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八戸にて雅やかなかほりを満喫 … 『千陽本店』。

  • 4.5
  • 旅行時期:2012/01(約12年前)
loropianaさん

by loropianaさん(男性)

八戸 クチコミ:3件

"千陽"さんというと鮫町にある八戸水産科学館マリエントの四階にある太平洋を臨む"千陽"さんを思い浮かべら
れる方も居られることと思いますが両店ともに腕を揮われているのは店主である『原 泰典』さんであり客席全般を
見て居られるのが店主の実母である『原 佑子』さんなのです。

マリエントの"千陽"さんは11:30~15:00迄の営業でどなたでも手軽に利用できる店ですが新たに堤町に構えられ
た"千陽本店"さんは18:30~の営業で完全予約制の料理店です。といっても以前の"千陽本店"さんは"焚久味"
さんが現在、店を構えている場所にあった訳ですから新たにという表現より再びという表現の方が適切でしょうか。

伺ったのは京都の寝城から盛岡の寝城へと移動した一月中旬の土曜日のこと、久しぶりに味わう原さんの料理を
楽しみにして寄せて戴きました。

今回は二階に或るプライベートルームを貸切での利用、先ずはハートランドの生ビールで喉を潤し料理は『活いか』
を使った『千陽流いか腑腸和え』。平たく云えば『いかの塩辛』ですがその辺りの居酒屋で供されるものとはモノが
違います。最も活かった食感を愉しむことが出来る耳の部分と弾力のある身の部分は糸造りにされ中央部に鎮座、
その周りを細かく刻まれて腑腸を和えられた下足が囲んでいます。これを混ぜ合えて戴くのですが濃厚な腑腸の味
を纏った『耳』のパリパリ感と身の部分のモッチリ感、細かく刻まれた下足のプチプチとした食感がアクセントとなり、
単なる塩辛とは一線を画す立派な一品料理に昇華させられておりました。烏賊の箸置き確信犯的に使われている
辺りも流石です(笑)

二品目は氷を敷き詰めた器に、ひと足早い春の息吹を感じる『筍の造り』に粟腑とマイクロトマト、筍と云えば四月頃
が本格的な収穫時期となる食べ物ですが南国 鹿児島産の宮内庁御用達の業者より直接仕入れられたという『筍』
を一月中旬に八戸で味わうことが出来る幸せ。筍は小ぶりで灰汁がなく造りとして戴くには最適なものでした。
自然の甘みが口中に広がり早春の香りが鼻腔から抜けるこの感覚は正に春の訪れを感じさせてくれる一品であり
思わず頬が緩みました。湯剥きされたマイクロトマトは酸味と甘味のバランスが良く、モッチリとした食感が味わえる
『粟麩』には勿論、おろしたての『本山葵』。

三品目の料理は『造りの盛合せ』。造りと云えば東北の地に店を構えながらも紅白の色採りで鮪や『鯛』を兎角、
使いたがる店もありますが残念ながら東北では美味しい『鯛』を味わうことが出来ません。山形や秋田でも確かに
鯛は獲れますが能登沖以北の鯛は猫も跨ぐと云われますし稀に三陸沖でも水揚げされる鯛に至っては更に大味で
あり天然モノとは云っても食べられたものではありません。京阪神で供される本当に美味しい『鯛』の味を知っている
店主は紅白の色採りを『鱒の介』と天然ものの『とら河豚』で現しての登場です。
『鱒の介』とは『キングサーモン』のこと。適度に脂ののった身は口の中でとろけます。そして『とら河豚』は対極の歯
応えを楽しめるようにと『河豚ブツ』に近い厚切りというように食感の強弱まで全て計算されています。

四品めには『伊賀牛の網焼すてーき』と『海老芋の田楽仕立』の『焼物』。『伊賀牛の網焼すてーき』は表面を岩塩と
ブラックペッパーを効かせパリッとした食感で中は綺麗なピンク色、肉は店主の拘りにて若い雌牛を使われています。
雌牛の脂は雄牛や去勢された牛の脂に比べ融点が低いということは賢者の方であればお判り戴けると思います。
ステーキの美味しさは肉の本来の味を愉しむのならば赤身肉が良いでしょうが一般的には溶けた脂が肉のエキス
と舌の上で一体化することで美味しいと感じる筈、脂は口内の温度で溶け出し口福な気分にしてくれる凄い肉でした。
一方の『海老芋』は舌にねっとりと絡みつく美味しさで田楽みその中には隠し味にバルサミコ酢が使われているよう
な味がしました。

続いて供された料理は『椀物』代わりの『鍋』、鍋の種ものは造りでも味わった『鱒の介』に菊菜、湯葉に焼き豆腐。
昆布出汁が張られた鍋の中には予め若芽が入れられており、こんな感じで召し上がってくたさいナと女将さんから
レクチャーを受けて味わう鍋。造りで味わった『鱒の介』とはひと味もふた味も違いましたが鍋に『鱒の介』を使うと
は何とも贅沢ですね。

そしていよいよ〆の『食事』です。熱せられた南部鉄器の中には鮑の肝を和えられた『肝バターライス』、その上に
活の『鮑』と『海胆』と刻んだ青菜。これを女将さんが杓文字で一気に混ぜあえて仕上げ供してくれました。女将さん
にこの料理は何というの?と問いますと何かいい名前をつけてくださいナということで『いちご煮ぱえりあ』と勝手に
命名させて戴きました(笑) 『鮑』と『海胆』と肝が混ぜられたバターライスの組合せ、想像しただけでも涎垂ものです。
いゃぁーほんとうにこれは美味しかったです。『香の物』は酒粕に漬け込まれた胡瓜の古漬けと茗荷、白菜の浅漬け
に柚子香る大根とどれもが『いちご煮ぱえりあ』の味を引き立ててくれる名脇役でした。

食後の水菓子代わりの果物、一見ただの林檎とミニトマトと思われる方も居られるでしょうが林檎は皇室献上林檎
の『金星』でありミニトマトは『ピッコロカナリア』です。『金星』はゴールデンデリシャスと国光の掛け合わせ。甘味が
強く薫り高き林檎であり『ピッコロカナリア』はオレンヂ色をしたミニトマトであり、これもほんのりとした甘味が楽しめ
るトマトです。素材に拘られている店主ならのセレクトです。

素材に拘られ器にも拘られる、部屋の設えも拘られ用意された日本酒も限定酒やレアものだけという物凄い拘りと
最高のもてなしに感無量。京都の老舗割烹"浜作"さんで磨かれた確かな腕で目と舌と心を存分に愉しませてくれる
"千陽本店"さん。みちのく八戸で雅やかなかほりを満喫できる素晴らしき料理店です。
.

施設の満足度

4.5

利用した際の同行者:
友人
一人当たり予算:
10,000円未満
アクセス:
4.0
コストパフォーマンス:
4.5
サービス:
5.0
雰囲気:
4.5
料理・味:
4.5
バリアフリー:
3.0
観光客向け度:
4.0

クチコミ投稿日:2012/09/12

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