カラク～十字軍とイスラムの攻防の地

2013/05/24 - 2013/05/25

アンマンの南約200キロ、キングスハイウエイに沿って2つの遺跡があります。
カラク城とショーバック。ショーバックの少し先はもうぺトラ。
http://4travel.jp/traveler/scomitcheese/album/10769110/

あまたのヨルダンの遺跡でも、この２つは12世紀十字軍とイスラム軍が攻防を繰り返した跡を辿れる数少ない場所。

紀元前から栄えたモアブ王国の地でもあった。
自分の知識のなさが恥ずかしいが、十字軍は「エルサレム奪還」を目的としていたと思っていたけれど、
ここはエルサレムより東。さらに勢力拡大をと、東へ東へ進めていったとなると、その目的からずれている。

元々エルサレムは、イスラム勢力下にあったのではなく、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教が共存していた。
ひとり占めしようとしたのが十字軍だったと言えるんじゃないかって思う。歴史で習ったと思っていたことと違うじゃん！

いかにキリスト教側に立った歴史認識を植え付けられていたかがわかる。中東に暮らすと、欧米のメディアが伝える偏った中東感に気づくこのごろ。

この小旅行は、2つの遺跡を訪ねることと、
その2つの遺跡の途中に位置するダーナ村（環境保護区）を訪ねてまったり過ごすことだった。

写真はダーナ村へ降りる道で出逢った風景。

●行程
1日目　アンマン→ショーバック→ダーナ
2日目　ダーナ→カラク→アンマン

●交通
カラクまでは、アンマンのムジャンマジャヌーブからミニバスで約2時間。２JD弱。
ダーナまでは、同じくムジャンマジャヌーブからタフィーレまでミニバス。タフィーレでカディーシャ行きに乗り換え、ダーナ入口で降りて、谷へ約1キロ歩く。ダーナのホテルではカディーシャまで迎えに来てくれるホテルもある。
ショーバックはぺトラに近いけれど、近隣の村から交通機関はないので、タクシーで。
全行程をタクシーチャーターして190JDでした。

エリア カラク(ヨルダン)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 3.0
• 交通: 2.5

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: タクシー
• 旅行の手配内容: 個別手配

ショーバックは禿山の向こうに突然現れます。
1115年に十字軍のKing Baldwin ?によって築かれました。

急な坂を5分ほど登ってお城に着きます。
天然の要塞ですね。

風船みたい。豆の種類かな？

昔は緑に覆われていたのかな。

すごく傾いた地層から、地球の変動がわかる。

壮大な風景が広がります。

ほんの一部修復されています。
次の日に行くカラクのミニ版という感じです
井戸や教会跡、その後マムルークのモスクに代わった建物の残骸が残っています。

日本でいうと、鎌倉時代になる少し前の1189年にはサラディンによって奪還されました。

今日のお宿、ダーナ村に着きます。
元々アルアタータという一ファミリーが住んでいました。
村の人たちは数十年前にこの村を捨て、2キロくらい先のカディーシャに移り住み、一時廃村となりました。

今は3戸ほどが住んでいるそうです。

村の歴史は古く、約6000年前の銅山の跡が残っているそうです。現在でも掘れば出て来るそうですが、フランス？の会社が掘りたいと申請したけれど、ヨルダン政府は自然保護区なので、OKしなかったそうです。

Dana　Guest Houseは、崖のふちに立っています。

素焼きのびんに水を入れて、ちょっとだけ冷たい水。エコですね。

山のふちに日が沈みます。

少し曇っていました。

グレートリフトバレーの一番北に位置するのがヨルダン渓谷。
渓谷を真下に臨むことができます。ワディ沿いに下ると、昨年死海道路から登ったフェイナンです。歩いていくこともできます。

後ろは屏風岩の壁が立ちはだかります。グランドキャニオンのヨルダンバージョンてかんじかな。本家には行ったことないけど。ヨルダンの野生動物の3分の1、鳥類の2分の1が生息するそうです。朝の鳥の鳴き声は、アンマンの自宅の方が多い気がしたけれど。

村をあるくと、ロバの群れ5頭にであいまいた。放し飼いのようです。見てる人はいません。時々移動して草を食べます。

赤ちゃんロバのかわいいこと！

思わず近寄りすぎて、雄のロバに威嚇され、すごい声で啼きました。こわかった。

そろそろ沈むかな。

ベランダで日の入りを待ちます。

雲の刷毛と洛陽直後の青い空。

う〜〜ん、きれい！

みとれます

地産地消の野菜、ホブス、チキン、ハイビスカスジュースの食事が終わると、耳に障がいを持つスタッフが、東の空を指さします

みんなで月の出をまちます

山の端がこんなに明るいなんて

白く映るのは虫たち

ゆったりと時間が流れます

30分は優に待ちました

贅沢な時間でしょ。

一夜明けて、朝ごはん。ナツメヤシ、ゆで卵、ダーナ茶（ハーブと紅茶のブレンド）、ホブスも村で窯で焼かれています。ほんのり温かい。
イチジクのジャムも村で作ったもの。ここは、王立協会やアメリカの支援で村の人たちが雇用されるようコミュニティを活用したプロジェクトで立ち上げ、今は彼らが独自に運営しています。
ヨルダンの他の街と違い、ゴミが落ちていません！フェイナンもそうですが、エコツーリズムそのものです。ごみの分別収集はこの国ではめずらしいことなのです。

いわゆるヨルダンらしくなく、何ともゆったりした気分になります。村の人たちは旅行客を冷やかしたりしません。朝の風が気持ちよくいつまでもバルコニーに座っていたかった。

カラクに着きました。

要塞に入る堀の上から足がすくむほどの高さ。

カラク在住の友人にお城を案内してもらいます。

ダマスカス、エルサレムなどとカイロ、メッカを結ぶ道上にあり、人と物資の行き来をコントロールしていました。だから大事な場所だったんですね。
1161年に完成したけれど、これもサラディンが約20年で取り返してしまいました。その後十字軍はエルサレムも明け渡すことになります。マムルーク朝の時代に要塞は全盛期を迎えます。

見張り台、スリットの穴、兵士の居室、教会跡やモスク、台所、パンを焼く釜戸、トイレやお風呂、貯蔵庫など戦時に備えていました。有事には村人が要塞に逃げ込んできたと言います。兵糧攻めになる可能性もあったね。

北の見張り台から村を望む

南のマムルーク見張り台は一番高い。

ゆっくりと時間が流れる昼下がり

何かいい写真だと自己満足した次第

地下室、2〜3階建ての部屋と迷路のよう。キャップランプを持ってきたのが役立ちます

明かり天井から光が漏れて、スポットライトになる

城壁の外のレストランで食事の後に、トルキッシュコーヒーをいただきました

外にはジャカランダが満開を迎えています

モスクからアザーンが聴こえ、そろそろ昼のお祈りの時間

カラクの街にある英雄サラディーンの像を触ってみる。
プラスティックなのでした。
あら〜かわいそうな英雄。

この旅行記へのコメント （5）

• スイカさん 2015/11/30 19:32:31

  ダーナ村の月

  こんばんは、scomitcheeseさん
  
  ダーナ村の月、素晴らしいですね。。。。。これ見たい。
  
  ワディ・ムジブ自然保護区は過激だけど、ダーナ自然保護区はまったりですねえ。此処いいわ。(^_^)
  
  私の目的はピラミッド、それもscomitcheeseさんの月の写真のようにゲストハウスの窓から一人で眺めたいのです。
  昼間のピラミッド、ライトアップされたピラミッドは定番。
  ゲストハウスからピラミッドは西の方角です。私が行く２月には夕日は、３つのピラミッドのうち、一番左のピラミッドに沈むはずなのです。
  
  朝日はどうでしょう。希望としてはピラミッドの頂点から徐々に太陽の光があたってくれれば、もう(T_T)
  
  そして、ギザの月齢を調べると、朝６時頃に西（ピラミッド）に沈むはずです。
  
  全部見たい！　全部写真に撮りたい！
  
  話がそれました<(_ _)>
  ワディムジブはおっしゃるとおり、２月は閉鎖のようです（行けない言い訳ができて安堵してます）。
  今、scomitcheeseさんの旅行記を読みながら、コメントに書いて下さった「ゲストハウスに友人もいます」のゲストハウスを探しているところです。
  まだ、どの地のゲストハウスかもわかっていません、旅行記まだ途中ですから。
  全部読んでもわからなかったら連絡します。それまで、ゲストハウスのことは教えないで下さい(^_^;)
  多分、そのうち、それ以外にもたくさん質問すると思います。よろしくお願いします。
  
  スイカ
  

  scomitcheeseさん からの返信 2015/11/30 23:09:28

  RE: ダーナ村の月

  スイカさん
  ピラミッド、いつか見てみたいものです！
  旅は、情報を集め計画を立てることろから始まりますね。
  ぜひ面白い旅になりますように。
  
  scomitcheese

• ウェンディさん 2013/12/09 20:46:32

  Danaからのトレイルについて

  scomitcheeseさん、こんにちは。
  
  ヨルダン旅行記、どれも素敵な景色ですね。
  私も今年の年末にヨルダンを訪れます。
  ペトラや死海といった王道の観光地には勿論訪れますが、今回の楽しみの一つは、ヨルダンの自然でのトレッキング。
  この旅行記にあるDana Guest Houseに宿泊して、Feynanまでの13kmトレイルを歩いて、道々の雄大な自然を楽しもうと計画しています。（冬なので雪が降ったら諦めます…）。
  このDana-Feynan Trailは1本道なので、道に迷うことはないと聞いているのですが、ネットで調べてもいわゆるトレイルマップを見つけることが出来ず、ちょっと不安があるのも事実です。
  scomitcheeseさんは、ヨルダンに住んでいらしたとのこと。
  このトレイルについて、地図や情報等知っていることがあれば教えて頂いたいです。
  
  ウェンディ
  

  scomitcheeseさん からの返信 2013/12/11 20:48:53

  RE: Danaからのトレイルについて

  ウエンディーさん、
  
  もう今月の出発ですね。
  残念ながらヨルダンの観光地には（ぺトラにしても）完備されていなくて
  英文ですがヨルダンで出版されたトレッキングの本には少し載っています。
  ロンプラには地図は小さいですが、フェイナンへのトレッキング体験が掲載されていた記憶があります。
  
  ウエンディーさんがおっしゃる通り、1本道の谷道を降りていくなので迷うことはないと思います。私がやりたくて果たせなかったトレッキングを楽しんでくださいね。地図は小さいのですが、以下のウエブサイトに少しあります。
  
  http://www.jordanjubilee.com/outdoors/dana.htm
  
  老婆心ながら、もしひとり旅でしたらセクハラにご用心ください。それと、Danaは1500m位の標高で寒いので（1月に行くことをあきらめました）どうぞ寒さ対策をお忘れなく。
  
  ご参考になればうれしいです。どちらのゲストハウスもすてきなところで、ここではセクハラの用心はありません。もしもう一度行けるならぜひ私も挑戦したいトレッキングです。
  
  scomitch
  
  > scomitcheeseさん、こんにちは。
  >
  > ヨルダン旅行記、どれも素敵な景色ですね。
  > 私も今年の年末にヨルダンを訪れます。
  > ペトラや死海といった王道の観光地には勿論訪れますが、今回の楽しみの一つは、ヨルダンの自然でのトレッキング。
  > この旅行記にあるDana Guest Houseに宿泊して、Feynanまでの13kmトレイルを歩いて、道々の雄大な自然を楽しもうと計画しています。（冬なので雪が降ったら諦めます…）。
  > このDana-Feynan Trailは1本道なので、道に迷うことはないと聞いているのですが、ネットで調べてもいわゆるトレイルマップを見つけることが出来ず、ちょっと不安があるのも事実です。
  > scomitcheeseさんは、ヨルダンに住んでいらしたとのこと。
  > このトレイルについて、地図や情報等知っていることがあれば教えて頂いたいです。
  >
  > ウェンディ
  >

  ウェンディさん からの返信 2013/12/11 21:18:52

  ありがとうございます。

  scomitcheeseさん　こんばんは。
  
  トレイルの地図をありがとうございます♪
  Danaから延びる水色のラインがトレイルですね。
  訪れる時期が冬なので、トレッキングはチャレンジできればラッキー♪位で考えています。たとえ歩けなくても、Dana Guest Houseから眺める谷の風景は見てみたいです。
  谷に落ちる夕陽が見られたらいいな〜。と思っています。
  Danaの寒さ対策は一応、日本の晩秋のハイキング位を想定していますが、Danaの1月は雪の降る日もあるとのこと。天気は出たとこ勝負ですね…。
  雪が降ったらそれはれで珍しい雪景色を愉しめばいいかな。と。
  
  セクハラ…。
  中東の方から見ると日本人女性はスキだらけなのでしょうね。
  今回は母との二人旅です。おばちゃんとおばあちゃんの二人旅ですが、セクハラだけではなく様々な危険の要因はあると思うので、ある程度は気を引き締めて旅しようと思っています。
  
  旅まであと二週間と少し。
  今は皆さんの旅行記を拝見して、予備知識を付けています。
  ヨルダンは旧約聖書や十字軍が絡む場所が多く、十字軍関係はちょっと複雑で理解できない処もあり、この時期になってもまだ本を読みあさっていますが、カタカナの名前が覚えきれずに四苦八苦。
  
  scomitcheeseさんの旅行記にもまだまだ足跡をペタペタ残すと思いますが、よろしくお願いします。