百周年記念ホールは当日の演目がない為、内部の見学不可だったので、そのまま横にあるヴロツワフの現代美術館に向かった。建物外観...
続きを読むは百周年記念ホールとのバランスをとったデザインで同時期に展示会場として建てられた建物。2009年に国立博物館が引き継いで現代美術館として改装、内部の色が白で統一されており、内装デザインも見事な美術館である。
早朝で開館より早く着きすぎてしまい、手持ちぶさたで美術館前のベンチに座って待っていると、わざわざスタッフがこれでも見ておいたらと英語のリーフレットをくださる。その後、荷物をロッカーに入れようとしていると、別の男性職員があとで返してくれればといからと2PLNのコインを、お願いもしないので貸してくださった。良い人ばかりの美術館スタッフの方々。
スタッフの方々の愛想の良さはこの後も続く、閲覧中に面白い仕掛けがあって、それに今ひとつ気がつかないでいると、説明してくださる方が笑顔で駆けつけてくれ、子供のように楽しそうにケタケタ笑いながら「こうやるのよ」と説明してくださる。道順がわからなそうにしてれば「こっちよ」と説明しに来てくれて、これは見ておいたほうがよいとまで教えてくださる。なんだろう、この美術館の親切さは、という感じなのだ。おかげで、とても気持ちよく鑑賞ができた。
・特別展『po/wy/miary(measure-/assess-/ments) / IDO(Institut fur Deutsche Ostarbeit)に関する展示
特別展では、とても重いテーマでIDO(Institut für Deutsche Ostarbeit)に関する展示『po/wy/miary(measure-/assess-/ments)』があった。
このIDOとは、1940-1945年にナチスドイツがクラクフで運営したドイツ東部労働研究所(ドイツ東方労働者研究所)のことである。人類学者たちが研究運営したセクションについては論争の的となっている。その研究内容が、ポーランド文化の後進性や東欧がドイツ影響下に長らくあったことを証明する目的であったので、物議をかもすのもさもありなんである。
この研究の延長には東部総合計画(Generalplan Ost)というナチス・ドイツによる酷い計画がある。これはポーランド一帯のスラブ人やポーランド人を追い出して奴隷化し、ドイツ人がそれらの土地に入植するという計画であり、ソ連侵攻前に策定され一部実行に移された。こういったスラブ人蔑視の政策に科学者も結果的に荷担することになっていたのが、このIDOの展示から見て取ることができる。
アーティストは、今回の展示を通じて科学がナチズムによってどのように活用され、全体主義システムにどのように巻き込まれたかを提示している。見せ方は写真中心でモダンアート風の端正な展示が多い。淡々と事実が展示されているだけに、静々と問題の深みに引き込まれた。
詳細はコチラから↓
https://jtaniguchi.com/wroclaw-artmuseum-music/
閉じる
投稿日:2020/04/03