海印寺を訪れたあと慶州市に移動し1泊、翌日は今回の旅のハイライト、仏国寺と石窟庵を訪れた。慶州駅からは市内バスで約40分行ったバス停から徒歩5分ほど。石窟庵は更にバスに乗って20分ほど登って行くと到着する。このバス停はなかなか分かりにくく、あちこち探したが見つからない。諦めて手当たり次第英語で聞いてみたところ、日本語で丁寧に教えてくれる人がいた。聞いてみると然もありなん、日本語ガイドで石窟庵へ向かうところだった。ご好意に甘えて仏国寺と石窟庵について詳しく聞くことができた。日韓関係の少々際どいことも聞いてみたかったが、ここは巧みにかわされた、と言うべきか。<br /><br />まずは仏国寺について、解説によれば、新羅景徳王の宰相により建立され774年に完成、8世紀半ばには約60棟の木造建築が建設され最盛期を迎えた。しかし15世紀に入って李氏朝鮮の太宗による仏教弾圧により廃寺になり、20世紀初頭には紫霞門左右の行廊も倒壊、石壇も埋もれてしまった。その後日本統治時代の1924年に朝鮮総督府による再建工事によって石壇・石廊を含む主要構造が修復された。そして戦後の1973年に発掘調査が行われ、改修工事により現存する無説殿、観音殿などが再建された。<br /><br />もう１つの世界遺産である石窟庵は仏国寺からバスで20分、更に爽やかな山道を10分ほど登っていったところにある。本尊は高さ3.4mの如来坐像で、額の部分には劣化防止のためのガラスが埋め込まれている。エジプトのアブシンベル神殿がそうであるように、日の出の瞬間の太陽の光が石窟内に差し込み、本尊に当たる設計になっている。この石窟庵にも日韓関係を象徴するエピソードがある。韓国では近年まで本尊となる仏像は2体あったが、1体は日本に盗まれたと考えられていた。しかし最近の調査の結果、もともと仏像は1体であり日本に盗まれたというのは俗説であることがわかったそうである。<br /><br />日本に入ってきた仏教を中心とする大陸文化は、基本的に朝鮮半島を経由してきたものである。韓国の仏教遺跡を巡るとそれを実感させられる。同時に日本の侵略行為が韓国の誇る文化伝統を深く傷つけていた事実に直面する。過去に目を閉ざすことなく、日韓関係が改善されることを切に望みたい。

韓国の世界遺産No. 4 : 慶州の仏国寺と石窟庵を訪れる

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2018/10/02 - 2018/10/02

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ハンクさん

海印寺を訪れたあと慶州市に移動し1泊、翌日は今回の旅のハイライト、仏国寺と石窟庵を訪れた。慶州駅からは市内バスで約40分行ったバス停から徒歩5分ほど。石窟庵は更にバスに乗って20分ほど登って行くと到着する。このバス停はなかなか分かりにくく、あちこち探したが見つからない。諦めて手当たり次第英語で聞いてみたところ、日本語で丁寧に教えてくれる人がいた。聞いてみると然もありなん、日本語ガイドで石窟庵へ向かうところだった。ご好意に甘えて仏国寺と石窟庵について詳しく聞くことができた。日韓関係の少々際どいことも聞いてみたかったが、ここは巧みにかわされた、と言うべきか。

まずは仏国寺について、解説によれば、新羅景徳王の宰相により建立され774年に完成、8世紀半ばには約60棟の木造建築が建設され最盛期を迎えた。しかし15世紀に入って李氏朝鮮の太宗による仏教弾圧により廃寺になり、20世紀初頭には紫霞門左右の行廊も倒壊、石壇も埋もれてしまった。その後日本統治時代の1924年に朝鮮総督府による再建工事によって石壇・石廊を含む主要構造が修復された。そして戦後の1973年に発掘調査が行われ、改修工事により現存する無説殿、観音殿などが再建された。

もう１つの世界遺産である石窟庵は仏国寺からバスで20分、更に爽やかな山道を10分ほど登っていったところにある。本尊は高さ3.4mの如来坐像で、額の部分には劣化防止のためのガラスが埋め込まれている。エジプトのアブシンベル神殿がそうであるように、日の出の瞬間の太陽の光が石窟内に差し込み、本尊に当たる設計になっている。この石窟庵にも日韓関係を象徴するエピソードがある。韓国では近年まで本尊となる仏像は2体あったが、1体は日本に盗まれたと考えられていた。しかし最近の調査の結果、もともと仏像は1体であり日本に盗まれたというのは俗説であることがわかったそうである。

日本に入ってきた仏教を中心とする大陸文化は、基本的に朝鮮半島を経由してきたものである。韓国の仏教遺跡を巡るとそれを実感させられる。同時に日本の侵略行為が韓国の誇る文化伝統を深く傷つけていた事実に直面する。過去に目を閉ざすことなく、日韓関係が改善されることを切に望みたい。