2025/03/11 - 2025/03/11
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プロムナードさん
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2025年2月~3月のネパール→インド→パキスタンの旅を記録します。ペシャワール滞在中、ここから80キロのガンダーラ遺跡を目指します。
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ラマダーンなので今朝の食事はこれ。リンゴはナイフがないのでかじる(皮は捨てたが)。少しでも体力をつけておく必要がある。
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市内を縦横に走るBRTの使い方も慣れてきた。今日は路線の乗り継ぎがあってやや難易度が高かったが、東京に比べればなんてことはない(とにかくひとに聞きまくっています)。
目指すは、北へのバスが発着する「Charsadda Adda」。ここから、ペシャワールの北80キロにあるタフティ・バーイへ向かう。 -
BRTでは「私もCharsadda Addaに行くんだ、一緒に行こう」というおじさんに出会い、降りてから先導してもらったうえに、途中で買ったジュースとお菓子のお金を払っていただいた。ラマダーンは食事が厳しいのだが、一方でこの旅人もてなし度にバフがかかるところはほんとうに得難い経験。シュークリア。
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パキスタン旅行のいつものノリだが、バスステーションに着くと凄まじいバンと人混みに飲み込まれてぐちゃぐちゃになり、いつの間にか席に座っているという状況。
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目指すタフティ・バーイまでは高速を使うのだが、運転手さんは走行中に乗客から運賃を徴収し、お釣りを渡す。車掌的なひとはいない。私は助手席で、ハンドルから両手を話して金勘定する運転手さんを見ている。なおシートベルトはない(あるが、装着可能なものではない)。
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1時間強でタフティ・バーイへ到着。路上市で賑わっている。
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バスからチングチー(トゥクトゥク)に乗り換えて、この街にある遺跡へ向かう。
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そろそろ遺跡らしいところまで来ると、警官たちが登場。またしても嫌な予感がする。
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「外国人の安全を守るため、同行するぜ」とのこと。旅の最後にきて、アサルトライフル武装の警官が常につきまとう状況になってしまう。外国人ターゲットのテロ対策なのだそうだが、バックパック背負って旅するような人間にとっては耐え難い。ひとりで好きに動けるからこの旅をしているのに……。
※このあとの写真ではいちいち撮影していないが、常に警官がそばにいる。さらに、どこから出てくるのかその数はどんどんふえる。単に物珍しいだけではないか? そもそもこのガンダーラ廻りの旅で外国人など私以外に見たことがない。テロ対策というご、どこまで本気でやってるのかさっぱりわからない。 -
そうこうしてたどり着いたのがタフティ・バーイと呼ばれる遺跡。ガンダーラの主要な遺跡のひとつで、旅の余裕ができたので新たに追加した目的地だ。
現地の世界遺産の説明ボードによれば、紀元前2世紀から7世紀にかけて栄えた仏教集落とのこと。山岳地にあり、よくこんなところに建てたなと思う。日本でもチベットでも山あいの寺院は多く、源流なのだろうと感じる。 -
これまで見てきたガンダーラ遺跡のなかでは、もっともひとまとりで良く保存されている。わりと立体的なつくりなのも面白い。
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たくさんある僧房のひとつ。ここで仏教を学んだのだろう。
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多くは修復されたもののはずだが、一部には当時そのままの壁が残っているらしい。整いかたが違うのでなんとなくわかる。
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メイン・ストゥーパのあった基部。ここに大きなドームの基盤と、そのうえに重ねられた何層もの傘状のものが天を突いてそびえていたそうだ。タキシラやスワートで当時のストゥーパの模型を見てきたので、実像がイメージできる。
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小さな壁龕がたくさんある。仏像が配されていたのだろう。
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そしてタフティ・バーイには地下室が残されている。瞑想室とのことだが、とても雰囲気がある。
いい加減つきまとう警官たちがうざったいので、「私はブッディストなので、ここで瞑想したい。しばらくひとりにさせてもらえないだろうか」と伝えてみると、ちょっと深妙な顔で頷いてくれた。それでも目の届く範囲から消えてはくれなかったが……。 -
ひとりになりたかったので思わず「瞑想したい」といってしまったが、口に出すと、そうするのが当然のように思えてやってみることにする。
地下にはいくつか瞑想室があるが、いずれも真っ暗だ。身を屈めて入る小さな入口からわずかに外の光が射し込むだけ(写真はiPhoneがシャッタースピードを限界まで遅くして光を捉えているが、肉眼ではもっと薄ぼんやりとした光)。 -
なんとなくの座禅を組んでしばらく瞑想? をするが、これがとても気持ちがいい。比叡山や永平寺で座禅させてもらったことはあるし、不眠解消のため最近は瞑想アプリを使ったりもしているのだが、ここでの瞑想はまったく違う。地下だからか、じっとしていると生き埋めになったのでは? と怖くなる。それがいい。二度と外に出られないという恐怖をイマジナリーに味わえる。むかしアイソレーション・タンクというものがあったが、人間には外部からの感覚刺激を遮断したいという強い衝動があるのだと思う。
半眼になると、正面の壁に自分の影が映っている。これもいい。絶食などで精神状態が変性していれば、仏を観ることもできそうだ。当時は完全に闇だったのかも知れないが、地下道に灯りをともせばこのように自身の影を壁に見ることになっただろう(写真は前述のとおりiPhoneががんばっているが、実際はもっと微妙なあかりだ)。 -
ひととおり見てまわったあと、石段をのぼって僧房やストゥーパ跡の全景を眺めおろす。その向こうには現在の街が見える。
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遺跡群はここだけではなく、周辺の山岳地に広がっている。1時間もあれば一帯をトラッキングがてら歩いて楽しめそうだったが……。
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振り向くとこのひとたちがいてダメだった。「あそこへは行けない」といわれたのが、観光ルール上のことなのか、そこまで付き合うのは面倒だということなのかはわからない(ガイドブックによればむかしは自由に歩けたようだが……)。なお警官たちは基本明るい、というか緊張感のないノリで、「彼女に動画送るからなにかいってくれよ!」みたいなことを畳みかけてくる。人数もどんどん増えて、最終的にはガイドらしいひとも含めて10人くらいのパーティになる。軍隊と一緒に古代遺跡の謎を探っているインディ・ジョーンズのようだった。まったくそんなことは望んでいないのだが。
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下山すると、また別の警官隊が待ち構えている。旅行者ひとりに異様なほど手厚い対応だ。よほど暇なのか、またはサボる口実を探しているのかと勘繰ってしまう。とにかく放っておいてもらいたいのだが……。
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一度捕まってしまうと解放されないのはスワートでも経験したとおり。これは無謀な旅ではあるが、アサルトライフルをもった警官たちから逃亡を試みるほどではない。ただ諦めの境地。警察車輌に乗せられ、「どの国から来たんだ?」「パキスタン楽しいか?」と繰り返される質問に苦笑で答え続ける。ゲームで発生する強制イベントのようなものだ。
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世間話の流れで、ラマダーンだからお腹空くよね~などと口走ってしまい、後悔する。突然警官たちは車を停めて、近くのレストランに突撃する。「彼は旅行者だ、なにか食べさせてあげなさい」(推測)などと無茶をいう警官たち。訳のわからないままに外国人を奥の客間に通して、「ラマダーンだからすぐ出せる料理はないんですよ」(推測)と困惑気味に話す店長。なんだなんだと物珍しさに集まってくるスタッフや子供たち。いや、私はただひとりになりたいだけなんだ……。
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強制的に乗せられたバスでペシャワールへ戻ったあとも、連絡を受けて待ち構えていた警官隊に包囲されて、パトカーに乗せられる。どうやらホテルへ送るつもりのようだが、なぜか途中で何度もパトカーを乗り換えさせられ、そのたびに新しい警官が「どの国から来たんだ?」「パキスタン楽しいか?」と始める。国籍くらい引き継いでおいてほしい。今日だけで30人近くの警官が私のために出てきたようだが、外国人対応をするとボーナスでももらえるのだろうか?
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警官イベントに拘束されたおかげで、すぐに日暮れとなる。断食明けだ。
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昨日のお店でカルボナーラ、クリームシチュー、アイスクリームをいただく(カルボナーラとクリームシチューでクリームかぶりなのはメニューから料理が推測困難なため偶然。なおデザートメニューのほとんどが提供不可で、唯一可能なのがアイスクリーム)。基本的に塩が多く肉のサイズが大きめだが、味は日本人の想像するものと大差はない。2120ルピー(約1060円)。
旅も大詰め、現金を使い切るモードに入っているので気が大きくなっている。明日は空港近くの街へ移動するが、その前に昨日入り逃したペシャワール博物館を見ておこうと思う。口頭で確認した限り明日は開館しているはずだが、ちらりとガイドブックをみると水曜休館とあるのが不安なところではある。
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