宝来家旅館のクチコミ
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旅館というより文化財に泊まる…という感覚でしょうか。
正面から見て左側に二階建、右側に三階建の木造建築2棟から構成されています。
もとは明治25(1892)年創業の料亭で、大火で焼けた後の昭和6(1931)年に現在の建屋が完成しました。
旅館となったのは戦後で、三階棟が改装されて客室となりました。
二階棟の玄関から階段を上がると2階には料亭時代の名残を残す大広間。
佐伯は旧日本海軍佐伯航空隊が置かれたところで、今も海上自衛隊の基地があります。
戦前、戦艦大和が試運転の途上で佐伯湾に投錨した折、ここへ幹部将校や造船技術者が宿泊。
昭和17(1942)年にはミッドウェー海戦に出撃する連合艦隊のパイロット達が最後の宴を催したそう。
大広間に飾られている白磁の観音像や備前焼の水瓶は、今も当時と変わらぬ姿のまま佇んでいるとか。
案内されたのは三階棟3階の和室。
木造3階建の和風建築は珍しく、窓からの眺めも鉄筋コンクリ製ホテル3階からの眺めとは、少し感覚が違うかも。
戦前の三階棟は洋館風の建物で、1階では「赤玉」というカフェ、2階ではダンスホールが営業していました。
現在でこそ外観は改装されて普通の旅館っぽくなってますが、館内にはダンスホール時代の名残がアチコチに残っています。
ただ予想外に驚いたのがお風呂で、ここだけは最新型の広いユニットバス。
水回りは痛みが早いので、この“改装”は納得です。
現在、三階棟1階では「slow cafe 茶蔵」が営業中。
チェックアウト前、ここでコーヒーをご馳走になりました。
女給さんのいる「カフェ」から100年近い時を経て、玄米食を提供するオーガニック「カフェ」へ。
単に「宿泊」するのではなく、時の移ろいを味わうことのできる宿だと思います。
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