この工事を安く、早く仕上げたのは、構造材を現場打ちコンクリートではなく、規格化されて生産基地で集中的に造り、プレハブ化したためのようだ。<br />さらに、現場作業を減らすことで、品質の向上も可能だったろうと推察する。<br /><br />線路はロングレールに、砕石道床で普通のもの。<br />線路両側の、通信・信号ケーブルを納めたトラフは、同時に保守用の通路として整備されている。<br />架空電車線を吊り下げるための電柱は、スマートな型鋼を使っていて、高架線路の両側に連続するコンクリート壁にうまく埋め込まれている。<br /><br />この辺りの、電気関係と土木関係の構造物は、設計者や施工業者が異なることから、日本ではこんなにうまくまとまらない。<br />見習うべき点かも知れない。<br /><br />コンクリート壁の外側が「く」の字に膨らんでいるのは、美観のためだろう。<br />駅も規格化が進み、プレハブブロックをふんだんに使ったようだ。<br />ルートは道路の真ん中を通っているが、都心の建物が密集している箇所では道路も狭く、一部ビルの間を曲がりながら抜けており、急カーブで速度制限をしている。<br /><br />南の終点で折り返し、北の終点MONUMENTO駅に着いた頃は、ラッシュアワー。<br />乗客はホームに溢れるほどで、座ろうとして次の始発を待つ者もいる。<br />北から折り返した私は、運転席の近くに立った。<br /><br />駅ごとに客が増え、車内の客は肌が触れ合うほどに混雑。<br />だが、それ以上に混雑はしなかった。<br /><br />客層は小綺麗な服装で、街を歩く一般の人たちより、豊かなように見える。<br />この電車は便利だが、低所得層にとっては、運賃が高過ぎるのだろうか。<br />気がつくと、運転席には二人乗務している。<br />一人は、ドアの開閉を受け持つ車掌の役割だ。<br /><br />再びVITO CRUZ駅に降りたときは、雨脚が強かった。<br />駅付近に、飾りのない黄色いジプニーが三四台。<br />客が一杯になると、次々に発車してゆく。<br />

フィリピン【18】マニラＬＲＴに学ぶ

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1987/12 - 1987/12

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#鉄道・バス

ソフィさん

この工事を安く、早く仕上げたのは、構造材を現場打ちコンクリートではなく、規格化されて生産基地で集中的に造り、プレハブ化したためのようだ。
さらに、現場作業を減らすことで、品質の向上も可能だったろうと推察する。

線路はロングレールに、砕石道床で普通のもの。
線路両側の、通信・信号ケーブルを納めたトラフは、同時に保守用の通路として整備されている。
架空電車線を吊り下げるための電柱は、スマートな型鋼を使っていて、高架線路の両側に連続するコンクリート壁にうまく埋め込まれている。

この辺りの、電気関係と土木関係の構造物は、設計者や施工業者が異なることから、日本ではこんなにうまくまとまらない。
見習うべき点かも知れない。

コンクリート壁の外側が「く」の字に膨らんでいるのは、美観のためだろう。
駅も規格化が進み、プレハブブロックをふんだんに使ったようだ。
ルートは道路の真ん中を通っているが、都心の建物が密集している箇所では道路も狭く、一部ビルの間を曲がりながら抜けており、急カーブで速度制限をしている。

南の終点で折り返し、北の終点MONUMENTO駅に着いた頃は、ラッシュアワー。
乗客はホームに溢れるほどで、座ろうとして次の始発を待つ者もいる。
北から折り返した私は、運転席の近くに立った。

駅ごとに客が増え、車内の客は肌が触れ合うほどに混雑。
だが、それ以上に混雑はしなかった。

客層は小綺麗な服装で、街を歩く一般の人たちより、豊かなように見える。
この電車は便利だが、低所得層にとっては、運賃が高過ぎるのだろうか。
気がつくと、運転席には二人乗務している。
一人は、ドアの開閉を受け持つ車掌の役割だ。

再びVITO CRUZ駅に降りたときは、雨脚が強かった。
駅付近に、飾りのない黄色いジプニーが三四台。
客が一杯になると、次々に発車してゆく。