろして、各々が自分の荷物を携帯してX線装置を通し安全検査を受けるのである。その間バスは別の場所で検査を受けることになる。<br /><br /> 乗客達が重たい荷物をめいめいに持って行列を作り検査機のある所まで来ると、係員は検査機を通さないでも構わないからどんどん通れという。添乗員の説明によれば、几帳面な係員だと一々機械を通すので時間がかかるが、運がよければ通さずに済むこともあるとの事前の説明であった。<br /><br /> 今回は運よくずぼらな係員に当たったらしい。それにしてもこの国境線でのX線検査の意味がどうもよく理解できない。これから入国しようという旅行者に対しては、爆発物や危険有害物の検査の必要性は理解できる。しかし出国しようとする旅行者に対しては検査自体が無意味なのではないか。すくなくとも今までロシア領内では何事もなかったのだし、仮にこの後何事かがあったとしてもそれはロシア領外のことではないか。<br /><br /> 更に不可解なのはフインランドとロシア国境では携行通貨額の申告が必要であったがこの国境ではその申告書の提示すら求めようとしない。これも係員のずぼらのせいなのだろうか。否むしろこの係員のほうが合理的で且つ効率的なのであって、近時の外国旅行者の増加に対処して無駄な手続きを排除するという適切な対応をしているのであると思う。しかし彼も積載してある荷物を下ろす必要はないという所までは踏み込めない。規則または業務処理準則に抵触するからであろう。共産党支配下にあった官僚機構の硬直性や事なかれ主義が施行令や運用規則を見直したり、現状に適合した改定をするだけの智恵と勇気さえも失わせてしまったと見るほうが正しいのではなかろうか。やっとロシア国境をパスしたと思ったら今度はエストニア側で入国審査である。ここではパスポートの検査だけで比較的速やかにパスすることができた。再び、林の続く平野を長駆して黄昏時にエストニアの首都タリンの町へ到着した。<br /><br />  石灰石を積み重ねて建てた古い建物が並ぶ町に入って最初に受けた印象はサンクト・ペテルブルグに比べれば、建物の手入れがよく出来ているし、通りを往来する市電、市バスや自動車は年式も新しいものが多く、ロシアで見たようにオンボロの車両は見当たらないことであった。タクシーがベンツ、アウディボルボ等の高級車でいずれもピカピカによく手入れされていることも驚きであった。<br /><br />  タリンの町は中世には城壁で囲まれた城郭都市であり、町の西側には十二世紀に作られた円錐状の屋根を持った門塔や城壁の一部が沢山残っていて中世の面影を留めている。<br /><br />  ラエコヤ広場は旧市街の中心にあり、北ヨーロッパで現存する最古のゴチック様式の旧市庁舎や、バルト三国で最古の薬局が周りを取り囲んでいる。この界隈には瀟洒な店やレストランも多く明るく洗練された雰囲気を醸しだしている。<br /><br />  旧市街地から坂を登った小高い丘の上にはトームペア城が15世紀に建てられたままの姿で残っているし、城の後ろに立つ「ノッポのヘルマン」と愛称される48メートルの塔には1991年以来の独立を喜ぶかのようにエストニアの大きな国旗が翻っていた。城の隣にあるトーム教会から続く細い道を辿っていくと、急に見晴らしがよくなり、タリン市街の赤屋根の町並みが美しく広がっている。この展望所に立って美しい市街地をながめやるとそこには中世の街並がそのまま息づいているのではないかという錯覚に囚われそうになる。<br /><br />  13世紀に出来た聖オラフ教会、太っちょマルガリータの塔、<br />葱坊主の塔を持つロシア正教のアレキサンドル・ネフスキー教会等の歴史的建造物も保存状態良好に残されていて我々観光客の目を楽しませてくれ、旅情をそそってあまりあるものが多い。<br /><br />  聖ニコライ教会では内部を見学するチャンスに恵まれたが、中に飾られていた「死の踊り」と題する1519年に描かれた絵は骸骨と王侯貴族達が交互に手を繋いでステップを踏んでいる図柄であり強烈な印象を受けた。世俗の栄耀栄華も束の間の儚い夢であるという含意があるのではないかなと解釈し、仏教思想の影響等を考えながら鑑賞した。<br /><br />  明日はラトビアへ移動であるから手持ちの通貨を使いきっておかなければならない。夕食にビールを飲んでなおかつ手元に27クロン程残っている。邦貨換算では僅か160円程の額に過ぎない。ところがここエストニアでは月4000クロン邦貨換算2万4000円で暮らせる物価の安い国である。キヨスクへ行って買えるものを探してみると五百CCの缶ビールが8.5クローネであるから邦貨で51円である。かくして缶ビール3本とチューインガムを買ってエストニアの通貨を使い切ることができた。ビールにしろウォッカにしろアルコール類が安いのは旅をしていて嬉しいことである。<br />

新生の息吹満ち溢れるエストニア

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2000/10/17 - 2000/10/18

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早島 潮

早島 潮さん

 タリン
     2000年10月17日〜10月18日

朝サンクトペテルブルグのホテルを出発してバスでエストニアに向かった。白樺と松、杉、ポプラなどの林と牧草地ばかりが続く単調な平地を走行して、約3時間後国境近くのナルヴァにさしかかった。やがてバスが止まって出国検査のためロシアの検査員が乗り込んできて顔と見比べながらパスポートを回収していく。パスポートに検印がおされて返ってくると次はバスに積載してある荷物を下ろして、各々が自分の荷物を携帯してX線装置を通し安全検査を受けるのである。その間バスは別の場所で検査を受けることになる。

 乗客達が重たい荷物をめいめいに持って行列を作り検査機のある所まで来ると、係員は検査機を通さないでも構わないからどんどん通れという。添乗員の説明によれば、几帳面な係員だと一々機械を通すので時間がかかるが、運がよければ通さずに済むこともあるとの事前の説明であった。

 今回は運よくずぼらな係員に当たったらしい。それにしてもこの国境線でのX線検査の意味がどうもよく理解できない。これから入国しようという旅行者に対しては、爆発物や危険有害物の検査の必要性は理解できる。しかし出国しようとする旅行者に対しては検査自体が無意味なのではないか。すくなくとも今までロシア領内では何事もなかったのだし、仮にこの後何事かがあったとしてもそれはロシア領外のことではないか。

 更に不可解なのはフインランドとロシア国境では携行通貨額の申告が必要であったがこの国境ではその申告書の提示すら求めようとしない。これも係員のずぼらのせいなのだろうか。否むしろこの係員のほうが合理的で且つ効率的なのであって、近時の外国旅行者の増加に対処して無駄な手続きを排除するという適切な対応をしているのであると思う。しかし彼も積載してある荷物を下ろす必要はないという所までは踏み込めない。規則または業務処理準則に抵触するからであろう。共産党支配下にあった官僚機構の硬直性や事なかれ主義が施行令や運用規則を見直したり、現状に適合した改定をするだけの智恵と勇気さえも失わせてしまったと見るほうが正しいのではなかろうか。やっとロシア国境をパスしたと思ったら今度はエストニア側で入国審査である。ここではパスポートの検査だけで比較的速やかにパスすることができた。再び、林の続く平野を長駆して黄昏時にエストニアの首都タリンの町へ到着した。

石灰石を積み重ねて建てた古い建物が並ぶ町に入って最初に受けた印象はサンクト・ペテルブルグに比べれば、建物の手入れがよく出来ているし、通りを往来する市電、市バスや自動車は年式も新しいものが多く、ロシアで見たようにオンボロの車両は見当たらないことであった。タクシーがベンツ、アウディボルボ等の高級車でいずれもピカピカによく手入れされていることも驚きであった。

タリンの町は中世には城壁で囲まれた城郭都市であり、町の西側には十二世紀に作られた円錐状の屋根を持った門塔や城壁の一部が沢山残っていて中世の面影を留めている。

ラエコヤ広場は旧市街の中心にあり、北ヨーロッパで現存する最古のゴチック様式の旧市庁舎や、バルト三国で最古の薬局が周りを取り囲んでいる。この界隈には瀟洒な店やレストランも多く明るく洗練された雰囲気を醸しだしている。

旧市街地から坂を登った小高い丘の上にはトームペア城が15世紀に建てられたままの姿で残っているし、城の後ろに立つ「ノッポのヘルマン」と愛称される48メートルの塔には1991年以来の独立を喜ぶかのようにエストニアの大きな国旗が翻っていた。城の隣にあるトーム教会から続く細い道を辿っていくと、急に見晴らしがよくなり、タリン市街の赤屋根の町並みが美しく広がっている。この展望所に立って美しい市街地をながめやるとそこには中世の街並がそのまま息づいているのではないかという錯覚に囚われそうになる。

13世紀に出来た聖オラフ教会、太っちょマルガリータの塔、
葱坊主の塔を持つロシア正教のアレキサンドル・ネフスキー教会等の歴史的建造物も保存状態良好に残されていて我々観光客の目を楽しませてくれ、旅情をそそってあまりあるものが多い。

聖ニコライ教会では内部を見学するチャンスに恵まれたが、中に飾られていた「死の踊り」と題する1519年に描かれた絵は骸骨と王侯貴族達が交互に手を繋いでステップを踏んでいる図柄であり強烈な印象を受けた。世俗の栄耀栄華も束の間の儚い夢であるという含意があるのではないかなと解釈し、仏教思想の影響等を考えながら鑑賞した。

明日はラトビアへ移動であるから手持ちの通貨を使いきっておかなければならない。夕食にビールを飲んでなおかつ手元に27クロン程残っている。邦貨換算では僅か160円程の額に過ぎない。ところがここエストニアでは月4000クロン邦貨換算2万4000円で暮らせる物価の安い国である。キヨスクへ行って買えるものを探してみると五百CCの缶ビールが8.5クローネであるから邦貨で51円である。かくして缶ビール3本とチューインガムを買ってエストニアの通貨を使い切ることができた。ビールにしろウォッカにしろアルコール類が安いのは旅をしていて嬉しいことである。

  • フトッチョマルガリータの塔

    フトッチョマルガリータの塔

  • ロシア正教のアレキサンドルネフスキー教会

    ロシア正教のアレキサンドルネフスキー教会

  • 中世の面影の残るタリン旧市街

    中世の面影の残るタリン旧市街

  • ラエコヤ広場にあるゴチック様式の旧市庁舎

    ラエコヤ広場にあるゴチック様式の旧市庁舎

  • タリンの街並み。二つの塔はViru gates

    タリンの街並み。二つの塔はViru gates

  • ノッポのヘルマン

    ノッポのヘルマン

  • 中世の面影の残るタリン旧市街

    中世の面影の残るタリン旧市街

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