バレンボイム指揮のブルックナー8番を聞く
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- 旅行時期:2016/02(約8年前)
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by tadさん(男性)
赤坂 クチコミ:16件
3年ぶりにサントリーホールで演奏を聞いた。近年はウィーンで音楽会を聞くことに集中していたが、今年はウィーンに行かないことにした。代わりに、東京に来ると、このところ、何度か音楽会に行っている。
今回の演奏会は尊敬するDaniel Barenboimの指揮するStaatskapelle Berlinとの演奏でブルックナーの最大の大曲と思われる交響曲第8番の一曲のみの演奏会だ。このオーケストラはベルリン国立歌劇場管弦楽団がオペラではなく、コンサートホールで演奏する時の名称だが、バレンボイムとの長期にわたる名コンビは既に世界的な名声をもち、私もこの機会を逃したくなかったのだ。
バレンボイムは実は昨年11月にウィーンの黄金のホール、ムジークフェラインでステンメによる歌曲の伴奏ピアノを聞いたばかりだし、4年前にはベルリンで今回のオーケストラを指揮したワグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」を見ている。さらには、バレンボイムがウィーン・フィルを指揮した演奏会もロンドンで2回見ている。そのときの一曲はブルックナーの交響曲4番だった。バレンボイムを初めて見たのは1990年の東京で、ベートーヴェンのディアベリ変奏曲を弾いた。今回、特別に見逃したくはなかったのは、ブルックナー交響曲全曲を外国のオーケストラが日本で演奏するのはバレンボイムが初めてだったこともある。
ブルックナーの交響曲第8番は、4年前にベルリンで、ベルリン・フィルをメータが指揮した時、聞いたのだが、あの時は、もう一つ感動しなかった。ホールの音響が思ったほどではなかったし、メータとの相性が良かったようにも思えなかった。(ベルリンのフィルハーモニーは、低音がかなり軽い響きだ。)で、今回のバレンボイムとシュターツカペレ・ベルリンとのコンビはサントリーホールの素晴らしい音響効果もあり、すみずみまで、美しく響いた!無理に鳴らしすぎることもなく、すばらしいバランスを保ちつつ、耳には高音から低音まで満遍なく音が浸み込んできた。この両者のコンビはベルリンで見た時も感じたのだが、演奏家がバレンボイムを全面的に支持しているように思えるし、バレンボイムもメンバー全員を讃える。ベルリンでワグナーを振った後、演奏家を全員、オペラのステージに上げて、歌手と一緒に喝采を浴びていた。その真ん中にバレンボイムがいたのは感動的なシーンだった。今回もそのような感動的なシーンが再現された。客演指揮者が2,3日練習して、すぐ演奏するような、そんなよそよそしい音楽会とはまったく異なることは明らかなのだ。今回、一晩しか聞けなかったが、このブルックナー・シリーズを聞けた人は、得がたい幸運というべきだろう。
- 施設の満足度
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5.0
- 利用した際の同行者:
- 一人旅
クチコミ投稿日:2016/02/25
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