1677年創業、新市街と旧市街の境界線という観光に便利な立地にあるクールを代表する老舗ホテルです。グラウビュンデン州の伝統的なインテリアの館内に、スイスの国民的絵本作家のアロイス・カリジェが、友人であったホテル経営者一家に残した絵画がたくさん展示されていて、小さな美術館のような雰囲気でした。
宿泊した415号室には、カリジェの代表作『ウルスリのすず』が飾られていました。舞台となったグアルダ村で見てきた泉の周りを、大きなカウベルを鳴らしながら子供たちが回っている場面でした。
このホテルは古い建物で小さな部屋が多いのはわかっていたので、予算を追加してスーペリアルームを予約したのに、エレベーターを降りてから更に1階分の階段を上がらなければいけない屋根裏部屋となりました。狭い部屋はベッドで占有されていて、大きな扇風機側からベッドに行くのも大変なほどの狭さでした。部屋の照明はベッドサイドの灯りのみで、太陽が沈むと部屋は非常に暗く、窓際に置かれた細いデスクには照明もないので闇に包まれ全く使い物になりませんでした。暑くて暗い部屋では何もできないので、公共フロアにあるラウンジ「カリジェの間」で過ごすしかありませんでした。
屋根裏部屋から外階段を降りて、教会に面した屋上テラスに出られます。屋上テラスにはテーブルと椅子が置かれていたので、涼しいテラス席で日本から持参したカップめしに大豆、乾燥野菜を加えて食べました。極端な円安でなければ、ホテル併設の郷土料理も楽しめるミシュランレストランを利用するのもいいでしょう。
部屋の狭さをカバーするためか、アニメティは充実、歯みがきセットまでありました。ミネラルウォーターもガスありとガスなしの2種類あり、ガスなしの水は、ロマンシュ語で「こんにちは」の意味のAlleguraが商品名となっていました。ハイジが花束を持ってアルプスを歩いているシルエットがついた15cm四方の正方形のチョコレートもありました。
朝食は、コロナ対応が継続されていて、ラップでカバーされた小皿料理、カットフルーツもガラス瓶に入れられていました。
こちらのホテルは、普通のダブルルームも、その上のスーペリアダブルルームも、感覚的にはほとんど同じ面積のようです。屋根裏部屋の地図を見ると、414号室のダブルルームの方がバスルームが外側にあるだけ、スーペリアだとホテル側が主張する415号室よりも寝室面積は広そうなくらいです。そもそも公式サイトのスーペリアの写真は、窓の大きさからも屋根裏部屋ではないことは一目瞭然でした。公式サイトの写真ではデスクの上に照明、デスクの椅子以外に2つ椅子も置いてあります。415号室には照明も椅子も置くスペースがなく、サイトの写真とは大違いの部屋なのに、ホテル側はあくまでスーペリアだと主張しました。こちらのホテルは、金額を上乗せしてもそれに見合う部屋にはならない可能性があるので、詐欺にあった気分に陥りたくない場合は、ただのダブルルームにしておいた方がいいかもしれません。