重要文化財を保存しながら活用する一般に公開された多目的施設です!
- 4.5
- 旅行時期:2022/12(約3年前)
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by hiroさん(男性)
池袋 クチコミ:33件
『自由学園明日館(じゆうがくえんみょうにちかん)』は、ジャーナリストであった「羽仁 吉一・もと子」夫妻がキリスト教の精神に基づき”思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ”また”よく教育するとはよく生活させること”を理念に掲げるとともに新約聖書の一節”真理はあなたたちを自由にする”から学校名称を『自由学園』として、1921年(大正10年)に26名の女子入学生を受け入れて開校した女学校の木造校舎であり、1922年(大正11年)に現在の豊島区西池袋2丁目の地に落成した建築物です。
現在では生活学習・展示会・講演会・コンサート・結婚式および懇親会などの各種パーティー会場など広範囲で利用可能な多目的施設となっており、現在も『学校法人 自由学園』(所在地:東久留米市学園町1丁目)が所有しています。
この『自由学園明日館』の建設にあたっては、『自由学園』の創設者夫妻と友人関係であった建築家「遠藤 新」が1917年(大正6年)から「帝国ホテル(旧館)」の設計を引き受けた建築家「フランク・ロイド・ライト」の建築設計事務所に勤務していたほか、「帝国ホテル(旧館)」の設計・監理のために来日中の「フランク・ロイド・ライト」の助手をしていた1921年(大正10年)に「羽仁 吉一・もと子」夫妻を「フランク・ロイド・ライト」に紹介したことがきっかけとなり、夫妻が目指す教育理念に共鳴した「フランク・ロイド・ライト」が『自由学園』校舎の基本設計をしています。
『自由学園』開校翌年の1922年(大正11年)になると校舎の中央棟および西教室棟が完成、また1923年(大正12年)から翌年にかけて中央棟・食堂部分に「遠藤 新」が設計を手掛けた附属施設を増築、その後の1925年(大正14年)には西教室棟が完成、さらに1927年(昭和2年)になると校舎敷地の道路を挟んだ南側に「遠藤 新」の設計による講堂が完成しています。
ちなみに「フランク・ロイド・ライト」は、20世紀を代表する”近代建築の三大巨匠”と称されるアメリカ合衆国(ウィスコンシン州)出身の世界的に著名な建築家のひとりであり、「フランク・ロイド・ライト」が設計した日本国内に現存する建築物は、『自由学園明日館』および「帝国ホテル(旧館)」(正面玄関部分のみ愛知県犬山市の明治村に移築)のほかに「山邑邸(現:ヨドコウ迎賓館)」(兵庫県芦屋市山手町)さらに非公開の「林愛作邸(現:電通八星苑)」(東京都世田谷区駒沢)が存在します。
『自由学園』の開校後については、1925年(大正14年)ごろになると生徒数増加による移転計画が持ち上がり、現在の東久留米市学園町1丁目に広大な新たな学校用地を購入し、1930年(昭和5年)から1934年(昭和9年)にかけて移転が完了し、移転前の校舎は卒業生が在学中に学んだことを活かして社会に働きかける場所として活用される『明日館』と名付けられています。
その後の太平洋戦争において戦災を免れた『自由学園明日館』は、終戦後の1948年(昭和23年)から1973年(昭和48年)までの25年間を高等学校卒業後の女子を対象とした『自由学園生活学校』の学び舎として使用されたのちにバブル期を迎えると老朽化した建物の保存あるいは解体するかの議論を経て、1997年(平成9年)に国の重要文化財に指定されています。
その後は校舎部分の3棟を1999年(平成11年)から2001年(平成13年)の3年間、さらに講堂部分を2015年(平成17年)から2017年(平成19年)の2年間にかけて保存しながら活用する「動態保存」の施設として大規模な保存修理工事および耐震工事が実施され一般に公開された多目的施設として現在に至っています。
以前に『自由学園明日館』の講堂が会場となった催しを観るために講堂内部に立ち入った経験があり校舎部分も見学してみたいと思っていましたが、今回は池袋エリアを訪れる機会があったので『自由学園明日館』を改めて見学してみようと思い立ち寄りました。
コンパクトな敷地ではありますが、喫茶付見学料800円で大正時代の学校建築である校舎および講堂の外観・内観を写真撮影して廻り、かつての中央棟・食堂で当時のテーブルと椅子をそのまま使用している現在の喫茶室でコーヒーと焼菓子を頂くなどして、くつろぎながら楽しむことができました。
平日の午後に立ち寄りましたが池袋駅・メトロポリタン口から徒歩5分程度の住宅街に位置し、見学者も絶えることなく人気の観光スポットであることが伺えました。特に建築に興味のある方にお勧めできるスポットです。
機会があれば、現在は開催が見合せとなっている”ホリデーコンサート”などの催しが再開された際などにまた立ち寄ってみたいと思います・・・
- 施設の満足度
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4.5
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
- アクセス:
- 4.5
- 池袋駅・メトロポリタン口から徒歩5分程度の住宅街に位置します。
- 人混みの少なさ:
- 4.0
- 平日の午後でしたが、見学者も絶えることなく人気の観光スポットであることが伺えました。
- バリアフリー:
- 3.0
- 中央棟ホール部分、食堂(現:喫茶室)、F.L.ライト ミニミュージアム、講堂に段差・階段があります。
- 見ごたえ:
- 4.5
- 近代建築の巨匠と称される世界的に著名な建築家(F.L.ライト)が基本設計した国の重要文化財に指定されている大正時代の学校建築です。
クチコミ投稿日:2023/01/08
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