ギリシャ世界遺産紀行（第3回：デルフィ遺跡）

2008/08/24 - 2008/08/31

カランバカで昼食を済ませた後、バスに乗って一路南下（約210km）し、世界遺産「デルフィ遺跡」に向かう。デルフィは古代ギリシャの宗教の中心地として栄えた所で、急峻なパルナッソス山（2457m）を背後に、眼前には広大なオリーブ畑（オリーブの海）、そして、遠くにコリンティアコス湾を望む。

写真：デルフィのアポロン神殿跡

私のホームページ『第二の人生を豊かに―ライター舟橋栄二のホームページ―』に旅行記多数あり。
http://www.e-funahashi.jp/

エリア ギリシャ

カランバカから４時間ほどかけて、デルフィ近郊にある小さな港町「イテア」のホテル「ナフシカ」（写真）に到着。ここはコリンティアコス湾に面する港町であり、ビーチもあるという。

JTBホテルグレードはＢであるが、なかなか良いホテルのようである。玄関、廊下、壁、階段、すべて純白な大理石（写真）で高級感がある。

それ程広くはないが、フロント前には貴族のサロン風のラウンジ（写真）があり、ゆっくりくつろげる。

客室の大きなダブルベッド（写真）。

客室のデスクまわり（写真）。バスルームも広々としており、まずは軽くシャワーを浴びる。

夕食まで時間があるので、家族３人でイテアの港からビーチまで散歩する。見知らぬ外国の小さな港町、どんな雰囲気なのか？ワクワクする。写真：港に停泊する小型客船

港の周辺にはショップやレストランが沢山あり、田舎のビーチリゾートのような感じである。写真中央の白い建物が我々のホテル「ナフシカ」。

クルーズターミナルから南の方向へ歩いていくと、ビーチ沿いに沢山のレストラン（写真）がオープンしており、気分も盛り上がってくる。

しばらく歩いていくと素敵なモニュメント（写真）に出会った。グリーンの芝生の左側はショップ・レストラン、右側は青い海。絵になる風景。

そして、砂浜のビーチ（写真）に至る。今日は8月26日の火曜日。泳いでいる人は少なく、ビーチも閑散としている。ベンチに腰かけ、のどかな地元のビーチの雰囲気を楽しむ。

水着を持参して散歩に出るべきだったと後悔する。泳げるビーチはホテルから遠く、水着を取りに帰る時間はない。泳ぐかわりにまわりの景色を楽しむことにする。夏のギリシャの日暮れは遅い。夕方７時頃でも太陽が高い。素晴らしいビーチの夕暮れ（写真）

今夜のディナーはホテルのレストラン（写真）にて。添乗員付きツアーは本当に楽でいい。見所満載で食事の心配もしなくていい。

前菜はチーズとホウレン草のパイ（写真）半分くらい残す。

トマトとキュウリのサラダ（写真左）とメインのギリシャ名物料理「スブラキ」（写真右）。スブラキは肉の串焼きで付け合わせのポテトと共にうまい。全部食べた。

デザートはギリシャのケーキとアイスクリーム。非常に甘かったので、コーヒーを追加注文してほろ苦さと共に甘いデザートを楽しむ。

食後は再び港に出かけ、夜のクルーズターミナル周辺（写真）を散歩する。ビーチサイドのレストランには沢山の人が入っており、夏の夜長を楽しんでいる。若ければ私もここで遊んでいくところであるが、疲れたので早めにホテルに帰って寝る。

目覚めの朝。バルコニーに出てみると今日も快晴。全くギリシャの夏の天気はすごい。毎日快晴で、雲さえ出来ない。年間300日以上快晴だという。写真：客室のバルコニーからの眺め

写真：客室のバルコニーからの眺め

朝食はちょっとグレードアップした、アメリカンのビュッフェ（写真）。

デルフィはパルナッソス連山の中腹にあり、海辺の町「イテア」からは、途中、広大なオリーブ畑（写真）を通り抜けていく。このオリーブ畑はオリーブの海とも呼ばれる。

デルフィは古代ギリシャの宗教の中心地として栄え、紀元前６世紀頃に全盛期をむかえる。古代の人々はデルフィを全世界の中心「世界のヘソ」と考えていたという。写真：オリーブの海とコリンティアコス湾

デルフィは古代ギリシャの「聖域」とされ、ここでアポロンの神託（神のお告げ）が行われた。この神託をもとにして、個人も国家指導者も重大事を決定していたという。写真：デルフィ博物館

参拝者から神託のお礼として奉納物や祈願料を受け取り、デルフィは大いに繁栄する。デルフィ遺跡見学の前にデルフィ博物館に入ってデルフィの勉強をする。写真：ナクソス島の人々によって奉納された有翼のスフィンクス（デルフィ博物館所蔵）

デルフィの遺跡から発掘された黄金の宝物（写真）。大きくて豪華で細密なゴールドの奉納物は神の注目を受けるとされていた。

「大地のへそ（オンファロス）」（写真）は大理石でできており、デルフィの中心であるアポロン神殿に安置されていた。オンファロスの前で神託が行われた。

「大地のへそ」の頭部（写真）デルフィ博物館所蔵

「大地のへそ」の頭部の下（写真）デルフィ博物館所蔵

「大地のへそ」の下部（写真）デルフィ博物館所蔵

青銅製の「御者の像」（写真）は、紀元前478年頃の古典時代における傑作のひとつで、このデルフィ博物館の代表作。

「御者の像」の復元図（写真）

デルフィ博物館で一通りお勉強してから、実際の遺跡見学に出かける。それにしても、古代ギリシャを理解するためにはギリシャ神話の知識が不可欠。勉強不足を後悔する。デルフィ遺跡の全体図（写真）

日経スペシャル番組「ガイアの夜明け」。役所広司がナビゲータ役をする異色の経済ドキュメンタリーである。このガイアとはギリシャ神話に登場する大地の女神。写真：デルフィ博物館のショップ・カフェテリア。この上方の山の斜面に遺跡がある。

伝説によれば、この地にはガイアの息子である蛇身のピュトンが棲んでいたが、アポロンがやってきてピュトンを殺し、ガイアの予言の力を自分のものとしたという。写真：デルフィ遺跡の背後に迫るパルナッソス連山

アポロンは予言、牧羊、音楽、弓矢等の神であり、ギリシャ古典時代の理想の青年像と考えられていた。写真：入り口付近の参道からのデルフィ遺跡全景

参道の両側にはアポロンの神託のお礼として献上した宝庫や奉納記念碑が建ち並んでいる。現代風に解釈すれば、首都に集まる各国の銀行ということか。

その中でも、フランスの考古学会が再建した「アテネ人の宝庫」（写真）は見事である。これは、アテネがマラトンの戦いでペルシャ軍に勝利した感謝のしるしとして、アポロンに捧げた宝庫という。

いよいよデルフィ遺跡の中心「アポロン神殿」（写真）に至る。アポロン神殿が最初に建てられたのは紀元前７世紀頃であるが、その後、火災や地震にあい、現存するものは紀元前370頃の神殿である。

再建されたアポロン神殿（写真）はドリア様式の周柱型の神殿で、正面と背面に各６本、各側面に15本の円柱が立っていたという。神殿の長さ60ｍ、幅23ｍ。

アポロン神殿の中（写真）に「大地のへそ（オンファロス）」が設置され、その前で神託が行われた。古代世界の中心「デルフィ」の最も聖なる場所に今私はいる。しかし、それ程感動はなく、かなり疲れてきた。

古代ギリシャの遺跡巡りは「知識」と「想像力」が必要になる。ギリシャ神話や古代遺跡への興味があり、しっかり勉強してきている人、また、遺跡を前にして古代世界が鮮やかに浮かび上がってくる人にとってはたまらなく魅力的な場所になろう。それほどでもない私にとっては、夏の太陽が私の体力を消耗させ、気力も無くさせる。暑い！あつ……い！写真：アポロン神殿跡

アポロン神殿の後方の傾斜面を上ると劇場の跡（写真）が見える。これは紀元前４世紀に建てられた古代劇場で、35段ある観客席に約5000人を収容できたという。さらに、この上に紀元前５世紀に建てられたスタジアムがある。

午前中デルフィ遺跡見学をした跡、港町イテアにもどってきて、ビーチに面したレストラン「スカラ」（写真）でランチをとる。これで一息つける。

前菜は野菜（インゲン、ズッキーニ、ジャガイモ）の炒めもの（写真）。トマトベースでまずまずの味。

メインは魚料理（写真）で、スズキのフライ。付け合わせにジャガイモ、ズッキーニー、青菜の炒めもの。これもまずまずの味。

デザートは「ハチミツ・ヨーグルト」（写真）固めのヨーグルトに甘いハチミツをたっぷりかけて食べる。うまい。

スカラレストランの前は海（写真）。レストランはテントとテーブルだけでエアコンなし。昼頃になると強烈な太陽が差してきて日陰でも暑くなる。エアコンの入った大型バスはありがたい。昼食後はペロポネソス半島へ渡り「オリンピア」に向かう。