今回の八戸遠征のもうひとつの目的は隣接する三沢市でこの時期に味わうことが出来る三沢『ほっき丼』です。
資源保護の観点から...
続きを読む年末の十二月から年明け三月までの期間限定で供されるもので八戸への遠征のついで
に三沢まで足を延ばしてみました。
北寄貝を使った郷土料理と云えば全国的に知名度の高いのが宮城で春先に戴くことが出来る『北寄めし』です。
『北寄めし』と云えば真っ先に思い浮かぶのが亘理町に店を構えられていた人気店"浜寿司"さんと山元町に店
を構えられていた"田園"さんの二軒ですが銘店"浜寿司"さんは先の東日本大震災で被災をされ現在は休業中。
今年は『北寄めし』どころではないと思っていた矢先、青森にも町を挙げて『ほっき料理』を売り出されているエリア
があることを知ったのです。それが八戸から車で30分程の位置にある三沢市、三沢と云えば米軍基地のある町
という程度の認識しか持ち合わせておりませんでしたが実は港町で初夏の『烏賊』とともに『北寄貝』の一大産地
であるということ。三沢市主導の下、市内に店を構えられている日本料理店から中華料理の店まで全三十一軒
の店で供されているという『ほっき丼』を遅めの朝餉として戴く為にカーナビに導かれるまま三沢へと一路、車を
走らせました。
『三沢ほっき丼グルメマップ』にひと通り目を通し数軒に絞り込んだ店の中から今回寄せて戴いたのが"鮨 大竹"
さんであり三種類用意されている『ほっき丼』の中から店主イチオシの『ほっきしぐれ丼』を戴いてみました。
程無くして供された『ほっきしぐれ丼』、主役の丼の他に副菜で茶碗蒸しとひじき大根、人参を炊いた小鉢、北寄貝
の紐を椀種に使った吸物が黒い塗り盆の上に並べられて席へ運ばれて来ました。
『ほっきしぐれ丼』には炊き込みごはんでも寿司用の舎利でもなく普通の白いごはんが使われており、その上に
『海老の朧』と北寄貝で作られた『そぼろ』、刻んだ浅葱と大葉、その上に軽く湯引きされた後に火で炙り香ばしさ
が加えられた肉厚の北寄貝が花びらの如く円を描くように綺麗に飾られ中央の大葉の上には味噌らしきものが
のせられていました。
中央部に鎮座した『味噌』の正体は北寄貝の紐をミンチにしたものに八丁味噌と豆板醤で味が調えられた手の
込んだもの。ぷっくりとした肉厚の北寄貝は見ためよりも柔らかく甘味もあって美味しいものでしたがワザアリと
感じたのは『海老の朧』と『北寄貝のそぼろ』がごはんの上に散りばめられていたこと。このひと手間の仕事が
『ほっきのしぐれ丼』の味を間違いなくワンランク上の味へと昇華させていたことは云うまでもありません。
北寄貝の自然の甘味に海老の朧と北寄貝のそぼろの甘みが加味されそれを八丁味噌の隠し味に加えられて
いた『豆板醤』の辛味が上手く全体の味を引き締めるのに役立っていたのも見逃せません。
副菜として供された小鉢の味もなかなかのものでしたし、茶碗蒸しも蒸したて熱々のものが供されましたが種物
に銀杏ではなく栗の甘露煮が使われていた辺りは北海道に近いという土地柄からなのでしょう。
北寄貝の紐が使われた吸物も適度に美味しいものでしたし、この内容で千弐百円ナリは納得もの。単純に比較
はできませんが宮城の亘理町の"浜寿司"さんや山元町の"田園"さんで供された『北寄めし』は千六百円程の
値段でしたから、それらと比べても三沢の『ほっき丼』は費用対満足度は高いと云えるのではないでしょうか?
目指すは全三十一軒の『ほっき丼』の全軒制覇ですが、とりあえず今回絞り込んだ数軒の店の『ほっき丼』だけは
何とか達成したいと虎視眈々と目論んでいるところであります(笑)
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投稿日:2012/09/12