吉備津神社にまつわる伝承と昔話にまつわる史跡をたどる旅
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- 旅行時期:2008/11(約17年前)
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by 山菜迷人さん(男性)
岡山市 クチコミ:65件
「むかーし、昔の話ぢゃ。吉備の国に温羅(うら)というそれは恐ろしい鬼がおってのう。西国から都に送る荷物を取ってしもうたり、女子どもをさろうたりしておったぁ。この温羅は山の上に根城をかまえておった。温羅の乱暴ぶりはやがて天皇の耳にも届き、武勇で知られる吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅退治に遣わされたんぢゃ。
命(みこと)は吉備の中山に陣を構えて合戦が始まったんぢゃ。命は中山から弓矢を打って打って打ちまくった。しかし、温羅は矢が放たれたと思うと岩を投げて矢を次々と打ち落としたんぢゃ。なかなか勝負がつかんかったぁ。
困り果てた命に、ある日のこと住吉大明神から夢のお告げがあったんぢゃ。「一度に二矢をつがえて打て、一矢は食い合い、一矢は当たる」お告げの通り命が2本の矢を打ったところ1本は岩で落とされ、1本は温羅の左目を射抜いたんぢゃ。
真っ赤な血を流して逃げる温羅。温羅はキジに姿を変えて山へ逃げれば、命は鷹となって追う。温羅が鯉になって川へ逃げれば、命は鵜となって追いつき、温羅の化けた鯉をつかまえたんぢゃ。
温羅はさらし首にされ、皆が安心したのも束の間、生首が夜な夜な気味の悪い声で泣きわめくんぢゃ。ある夜、命の夢枕に温羅が現れ「わしの首を吉備津神社のかまどの下に埋めてくれれば、釜をならして吉凶を占ってやる」と言ったんぢゃ。命が願いを聞き入れると、鳴き声はその夜からピタリと止まったそうぢゃ。」
この伝承が、桃太郎の鬼退治の原点であるといわれているわけですが、物語の主人公大吉備津彦の命(おおきびつひこのみこと)とその一族を祀っているのが吉備津神社です。
本殿拝殿は国宝とされており、本殿の大きさは桁行き48尺3寸(約14.6m)、梁間58尺3寸6分(約17.7m)、棟高(土台下端から箱棟上端まで)39尺6寸(約12m)、建坪 78坪3強(約255?)の大建築であり、京都の八坂神社につぐ大きさで、また、出雲大社の約2倍以上の広さがあります。この伝承にまつわる史跡も残っており、ゆっくり古の吉備の国をたどる旅も良いと思いますよ。
☆☆☆
※伝承に出てくるお話の現在の地名や行事
温羅の山の上の根城:鬼ノ城
矢を次々と打ち落とし岩と矢が落ちた場所:矢喰岩(やぐいのいわ)
血を流してできた川:血吸川(ちすいがわ)
鯉をつかまえた場所:鯉喰神社(こいくいじんじゃ)
釜をならして吉凶を占う:鳴釜神事(なるかまのしんじ)
- 施設の満足度
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5.0
- アクセス:
- 4.0
- 人混みの少なさ:
- 4.0
クチコミ投稿日:2008/11/14
いいね!:2票
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