2008/08/29 - 2008/08/29
2558位(同エリア2779件中)
まみさん
新宿には何度も足を踏み入れたことはあるけれど。
そう頻繁ではないから、西口の高層ビル群にはいつもドキドキ。
根がそうだからか、都心に勤めていても、いつもおのぼりさんの新鮮な気分で眺めることができます。
昨晩(8/28)のひどい大雨の後。
今日の夕方はまさか晴れると思っていなかったから。
高層ビルの上に広がる、まだ暮れる前の青空との思いがけない出会いに、いつも以上にワクワクしました。
目当ては損保ジャパン東郷青児美術館。
先を急がねばと思うけれど。
向かう途上、高架歩道を歩きながら、美しい青空と威圧的な高層ビルの写真にトライしてみました。
青空にピントを合わせると、ファインダーの中はすっかり夜の街。
実はまだ明るいのに、現実とは違う写真だけの世界の再現を意識しながら。
今回は東郷青児美術館へ、素朴派の画家2人、アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展に行って来ました。
美術館の建物の1階ロビーには、卵を使った子供たちの作品「卵あそびコンテスト」が展示されていました。
とっても可愛らしくて、これも写真をジャンジャン撮りました。
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新宿駅前西口広場、目の前に迫る高層ビルと青空
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高層ビル群に囲まれてワクワク
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駅前と美しい青空
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ガラスの向こうの世界
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ガラスの被写体、現実世界
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隙間なく迫り来るビル
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空へ伸びる
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楽しいネオンは夜のはじまり
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ぐにゃりと伸びる
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巨人の集会
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美術館をめざし、高架歩道を行く
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緑がどこか非現実的
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美術館に到着!
今回の目的はほんとはコレ。
会期終わりぎりぎりにやっと来れました@
※アンドレ・ボーシャン(仏、1873〜1958)
フランスの中でも美しいロワール地方の苗木職人だった彼は、1914年世界大戦勃発で徴兵され、軍で測量技師を勤めたところ、その出来映えに驚いた上司にもっと絵の勉強をしたらどうかと薦められました。
戦争が画家になる転機だったという皮肉。
帰国したら奥さんはノイローゼで実家の苗木職も破産、そのため田舎に移り住み、絵筆をとるようになりました。
彼が注目されるようになったのは40才後半。
彼の絵の最初のファンは、後に世界的に有名になったル・コルビジェです。
(情報源はオーディオ・ガイドとパンフレット)
※グランマ・モーゼス(米、本名アンナ・メアリ・ロバートソン・モーゼス、1860〜1961)
アメリカのニューヨーク州の農村の主婦です。
12才で奉公に出て、27才で結婚し、10人の子供を生み、うち5人は早くに亡くなりましたが、5人の子供を育て上げました。
刺繍が大好きでしたが、リューマチのため針が上手く扱えなくなったことから、娘さんの助言で絵筆をとったのが75才。
刺繍でも見事な風景画を描いていました。
そして絵を描き始めて3年後、ドラッグストアに飾られていた彼女に絵に美術コレクターが目を留め、80才のときの初めての個展で大ブレークします。
しかし、本人はいたって、農作業と身近な世界に愛情を持つ農家のおばあさんのままで、ニューヨーク賞を授賞したときの挨拶でも、彼女の大好きなシロップ作りの話を延々としたとか。
(情報源はオーディオ・ガイドその他) -
現代の塗り壁@
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壁に目あり、障子に耳あり、空に高層ビルあり
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ゴッホのひまわりにも再会するぞ@
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「卵あそびコンテスト」、ギョロ目の竜のお出迎え@
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寝起きのクサガメ
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動物のひな壇
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ぽっこりおなかの似た者親子
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名残惜しい夏
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びっくり箱!
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卵の味がしそうな赤ずきんちゃん
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まだ飛ばないのかな。ドキドキ、ワクワク@
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太い眉毛の七福神
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ピカチュウもどき、見っけ!
ドラエモンとドラミちやんに、トトロと……あとは何かな。 -
超満員!?
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田舎のねずみ
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マリー・アントワネットのサロン
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帰り路の夜景
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火の玉のようなテールランプと信号の赤
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美しい格子柄
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不夜城
……と思ったら夜8時で閉店でした(笑)。 -
トンネルのある夜景
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グレーゾーン
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夜はこれから
(だってまだ午後8時すぎだもん@) -
アンドレ・ボーシャンとグランマ・モーゼス展のパンフレット
入場料は一般1,000円
オーディオ・ガイド500円
パンフレット・セット価格2,000円
(ジュニア版ブックレット2冊、広報用の特別パンフレット、白い表紙の今回の美術展のカタログ。)
<美術展の感想>
グランマ・モーゼスは知っていましたが、アンドレ・ボーシャンは知りませんでした。
それまでに彼の絵は見たことがある気がしますが、今回の美術展で初めて意識しました。
2人のうちどちらが好きかといえば、グランマ・モーゼスに軍配が上がりますが、アンドレ・ボーシャンという画家を知ることができて良かったです。
展示されていたのはボーシャンの絵からです。
まずは神話を題材にした絵でした。
ギリシャ神話を題材とする絵は、彼の同時代の素朴派をはじめとする画家たちは描かなくなっていましたが、ボーシャンは好んで描いたそうです。
そのマイペースさはいいかも@
それは戦争で神話の舞台のギリシャの遺跡に触れる機会があったせいともいわれています。
ただし、正直その絵は、ものすごく魅力的というわけでもありませんでした。
自然を描いたのか、ドラマを描いたのか、どことなくどっちつかずな画風が、どうも私の好みではありませんでした。
ブリューゲルみたいに、農民の生活を克明に描きながら、画面の端っこに聖書の場面がひっそりと注目されずに進行している、という描き方は面白いし好きです。
でも、ボーシャンの神話画は、神話がちゃんと主題であり、素朴派らしい自然背景はあるものの、神話しか描いていないようなものなので、神話のドラマ性が感じられないことが物足りなく思えてしまいました。
ただし、ポストカードやパンフレットの写真で見ると、原画ではそれほどでもなかった絵も、とても気に入りました。どういうことでしょうね。
たぶん、ポストカードになると、細かいところが見づらくなるため、全体の田園の雰囲気と色彩のバランスに注目が移り、神話画であることはどうでも良くなるからかもしれません。
しかし、次の自然を題材にしたボーシャンの絵から、彼の絵に魅了されました。
花瓶にぎっしり溢れた花を、ロワール地方の美しい自然を背景に描いた、静物画でもあり風景画でもあるボーシャンの特徴的な絵。
見たもの全てを自分の細部にこだわり、遠近法にはこだわらず、全てに焦点が合った状態で描かれているのが素朴派だといいます。
なので花瓶の花も鳥もあまりに細部まで丁寧に描き込まれているため、絵というより、まるで植物誌や博物誌のようなのですが、それでもどこか詩情が漂っています。
そして、心が癒されるような穏やかで明るい画面。
広大な風景画など、肉眼では見えるはずのない細部な遠景の、超望遠レンズで見たような細部の丁寧な描写は、パズルを見ているような楽しさと同時に、幻想性を与えているように思えました。
オーディオ・ガイドで指摘していたように、ボーシャンが描く対象は、アンリ・ルソーのように見たことも行ったこともないものではなく、現実にあるものを描いています。
それでいながら、どこか遥かな世界、陳腐な表現ですが、「地上の楽園」を絵の中に作り上げることができたのは、それだけ画家本人が身近な世界を愛し、温かい目で眺めていたからに違いありません。
パンフレットの表紙やポスターにも使われていたのは、ボーシャンの晩年の傑作、亡くなる前年、87才(1957年)の「ラヴァルダン城の前、丸いフルーツ皿に乗った果物と花々」です。
個人蔵なので、この美術展で引っ張り出してもらわなければ、拝めなかった絵ですね。
私はこの中央のフルーツ皿からバビロンの塔を連想しました。
花や果物を人に見立てて。
ただし、人々が分かりあえて、一緒に賛美歌や喜びの歌を歌っている、という、違うバージョンのバビロンの塔です。
グランマ・モーゼスの絵は期待どおりです。
この人の絵は何度でも眺めたくなります。
今回は、グランマ・モーゼスの自伝の一説を織りまぜたオーディオ・ガイドのおかげで、なるほどという新情報も得ることができました。
雪のきらめきを出すために、銀粉をまぶして絵画に輝きを持たせたりしているそうです。
グランマ・モーゼスが絵を描くときは、自然をじっくり観察したそうです。葉の一つ一つも全てが同じ緑色でないことを、頭で学ぶのではなく、観察から導き出しています。
日常の何気ない瞬間を本当に大事にしている様子がよく分かりました。
また、グランマ・モーゼスのようなパノラマ風の広大な風景画は素朴派では珍しいそうです。いわれてみればそうかもしれません。
やはり彼女の絵で最も魅了されるのは、パノラマ風の広大な風景画に、人々の姿が丁寧に細かく描かれている絵です。
遠近法にこだわらないところと色づかい、素朴な描写がとてもメルヘンチックで、しかも、その人々の1人1人に、何気ない日常の生活の一端でありながら、豊かな物語性があるところがとても魅力的です。
ちなみにメープルシロップ作りが雪景色の頃というのは今回初めて気付きました。
まだ雪も解けない頃に、樹液を集めて煮詰めて作るそうですね。
ジュニア版ブックレットの表紙のグランマ・モーゼスの絵は、「フージック・フォールズ、ニューヨーク II」(1944年)です。
鉄道は通っていますが、昔、NHKでやっていた「大草原の小さな家」みたいなのどかなアメリカの村です。
この町のお店に飾られていた彼女の作品がコレクターの目に留まったのが、彼女をの画家デビューのきっかけです。
オーディオ・ガイドは常設展もしっかり解説していました。
東郷青児美術館の自慢の3枚の印象派の絵、ゴッホの「ひまわり」、セザンヌの「りんごとナプキン」、ゴーギャンの「アリスカンの並木路、アルル」です。
ほかに美術館の所蔵品の中から、東郷青児自身の「花炎」と「超現実派の散歩」と山口華楊のキツネを描いた「幻化」、「葉桜」(根元には、小さな蛇が描かれていました)、そして「猿」が展示されていました。
素朴派と印象画の後で、全く雰囲気の異なる日本画を眺め、日本画もいいなぁと改めて思いました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 義臣さん 2008/09/02 15:32:10
- 西口
- 新宿西口の写真、、私も写しますが、、
センスも腕も適わない、、良い写真ばかり、劣等感感じます(涙)
土曜日も都庁前にカメラ持参で行くのですが、(大江戸舞祭)
子供達つれて?連れられて?
行くのですが人物ばかりではここにUP出来ませんね。
義臣
- まみさん からの返信 2008/09/03 03:40:41
- RE: 西口
- 義臣さん、こんにちは。コメントと一票ありがとうございます。
いやいやご謙遜を。
でもお褒めの言葉はありがとうございます@
私は祭りはまだ撮ったことがないんですよね。
最近、祭りにほとんど出かけていないせいもあり。
人出をかいくぐって撮るのは大変だと思います。
人物ばかりでは確かにアップしづらいですが。。。いい写真が撮れたらぜひ。
意外とたまるかもしれませんよね。
あるいはやはり子供と一緒だとそれどころでないかな。
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