ユルギュップ(Ürgüp)から10kmほど南のアイヴァリ(Ayvalı)村。石器時代から人が住んでいたというガミラス渓谷にある洞窟ホテル。1000年以上前に修道院があった場所を改修し、1999年に開業。客室数35。
ツアーで2泊。大型車は入れないので、坂を下って小川の対岸まで5分ほど歩く。荷物はスタッフが運んでくれる。
渓谷の斜面に穿たれたいくつもの洞窟が客室(cave room)。洞窟以外にも、凝灰岩で造られた客室(stone room)もある。斜面の2階に相当する場所に受付やレストランがあり、ここがホテルの中心。客室は1階から5階に相当する辺りまであるが、移動は階段のみ。
35室は全て造りが異なるが、カテゴリーとしては10種類。部屋数が多いのはStandard(9室;25~30㎡)、Deluxe(8室;35~45㎡)、Cave Suite(8室;45~60㎡)の3つ。残りの7つは”Suite”と名がつくプレミアルーム(1~3室;55~160㎡)。
洞窟ホテルの部屋割りに関する話はよく耳にしていたので、(子供じゃあるまいし)籤引きとかじゃんけんは勘弁してほしいと思っていたが、ツアー会社も紆余曲折を経て「ホテルに任せる」方式に落ち着いた由。御同慶の至り。
アサインされたのは、112号室。部屋に入ると、驚くほど広い。どうやらCave Suiteと呼ばれる部屋。珍しく運に恵まれたらしい。
入口(旅館なら”踏込”にあたる部分)も3畳ほどの広さ。トルコ絨毯が敷かれ、3人は腰掛けられそうなベンチが置いてある。1段上がったリビングの左右にソファやベンチ(ちょっと年季が入っている)。中央には4~5畳はありそうな大きなトルコ絨毯。部屋の一番奥、アーチ状の窪みに置かれているのは、ワイドキング(225cm)のベッド。まるで王侯貴族の部屋。暖炉もある。バスルームは広く、バスタブはジャグジー風呂。
設備も十分。ベッドサイドにコンセント、壁をくり抜いた箇所には液晶テレビ(32型)。無料WiFi、冷蔵庫、ポット、金庫、ドライヤーは勿論、スリッパ、バスローブもあるが、歯ブラシはない。ミネラルウォーターは一人1本。インスタントコーヒーやティーバッグの他にカプセル式のコーヒーメーカーもあるので、部屋で寛ぐには十分。
レストランは2階。修道院時代の台所や食堂だった場所がそのまま使われている。stone room の屋上がテラス席になっていて、レストランとは小さな橋でつながる。緑の絡まる橋がいい雰囲気。ガゼボ風にカーテンで仕切るテーブルやブランコまであり、ホテルの全景を眺めながら食事やお茶を楽しむことができる。
朝食(7:30-10:30)はビュッフェ形式。料理の種類はそれほど多くはないが、ナッツ類や自家製ジャム、蜂蜜、牛乳など、地元の食材が並ぶ。
屋外テラスを始め、小さな庭やローマ様式のプールなど、絵になる風景が一杯。階段を登って行くと教会跡を経て、渓谷の最上部、”Upper Terrace” に出る。洞窟や石造りの家が建ち並び、小さなモスクやミナレットも見える。
時が止まったような静かな村には、小さなホテルの他には何もない。ビザンチン時代には修道院の隠れ家として使用されていただけあって、正に現代の「隠れ家」。静かに時を過ごすに相応しいホテル。お薦めです。