蔡焜霖さん(1930-2023)がご逝去された事はYahoo! JAPANニュースでも報道されました。93年の生涯は波乱に満ちたもので、台湾にご興味がある方々には是非、お読み頂きたいものです。<br /><br />1930年台湾台中生まれ<br />1950年反政府活動の罪名により投獄<br />1960年 10年間の懲役を終える<br />その後の40年間、文化出版業界を中心にご活躍<br />2000年頃より後の近年は白色テロ時代を生き延びた生き証人としてご活躍<br />至極簡単に記すと上述となりますが、最初は漫画出版業界で「王子」と言う日本の少年漫画と連動した雑誌出版やファッション雑誌「ノンノ」台湾版の発行出版などを通じご活躍され、少年誌では野球少年の活躍なども支援し、その後は国泰集団と言う大きな事業会社の社主に見いだされ日本との関係なども含め大いにご活躍する社会人人生を全うした上で、その後2000年頃からの人生は国家人権博物館などでの生き証人として施設案内など含め、本当に最後までご活躍をされた方です。<br /><br />https://youtu.be/SGs0K6XYkfQ?si=R_-DGCUp75GSB1j0

台湾台北蔡焜霖先生とその時代

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2023/10/01 - 2023/10/01

16803位(同エリア28200件中)

エリア

台北(台湾)

旅行の満足度: 5.0

同行者: 一人旅

一人あたり費用: 1万円未満

交通手段: 徒歩

旅行の手配内容: 個別手配

新北市復興路/中正路交差点にある国家人権博物館にも蔡焜霖先生の名札が石板名簿のひとつとしてあります。（MRT十四張駅から徒歩15分）
いわゆるニニ八事件以後に始まる白色恐怖時代、台湾では多くの日本植民地時代知識階級が捕らえられ、投獄、或いは銃殺処刑されました。

そんな時代は、
1987年戒厳令が解かれ、いわゆる白色テロ時代が終わり
1988年李登輝総統～2000年を迎え、民主化が進みます
台北市を西から南に斜めに流れている新店渓と言う川がありますが、こちらの場所は龍山寺から南に降りてゆくと青年公園と言う比較的大きな公園がありますが、その南面に位置し、河川敷にあります。（MRT古亭駅から、、、、徒歩45分）
ニニ八事件当時、その河川敷が銃殺刑場であり、大量の反政府台湾人知識人らが処刑されました。その銃殺現場は紀念公園として2000年に漸く開園しましたが、墳墓状の土丘と石碑、抽象的記載などのみで、多くの者が誰にどう亡き者とされたのか、は伝えられていません。

そして、若く将来のある台湾の方々がいわれも無い罪名やタレコミなどで叛乱分子とされ、捕らわれ、殺された歴史の過ちを、繰り返してはなりません。
台北市内にも、重慶南路/南海路の交差点にニニ八国家紀念館があります。
こちらの2階に凝縮された内容でどんなだったか、を見ることが出来ます。
こちらはよく纏まった時系列一筆書きで見せる展示です。
台湾を何度も楽しまれてきた方々が、角度を変えて台湾の歴史、特に日本植民地以後の歴史などに興味を広げられたら、行ってみて頂きたい場所です。
1947年からの二二八事件から、中華民国側は様々な条例を緊急発動し、為政都合によりそれがその後40年間も緊急事態として実効していました。
その後、白色テロ時代が二二八事件に続きます。そうした緊急事態条例などが解除されたのは1990年代初頭を待たないとなりませんでした。いわば、1990年初頭頃までは、戦々恐々と誰かに何かを投書密告されないか、を気にしながら隣人にも心を開けない、相手が「外から来た」ものなのか、或いは台湾人なのか、を慎重に見極めながらの生活が続いた訳です。
日本投降（敗戦）撤退から始まる日本語を母語とさせた植民地統治が終わると、勝戦国アメリカの代理としてご指名で中華民国（国民党軍）が来台、管理を始めました。当然ですが、日本語を喋るやつらは奴隷根性の中華魂を忘れたやから、として排他されるどころか反政府分子として捕らわれ、いわゆる知識階級を中心とする日本留学組や日本語家庭（優秀な家庭とされた）が目を付けられいわれも無い理由を付けられて留置投獄の憂き目を見たのです。
今回の台湾行きでは、それに加えて原住民＝中には4000年も前から台湾に住みつき生活をしてきた者が、少なくとも現時点台湾総人口2,300万人中の2％強、55万人を数えると言われています。台湾は台湾人のものだ、とする75％程いるとされる台湾語カテゴライズされる方々が、「我々のもの」とする際に、原住民の事を忘れてはいけない、としてここに敢えてこれを上げておきます。少なくとも、マジョリティ、マイノリティとしての少数者側だが原住民（日本的には先住）も忘れてはならない、と。

こちらは、順益台湾原住民博物館で、場所は故宮博物院正面を背に、斜め左の道の対面側にあります。
こちらも、故宮博物院まで行かれた方は是非お立ち寄り頂けると嬉しい場所です。
蔡焜霖先生と同郷同姓で別な蔡さんも捕らわれの身でした。元々の刑期が5年と自身刑期の半分であったが、ある日看守に呼ばれ、その後緑島には戻らなかった。後年、彼は反政府運動の為に処刑銃殺された、と聞いた。そんな国家の暴力がまかり通って良いのか、誰が友人を殺したのか、と晩年も言い続けた。そのようなことは、あってはならないことです、と日本語でも語っています。

蔡焜霖先生の口述自伝、国家人権博物館の売店で買いました。中国語学習のためにも必要であり、興味を持ったトピックで何かを読む事で、そのジャンルのボキャブラリが増え、知識が頭の中でカタチになって行くので、興味関心を中心とする語学学習は続きますし、飽きません。

https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/5834
岩波の日本語での「台湾の少年」ご紹介