2025/11/21 - 2025/11/25
27位(同エリア41件中)
aokiさん
現在のArabia Felixたるオマーン。原油適正利用と係争回避とでアラブ世界には稀な平和をカブース国王下構築してきた。国民と移民という二層化により公共交通機関が未発達なのが旅行者としては難だが(高温もきつい―5~10月は困難、3,4月は大雨あり、その他国の祭日等で交通や宿泊が難しくなることあり)、押しつけがましくなく平穏で穏やか、意外な、しかし本物のアラブ世界を知る糸口としてベストだろう。古都ニズワは典型的な観光地ですら風俗、自然の面で興味深い。
サウジアラビアは6年ほど前に観光ビザ要件が緩和されたほか、女性の行動に対する規制も緩和され、現在では外国人のみならずサウジ女性も肌の露出が極端でなければ規制はないといっていい(髪もおおわないでよい)。ただ実際にはアバヤ着用が金融センターKAFDでも8割以上の感じ。ここは800万都市で公共交通機関なしでは成り立たないので今年4月にいちおう完成した地下鉄網のほかバスその他がかなり整備されている。ただしサービスは一般に国際水準とはいいがたい。
オマーンは「過度な成長を抑えた安定」を幸福の条件に置く一方、サウジは「規模拡張による近代化」が前面に出ており、その差が、都市の空気と人のふるまいとの質に表れているようである。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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21日早朝にカタール航空でドーハ経由でマスカット空港に。ATMでのキャッシュ引き出しは問題なかった。mwasalatバスはネット上はNizwaまで複数便がみられるが、駅の販売員は日2便しかないというので朝8時10分(ガイド等によく出ているもの)を選択。時間があまったので空港前の駐車場など見る。白い上等の日本車がほとんどで、ぴかぴかにしている(後出のガイドノモハメッド君によるとそのように大事にする文化なのだと)。フラットな設計なのはカブース前国王の意向らしく、実際マスカットの町には高い建物があまりない。中国式というか、太い幹線から脇にどんどんでていく感じなので、路線バスをつかって移動することが難しい(バス停からうごこうとしても適当な歩道がない)。
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駅の販売員はわたしのスマホにパソコン画面をうつさせてこれがチケットがわり。紙のプリンターは節約のようだ。基本mwasalatバスは移民のためであまりお金をつかわないのだろう。ネットでの予約や利用は日本からはおそらく無理、現地で操作するとうまくいく(これはタクシーアプリのotaxiも同様)のだが、2日前にはバスチケットのネット販売は締め切りになるので旅行者は基本は当日買いになるだろう。おそらくだが満員にはなりにくい(19日20日と国民祝日で大変な人出だったそうだがこの路線はあまっていた)ようだ。
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Nizwaまで途中に翌日にいくBirkat al Mouzをみながら進む 道はまあまあだがもうすこし細くなると頻繁に速度おとしのためのスピードバンプ多数。それと何度も休憩するので距離は150キロくらい、時速もはやいが3時間ほどかかった。右の山はNizwaの特徴的な山というか丘で、わりとがらがらしているが、雨とかでもそうは崩れない由。
オマーンは運転マナーはまあいいようなので運転できる人はレンタカーで動いた方がいいと思う。バスは汗臭くてあまりきれいでないし、路線バスは時間通りに派はまず動かないので、旅行記などにあるバスはほとんど使えないというコメントは現時点でも妥当すると思う。 -
Nizwaのワジ(涸れ川)。グーグルマップではりっぱな川になっているが実際には水がない。3月ごろにわんわん流れるので何も建てることができないが、駐車場利用くらいならできなくもないようだ。
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これがニズワの川が3月に氾濫している写真で後出のガイドのモハメッド君にうつさせてもらったもの。
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Nizwaの切符を買うときはcenterかfortかという聞かれ方をする。自分はあらかじめsaal pedestrian bridgeと指定したがたぶんこれがfortのほうの停留所なのだと思う。hotel residenceがこのバス停から1キロ弱で、昼だとこの時期でもこれくらいが限度でこれ以上歩くと日射できつい。途中にモールがあり、そこにある標準的なテイラー。ディシュダーシャという男性の服は肩からかかる形で布のおもさで全体がととのえられまくれない(下にはズボンとかはかない)。生地とかにあまりこだわらないのはどうやらオマーンのイスラム(イバード派)の教義にのっとってのつつましさからのようだ。しかしディシュダーシャはとても優雅、年輩のやさしいまなざしのおじいさんが着ても、若いすらりとした背の高いお兄さんが着ても、それぞれにとても決まる。
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ニズワフォートのまわりのスーク。マスカット市のミトラス―クと異なりこちらは主に地元あるいはオマーンの他の地域からの人が多い。前国王愛用のオープンカーが大人気(前国王はその前の時代の混乱を収束し、オマーンの現在の平和と安定とを実現したとして国民から敬愛されているようだ)。
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オマーンはとても安全で、女性も夜遅くまでというか、夕方になってから行動している。昼は暑すぎるのだ。女性だけのグループも結構みかける。だがアバヤを着ている人の率が高い。割と体面とか相互監視とかが気にされるほか、オマーン国民と移民との違いを衣服で示すということもあるのだろうか。
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22日8時にガイドのモハメッド君が車で迎えに来てくれる。非常に丁寧親切で、しかもできるだけ客1組に1人ガイドにしているそうだ。オマーンの一般的な考えとか生活について聞けるのが貴重。このツアーは15000円くらいでMisfat Al Abriyeen, Bait Al Safa, Al Hoota Caveと回る。前2者はふるい村、最後は洞窟。これだと戻るのが12時から13時ごろとなり、17時50分のマスカットに戻るバスまで時間があまるので、さらにBirkat al Mouzを追加してもらった。 Booking.comから予約するので自由度が限られたが、直接に頼めば更にいろいろ、たとえばJebel Shamsなど3000メートル級の山に日帰りでガイドできる由。
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Misfat Al Abriyeenの高台からの褶曲地形のながめ。とにかく地形が特異で、こういった岩の下はかつて海底で石灰岩であるため鍾乳洞化しやすいようである。
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木もおもしろい。ChatGPTにいろいろ教えてもらうのだがいかんせん和名のない木なので覚えられない。有名なフランキンセンスはここには生えていないようだ。
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Bait Al Safaで古い生活を再現しているもので典型的な観光地ではあるのだが、モハメッド君によるとわりとこれに近い生活をいまでもしていると。たとえばナツメヤシの木の畑を一家でもって、デイツを収穫し、シロップをとって1年使うといったことはいまでもするそうだ。なおここでいろいろ香料をためさせてくれるけれども、オマーンの売りはフランキンセンスでここにはない。フランキンセンスをつかった香水のど真ん中がアムアージュゴールド。
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このあと一般の食堂でラクダの串焼きを食べた。味はあまりなく硬い肉だ。サラダが素朴だがおいしい。お米はパキスタンあたりからのインディカ米でスーパーだと大袋で2000円くらい、日本の5分の1くらいの感じ。
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これはAl Hoota 洞窟の模型で4キロとかの長い道の一部を公開している。虫やこうもり、魚が住んでいて、上の暑くて乾いたところよりこういうところのほうがバイオマスが高いのかもしれない。
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Birkat al Mouzの市がやっている公共のヤシ畑でこれを部分部分に市民に使わせているそうだ。バナナも育てられている。
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収穫の様子はおもしろいが危険をともなうもののようだ。
https://www.youtube.com/shorts/GdKogDsM7VA -
ファラージュ、つまりササン朝ペルシャ時代にペルシャ支配がここまで及んでいた時につくられた水路で、水係争を予防したり蒸発を防いだりといった目的からのようだ。ここに登るのは小さいいりくちからちょっとクライミングが必要なのだが、モハメッド君と一緒にのぼったところ(考えてみれば彼はあのディシュダーシャでのぼったのか。。。)下のドイツ人観光客グループが興奮して口々に声をかけてきた。
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モハメッド君とわかれフォート要塞を見学して17時半すぎごろに日没をみて首都マスカットに戻るバス停でまっていたが20分以上遅れた。まあここは時間をまもらなくちゃという意識はないようだ。ただこのバスは空港行きだったこともあり、ほぼ定時に到着した。途中でなんと乗客のひとりの高齢者が発作をおこしたけど、家族と一緒におおきな停留所におろしてすぐに出発。
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23日はotaxiでまず空港へ。前日空港からは10分ほどで6ORだったが(2400円)これは4OMが最低でチャージされるかららしく空港へは1ORちょっとだった。そんな調子で、空港発をのぞけばotaxiを使えばたいへん手軽にかなりの距離たとえば30キロくらいをまわることができる。ガソリンが安いとしても車がきれいだし、ちょっと運転手に気の毒な感じの金額。運転手は移民もオマーン人もあり。写真は空港から遠くないスルタンカブースグランドモスク。グーグルマップでは土日休みとなっていたがふつうの説明にあるとおり午前は観光客向けに開放されていた。
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そこからさらにバスをのりついでRUWIというバスセンターにいく。センターといっても野外に10台ほどスタンドがあり、それもくるのかこないのかわからないような状態。でもRUWIなら待っていれば何とか乗れる。それ以外の停留所だと1時間待っていても来ないとか、ようやくきたら「これは乗れない」といわれるとかさんざんだった。写真はRUWIからオールドマスカットにいく4番にのった終点のAl Alam Palaceの国立博物館で、たくさんの生徒グループが見学にきていた。この博物館はほどよく国家の経緯を説明したもので歴史的資料の展示としてもすぐれる(サウジアラビアの国立博物館は歴史的価値としても残念、国家宣伝としてもどうかとおもわれるものがあり、それに比べてオマーンは大変よかった)。
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右が博物館、ひだりがただものじゃない感の建物で財務省。オマーンは原油資源管理と配分が国に肝であり、そういった仕事をするところなのだろう。
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夕方ホテルSwissBelinnにもどり近くのイスパファンベーカリーでペルシャ風のお菓子を買って夕飯がわりに。近くなんだけどやはり歩きにくくて閉口した。バスの切符は結局これだけで、その他はなんどもタクシーをたのんだ。翌日24日はタクシーで空港へ。のこった12ORほどを両替してもらうためパスポートをだすと、それまでたるそうなかんじだったお兄さんの顔がぱっと輝いて「日本人か」と。ここまでで日本人はあまりいないが、しかし日本車のプリゼンスは高いことがわかっていたので、日本車をほめてくれるんだろうなあとおもいながら「なぜ日本が好き?」ときいたらば”ENEMY EVERYWHERE”と即答したので愕然とした。日本は利害関係のないある意味理想郷なのだろう。そしてオマーンみたいに一見のんきで平和でもたとえばテレビのチャンネルをひねればアルジャジラが悲惨な画面を流しているというように、緊張が永続しているのだろう。
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ガルフエアでバーレーン経由でサウジアラビアのリヤドへ。途中で日本人の若い男性2人組がとなりで面白い話を日本語でしてたまらず吹き出したらひどくおどろかれた。自分はこういう怪しい恰好をしているので日本人と思われなかったようだ。これはなかなか涼しいし行動的だしいちおう衣服要求をだいたい満たせるので気に入っているのだが段々必要ではなくなるのだろう。お兄さんたちは現地で活躍しているそうで、こういう日本人が増えると頼もしいと思う。
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うわさのリヤドの地下鉄だが線によって住宅の質が全然違う。しかしほとんど緑がなくげんなりするほどの石と砂続きとなっている。リヤドは砂漠の上にいきなり800万都市、海沿いで歴史的沿革ある150万都市オマーンにくらべて極めて人工的で、水の供給ひとつとっても大変な技術だと思う(ヤシの木ですら自生していなかったのではないか?)。が、でもでもあちこちで破綻的な現場もあり、ということで混沌としている。
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地下鉄はfirst family singleと3つに区分されている。first切符をかえばsingle以外はのれるがカードを買わないといけない。3日券1000円程度ときわめておとくに買うにはスマホ登録となる。これはときどき詰まったりしたがまあまあ出来が良いアプリだった。singleは男性、familyは女性か女性を含む家族(男性がはいってもいい)。原理としては女性を保護すべく女性に問題ある男性を隔離するという設計のようなんだが、けっこう男性があんまり考えずfamilyにはいってきて、そうすると緑の制服をきた係員に注意され、すなおにでていく。でもこのあたりすごくゆるやかになったようで、女性の服装(髪をおおわないとかアバヤをきないとか)が典型だが、それ以外にもカップ飲み物くらいなら飲むとか、相当に宗教警察の縛りが弱くなっているようだ。年輩の女性はわりとやさしくものごしもやわらかいが、40以下くらいの原油景気下に成長した人たちはどうか(たとえば飛行機で前の座席のシートの間に足を突き出すとか)という方が目立つ。高齢者がよろよろしていてもまずまず席を譲らない。そういう育てられ方だったんだろうなと思う。国立博物館にいったが展示にがっかりし、ただ博物館まわりの緑は人工的ではあるが緑によろこぶシラコバトをはじめとするめずらしい鳥がたくさんいてここで少し休めた。
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25日はサウジ王家発祥の地ディルイーヤにメトロ大学駅からタクシーでいったが、場所に併設されたカフェの客引きの押しや、展示のいい加減さ(肝心な箇所はすべて通行不可。おまけの展示もがっかりもの)にあきれて、しかも本体がこうなのに隣にまた別のサイトを建設中というように、うまくいかない例の典型のような状態だった。しかも17時の飛行機で11時にそうなのでどうするかこまってGPT先生に相談したらKAFDのモスクが現代的で面白いから見たらという。KAFDはきのうぐるぐる地下鉄をまわったときに使った乗換駅だがこれが大当たり。これがKAFDの一番奥当たりのモスクだが近代的にしゃれているうえに近くの金融マンがひんぱんにでいりして中でマインドフルネスみたいなことにつかっているようだ。
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KAFDの建物はアラブ的なデザインでおしつけがましくなく優雅で、道も歩きやすく(ここでは全く普通でない)つくられている。いちばん胸をうたれたのは一番高いビルの上にかがやくHSBCのマーク。もしかしたら香港民主化デモの前からそうだったかもしれないが、とにかく自由が抑えられた祖国を離れて例えばここでがんばっていたのかと胸が熱くなった。
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KAFDの駅もデザイン抜群、ここだけ見ていると本当に素晴らしいなと思う。だけど帰りの空港の両替所で230リアル(10000円以上)をだしてドルにと頼んだらこんな低額両替できないと2か所であざわらわれた。GPT先生にどうしようと相談したらこれからアブダビでトランジットでしょう、そこで替えられると断言。GPT先生よく嘘をつくし、キャッシュがつかわれにくくなっているからどうかなとおもったのだけど見事に両替できた。このことひとつとってもUAEとサウジとではいかにサービス業の水準が違うかが推して知れるとおもった。
オマーン、UAE、サウジはアラブといっても全然違うと思う。そしてイスラム圏といってもイランはペルシャ人としてまったく別物、また北フランスも全然べつ(地下鉄アナウンスにフランス語みたいなのがあるのはたぶんこちら向けだろう)、エジプトもアラブの盟主みたいだけどでも言葉も違うようだし、アラブの本体というのは案外オマーンあるいはUAE(これも昔は休戦オマーンなどといっていたらしい。原油前の状態はまったく今とは異なるようだ)ではあるまいか。レバント方面は原油が出ない上に抗争が続き、また原油はあるが崩壊してしまったイラクとかんがえていくと、いかに幸福のアラビアの条件が厳しいものかと思わざるを得ない。
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