2013/10/19 - 2013/10/20
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harihariさん
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平成25年10月
平家物語ゆかりの地として知られる洛北・大原。
都の華やかさとは対照的に、鄙びた美しさで、800年後の現代も多くの人の心を惹き付けています。
雨模様の2日間。
大原には突き抜けるような青空じゃなくて、この日みたいな、葉を打つ雨音の方がよく似合う。
- 旅行の満足度
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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京都駅からバスで約1時間。
修学院、八瀬と過ぎて大原に到着。
一泊二日の間に青空が見えていたのは、この一瞬だけ。 -
看板に案内されて、参道へ。
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里の風景。
今でこそ京都市左京区ですが、その昔は愛宕郡大原村。 -
律川のほとり、細い参道を登って…
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民家の庭先。紅い南天の実。
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参道の中頃、「食事処 志野 松門」に立ち寄ります。
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築150年の古民家を改築したレストラン。
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敷地内には水車小屋もあって、田舎の里山で食事をいただくような雰囲気。
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お腹は空いていたのですが、時間はすでに13時を回っていたので、晩ご飯のことも考えて軽く「八菜ぞう煮」をいただきます。
お味噌ではなく、出汁の効いたおすましでのお雑煮。
お餅が見えないぐらいに京野菜もたっぷり。 -
この秋にオープンしたばかりのお店は、大原らしくとても落ち着いた装い。
メニューも湯豆腐から、洛北野菜をふんだんに使った定食など、女子好み。
ハイシーズンになると、大勢の観光客で賑わいそうです。 -
食事を終えて、再び緑のトンネルをくぐりながら…
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ほどなく、洛北の名刹「三千院門跡」が見えてきます。
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伝教大師・最澄が延暦7年(788年)に比叡山延暦寺を開いた際、東塔南谷に開創したのが起源とされている三千院。
その後、幾度となく移転を繰り返して、この地にやってきました。 -
客殿から見た池泉鑑賞式庭園。
江戸時代、金森宗和が三千院を訪れた際に、客殿から見た自然の風景に感動して、自ら手を加えて宗和流の庭園にしたという「聚碧園」。 -
人の手による造形美と、神の手による自然美は紙一重。
自然よりも自然に造られた、という方がよいか。 -
鮮やかな緑の苔が一面の「有清園」(瑠璃光庭)。
「聚碧園」「有清園」ともに、国の指定名勝です。 -
苔の上に、紅葉の上に、ふんわりとした木漏れ日が降り注いでいます。
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木立に包まれた本堂・往生極楽院は、平安時代(12世紀末頃)の建立で国の重要文化財。
内部に安置されているのが、国宝・阿弥陀三尊坐像。1148年(久安4年)の作。 -
モスグリーンに、鮮やかな南天の赤。
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次に訪れたのが、勝林院。
創建は1013年(長和2年)、つまり、今年はちょうど1000年の節目の年。
魚山開創1千年紀の法要や時代行列などが、雨の中とり行われていました。 -
法然上人の大原問答の舞台としても有名な寺院です。
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本尊は阿弥陀如来坐像。
写真撮影をしても大丈夫だとのことだったので、させていただきました。 -
石造の宝篋印塔。
国指定の重要文化財。 -
三千院と勝林院を結ぶなだらかな参道。
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10月も半ばを過ぎれば、日が暮れるのも早くなります。
そろそろ、宿に向かう時間。 -
三千院の門前。
本日の宿、「旬味草菜 お宿 芹生」。 -
雰囲気のいいエントランスに導かれるようにチェックイン。
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1階の「おぼろの間」が、僕たちの部屋。
8畳+踏み込み+縁側のとても広いお部屋です。 -
部屋から見るお庭。
1階なので、自分たちだけの庭のように感じて、ゆったりとした気分になります。 -
ウェルカムスイーツの落雁は、流水文様と大原芹生の文字。
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食事を待つまでは、温泉でのんびり寛ぐ時間。
歩き回った疲れを癒して、ずーっと浸かっていたくなるくらい、幸せなお風呂。 -
お風呂のあとは、いよいよ晩ご飯。
部屋食ではなく、1階の食事処でいただきます。
まずは、紫蘇の食前酒。 -
八寸。
奥から、水菜くるみ和え、炙り鯖寿司、柿玉子(黄卵を柿に見立てて)、伊賀栗、鮎東寺揚げ、車柚子青煮、紫蘇麩田楽。
鯖寿司が八寸に出てくるあたり、京都ですね。 -
お造り。
鱒、鯛、はまち。 -
無花果の胡麻餡かけ。
もう、どんどんお酒が進みます。 -
今夜は、伏見の玉乃光酒造の冷酒。
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鱧と松茸の土瓶蒸し。
夏と秋の美味しいとこ取り。 -
鯛と海老、小蕪と湯葉の炊き合わせ。
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子持ち鮎の塩焼きを蓼酢で。
山桃とむかごの付け合せ。 -
黒毛和牛のステーキ、馬鈴薯餡で。
付け合せは、姫竹と丹波しめじ。 -
自家製ポン酢でいただく、焼き松茸と湯葉。
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葛湯葉饅頭。
あみ茸、袋茸、なめこの菊花餡で。 -
しめじご飯、赤だし、香の物。
京都の秋の食材を、これでもか!ってぐらい堪能したお料理でした。 -
最後に、デザート。
奥から、柿、栗ババロア、自家製ブルーベリーヨーグルト。 -
食事を終える頃は、すっかり真っ暗に。
部屋から見える庭は、ライトアップされています。 -
普段なら、食事の後は夜の散歩をするのですが、雨なので部屋でゴロゴロ。
他のお客さんの寝静まった頃に、そっとお風呂に入ったり。
1日目は12時頃に就寝。 -
早朝。
早起きして、朝風呂を独り占め。
温泉宿の重要な楽しみの一つ。 -
湯上りの涼み場。
次第に明るくなる外を眺めながら、浴衣のままソファでくつろいで。 -
朝食。
切り干し大根、焼き鮭、いたどりの佃煮、すぐきのお漬物。 -
野菜サラダ、茶碗蒸し。
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お庭を眺めながらの、湯豆腐は格別。
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お味噌汁とご飯。
美味しくて、一日を幸せにスタートさせることのできる朝食です。 -
9時30分、チェックアウト。
一晩お世話になりました。 -
2日目も雨。
昼間は観光客で賑わう大原も、見ての通り朝一番はまるで人の気配なし。 -
山間から霧の立ち上る様を眺めながら。
近くの民家を見て、このような土地に暮らす日常とは、どのようなものかを感慨深く想像したりして。 -
今日の寺院めぐり。
まずは勝林院の塔頭、宝泉院から。 -
大原というと、三千院や寂光院に人気が集まる中、静かに心を落ち着かせるにはピッタリのお寺です。
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せっかくの旅行が雨だったとして。
雨の日には、雨の日にしかできない事があると思えばいい。
例えば、雨音を愉しむ。 -
お堂全体に窓が多くあるためか、自然な明るさが目にも心地よく映ります。
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手水鉢一つとっても、作庭師の美意識を汲み取ってあげたくなる。
僕の美意識が追いつかないけど。 -
額縁庭園の眺め。
樹齢700年の五葉の松。 -
庭を眺めながら、抹茶をいただきます。
葉を打つ雨の音を聞きながら、ぼんやりと庭を観るだけの珠玉の時間。 -
何というか、言葉では表しにくい良さがあるお寺だと思う。
この寂寥感を「良さ」と思うのは、日本人のDNAか。 -
次に訪れたのが実光院。
こちらのお寺も、勝林院の塔頭です。 -
後で知ったのですが、実光院さんもFacebookを開設してるようで。
さらに、三千院さんや勝林院さんも。
お寺も「発信」する時代なんですねぇ... -
こちらでも、ついお抹茶をいただいてしまいました。
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欄間には三十六歌仙の額があしらわれています。
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実光院には、池泉回遊式庭園もあります。
雨の中、傘を差しながら歩いてみました。 -
雨に濡れた濃い緑色と、千両の艶っぽい紅色。
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こちらのお寺の見所は、秋に咲く珍しい不断桜。
まばらでしたが、可憐なピンク色の桜が幾輪か花を咲かせていました。 -
来迎院。
三千院から東に向いて山中を登り、一番奥に位置しています。
背後の山の数百メートル向こうは滋賀県との県境。 -
創建は平安時代末期ですが、本堂は室町時代の再建。
天台声明の根本道場としても知られた名刹です。 -
1000年前から、この場所で多くの僧侶が大原声明を唱えていたのです。
今の本堂が出来てからでも400年以上。
その積み重ねた幾時代をリアルに想像するのが、マニアックな楽しみ方。 -
薄暗い堂内で、小雨になるまで雨宿り。
お堂の中には僕たちと、平安時代作の薬師如来、阿弥陀如来、釈迦如来坐像(いずれも国の重要文化財)。 -
少し小止みになったので、来迎院を出てから一旦山を降りて、大原の里に向かいます。
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この辺り、その昔は茅葺屋根であった民家の中を抜けて…
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平清盛の二女、建礼門院の悲しいエピソードが残る朧の清水。
その後も、文人歌人がこの地を訪れています。
吉田兼好「大原やいづれ朧の清水とも知られず秋はすめる月かな」
与謝蕪村「春雨の中におぼろの清水かな」 -
あ、いが栗。
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そろそろお腹が空いてきたので、「雲井茶屋」という喫茶店に立ち寄ります。
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緑に囲まれた落ち着いたお店。
カフェのたたずまいですが、意外な地元メニューがあったので注文しました。 -
大原名物 味噌鍋。
自家製のお味噌に、京赤地鶏と京旬野菜がたっぷり。 -
これが、すごく美味しい。
お味噌の甘辛さが絶妙。
歩き回っていたので、一気に頂きました。 -
お腹一杯になって、再スタート。
参道には京野菜のお漬物などを売るお店が立ち並んでいます。 -
少し急な階段を登っていくと...
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三千院に並ぶ大原の有名寺院、寂光院の山門。
平清盛の娘で、壇ノ浦で海に沈んだ安徳天皇の母、建礼門院が平家滅亡後に余生を過ごした地として余りにも有名。 -
山門の傍らには、苔むした屋根の門が建てられています。
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門をくぐると、茶室の待合。
ここから先は柵がしていて行けませんが、この奥には茶室があります。 -
池の向こう、茶室「孤雲」。
京都御所で行われた、昭和天皇の即位の御大典の際に用いられた部材が寂光院に下賜され、それをもとに造営した茶室。 -
秋海棠(しゅうかいどう)の花。
雨の水分が、色彩のコントラストを際立たせてくれるので、より美しく見えるような気がします。 -
元々の本堂は1599年、淀君の命により再建されたものでしたが、2000年に放火により消失。
今の本堂は2005年に再建されたもの。
本堂火災の際に、1229年作で重要文化財に指定されていた旧ご本尊も全焼。
現在は、これ以上の損傷がないように処置をされ、収蔵庫に安置されています。 -
本堂前には、「平家物語」にも登場した樹齢1000年といわれる名木、高さ約18メートルの御神木「千年の姫小松」が本堂放火の類焼で枯死しています。
その日、この松の木はどのような思いで本堂が焼け落ちるのを見ていたのか。 -
寂光院を出て、細い民家の間を戻ります。
そろそろ、この旅も終わり。 -
柿の実が下がっているのを見ると、秋の深まりを感じます。
-
大原は、平家物語で平家没落後の舞台として描かれる影響からか、どこかもの悲しい想像力をかきたてられてしまいます。
一泊二日の大原の旅。
温泉とご馳走は言うまでもありませんが、一つ一つの個性あるお寺を、時間をかけて巡ることのできたいい旅でした。
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