2016/05/02 - 2016/05/02
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家守さん
その昔、人間の体内にいるという三尸(さんし)という虫が、庚申の日の夜に、人間が寝ている間に天帝にその人間の悪事を報告しに行くとされていました。そこで、三尸の虫が天帝に報告しに行けないように、庚申の日の夜は夜通し眠らないで宴会をする「庚申講」という風習がありました。庚申の日は年6回やってきて、これを3年間、つまり全18回庚申講をすると、記念に庚申塔を建立しました。
平成の現在は、この庚申講を行っている地域は少ないと思いますが、主に江戸時代に庶民が行なった証である「庚申塔」は、現在でも至る所に残っています。5月初旬、これら庚申塔を見る目的で、横須賀市浦賀を訪問し、簡単な旅行記としてまとめてみました。
旅行記内でも、庚申塔の説明をしていきますので、まずはご覧くださいませ。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
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旅のはじまりは京浜急行線浦賀駅。鉄道を使って浦賀を訪問するのは初めてです。
浦賀といえば、ペリーが来たり、咸臨丸がアメリカに向けて出港したりと、歴史の舞台として著名なのですが、駅前は観光地っぽくありません。ただ、それが良いです。 -
駅前に、バス路線図がありました。
今回は、この地図の「鴨居」というところ近辺にある「庚申塔」を見ることを主目的として、ここ浦賀を訪問したのです。 -
さっそく出発!バスには乗らず歩いて向かいます。子供はこの先の「難所」を想定しておんぶします。
浦賀港の方ではなく、京急ストアの横を通って内陸の方へ。トンネルをくぐって反対側に抜けます。 -
トンネルを抜け、緑豊富な道を進むと、道が途切れて前方に階段が。早くも難所到来です。この階段を想定して、子供をおんぶしたのですが、想像以上の急階段!
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階段を見上げます。写真では伝わりにくいのですが、かなり急です。踏み外さないようにゆっくり登ります。
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登りきったところから住宅地が続きます。せっかく登ったのに、また下り坂。浦賀は山坂が多いなぁ〜とこの時から感じていましたが、まだまだ序の口でした。
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子供が背中で爆睡したので、ゆっくりとベビーカーに降ろします。ふと顔をあげると、目の前には緑の絨毯が広がっていました。
小原台緑地と呼ばれる緑地帯です。
さて、そろそろ最初の目的地です。 -
ようやく最初の目的地・小原台の庚申塔のある場所に到着……ん?ない?
かつて、そこに何かがあったような形跡がありますが、肝心の庚申塔が見当たりません。と、看板が立てられており、それを見てみると、なんと移動したとのこと!看板には地図も掲載されていたのですが簡易手書き地図のため、スマホであらためて場所を確認して再出発。 -
道をクネクネと何度か曲がり、本当に大丈夫かと訝しんだところで現れた庚申塔群……と、それを見た子供が「コウシントウだーっ!」
確か、君は今の今まで寝ていたのではなかったか? -
皆さま大変お待たせいたしました。ここにずらりと並ぶのが「庚申塔」です。「こうしんとう」と読みます。
これがどうして建てられたかということは、冒頭に記載したとおりです。沖縄を除く、全国で建てられています。 -
庚申塔といっても様々な形態がありますが、一例をわかりやすくご説明します。
まず、メインとなっているのが「青面金剛(しょうめんこんごう)」という像です。上部には、「月と日(太陽)」が彫られ、下部左右に「二鶏(ニワトリ)」、青面金剛が足で踏みつけているのは「邪鬼(じゃき)」です。最下部に3体並んでいるのは「猿(見ざる、言わざる、聞かざる)」です。
これはあくまでも一例で、ここに記載されたもの以外にも、さまざまなものが彫られているのです。 -
例えば、ここに9基ある庚申塔を見てみると、この写真に写る3基は、いずれも左手に人形みたいなものを持っています。これは「ショケラ」と呼ばれるもので、その存在は謎です。ここ浦賀の青面金剛像は手に持っている確率が高かったです。
また、彫り師も地域によって異なるようで、ずいぶん手を抜いているなぁと思うのもあれば、非常に精緻なものもあり、地域や彫り師によって、異なる特性が面白いのです。 -
あらためて全景を。ここの庚申塔は、非常に見ごたえがあります。移転前の場所に比べて交通量も少なかったので、子供も走り回って楽しむことができたようです。
ちなみに、教育(?)の成果もあって、子供は「猿が彫られているもの」=「庚申塔」であることを知っているのです。1歳児なのに恐るべし……。 -
小原台に長居したせいで、お昼をとうに過ぎてしまいました。
おむつも替えなければいけないのですが、良い場所がありません。思い切って、少し足を延ばして観音崎展望緑地をめざします。
海沿いの道を歩くと、海のなんと美しいこと。浦賀水道だから流れが速くてきれいなのかなぁ。 -
見えてきたのは多々良浜(たたらはま)。海水浴ができる浜ですが、まだ5月から泳いでいる人はいませんでしたが、波打ち際で遊ぶ方がいました。
駐車場もあるので、ここは夏場は人気がありそうな場所です。 -
観音崎展望緑地に到着。というわけで、おむつを無事交換した後、ここでお昼ごはんです。
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ご飯を食べた後、しばし休憩。緑のじゅうたんにレンゲの花もたくさん咲いていて、子供はひたすら走りまわっていました。
後で知ったのですが、犬のふんがたくさん落ちていたようで、奇跡的に踏んでいませんでした(ほっ)。 -
海の方に出てみます。
沖合を大きな船が往来しています。その奥には房総半島も見えていました。人も少なく、気持ちの良い場所でした。 -
再び庚申塔巡りの再開です。
観音崎展望緑地から戻る途中に庚申塔がありました。崖の上のお堂の横に2基あるはずなのですが、生い茂った葉っぱに埋もれてしまい、よくわからなくなっています。ここは冬にリベンジしなければならないようです。 -
続いて訪れたのは西徳寺。
今まで見てきた庚申塔は、道路拡張や整地などによって、主に神社や路傍の一か所にまとめられていたものが多かったのですが、ここではこのお寺に移動されていました。 -
西徳寺にある庚申塔です。じゃーん。
では問題です。ここにある石塔のうち、庚申塔はどれでしょうか? -
正解は、右側2基です。
右手にあるのは、先ほど例で示した「青面金剛」が彫られた庚申塔です。邪鬼を踏んで、猿が彫られていますね。
左手にあるのは「青面金剛」と彫られている、いわゆる「文字塔」という石塔です。こうした文字塔も結構あちこちで見られます。が、個人的には文字塔は味気ないので、青面金剛が彫られた庚申塔の方が興味がわきます。 -
次なる目的地に向かう途中、偶然発見した庚申塔です。
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「庚申塔」と書かれていて、上部には「月と太陽」、下段には「三猿」が彫られています。
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こんな崖下に位置する神社横に建てられていました。
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続いて能満寺に向かう参道入り口に建てられている庚申塔です。
おそらく建立当初は別の場所に建てられたのだと思いますが、ここに移ってきてからもある程度の年月が経っているためか、しっとりと風景に溶け込んでいます。 -
能満寺は、この階段を登った先にありますが、ベビーカーを抱えて登るのはかなりしんどいので、今回は参拝を断念しました。
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能満寺の近くに、別の庚申塔があるはずですが、正確な場所がわからずうろうろと探してみました。が、結局見つからず、そのまま帰宅の途につくことに。
子供には歩いてもらって、ベビーカーをたたんでえっちらおっちら急階段を登った先で振り返ってみると、鴨居地区の町並みを眺めることができました。 -
山坂が多い住宅地をゆるゆる歩きます。法面をがちがちに固めた、まるで切通しのような道路にびっくり。
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後は駅に向かうだけ……と思っていた夫婦二人と子供一人(ベビーカーで睡眠に)。なにげなく通り過ぎようとしたお寺境内を見て、夫婦二人で「あっ!」と声をあげてしまいました。
事前に予習をしていなかった地域で偶然庚申塔を発見したのです。
しかも、青面金剛の顔の右には「ドクロ」が!さらに、左にはヘビがとぐろを巻いています。
青面金剛も、なぜか正面を向いていないし、これはかなりの「レアキャラ」でしょう(ゲームじゃないんだから)。 -
こんな感じで、石塔が並んでいました。
青面金剛が彫られた庚申塔の両脇の石塔は、庚申塔かどうかも含めて判別不明。左側のは「庚申塚」と書いてありますね。
ちなみに、この好機に子供はベビーカーですやすやねんね。もったいない! -
興奮冷めやらぬまま、ゆるゆる歩いて浦賀駅に到着。浦賀は山坂が多くて大変でしたが、まだ町としても庚申塔としても見足りません。また、機会を見つけて遊びに来たいです。
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