安い、近い、短い旅の記録 No.44 「２年ぶりにやって来たCyclone Marcus。思いもよらぬほどの大きな爪痕を残しました。」２０１８年３月１７日（土）

2018/03/17 - 2018/03/17

３月１５日に熱帯低気圧としてアラフラ海（オーストラリアとインドネシアの間に横たわる海）発生したサイクロン・マーカス。
３月１６日には「カテゴリー　１」になり正式に「サイクロン・マーカス」と名前が付けられました。
暖かい海を進んでいくために徐々に大きくなり私の住むダーウィンを横切る前には「カテゴリー　２」になっていました。

写真の撮影時期とコメントには少しズレがあります。
またこの記録は１日だけではなく約２週間半の写真を使いました。
参考程度に見て頂ければ幸いです。

エリア ダーウィン(オーストラリア)

オーストラリアの気象台（Australian Bureau of Meteorology）は「注意報・警報」の両方を発表しました。
「来るよ」と言われていてもまさかあんなに凄い被害を受けるなんてほとんどの人達は思ってもいなかったです。
もちろん私も含めて。

そうこうしているうちに雨風が強くなり１７日（土）朝１０時半には停電。
アチコチで電線が切れたり大きな木々もボンボンと倒れ始めました。
ダーウィン空港ももちろん閉鎖。

そのうち携帯電話もつながらなくなりました。（午後３時半ごろ）
この時は停電が数日間も続くなんて夢にも思いませんでした。

２万６千世帯ほどの家庭が停電。
前回ダーウィンに街をほぼ全滅させた１９７４年クリスマスの日に襲ってきた「サイクロン・トレーシー」（カテゴリー４）。
その後日陰を作るために早く育つので植えられたアフリカン・マホガニーが電線を切ったり電柱を折ったりとしたため被害を大きくしたようです。

幸いロウソク・１０リットルの水・乾電池のラジオ・懐中電灯を常備しています。
ガスのBBQもあるのでごく簡単な夕食をとることができました。
「キャンドル・ディナー」ですがロマンチックなんてかけらもない。

地元のニュースをスクリーンショット

ほんの数時間後には青空もチラリと見えてきました。

これはお隣の家。

大きな木が柵を押しています。

「凄い音がしたでしょ？」と尋ねたところ
「眠っていたから知らなかった」

そんなに深く眠れるなんて羨ましい！

恐る恐る外に出て見ると

いつもは交通量の激しい道路も倒木を避けるようにしてノロノロ運転。

翌日の日曜日１８日。
朝から倒木を取り除く作業が始まりました。
お昼過ぎにようやく携帯電話が使えるように。
それでも電気量が十分でないため時々繋がりません。
「使える」と思ったら即座に「マーカス」の位置情報を検索。
また電力会社のツイッターで復旧工事がどこまではかどっているかを調べました。

２日目の夜も「キャンドル・ディナー」でした。
ここダーウィンは暑いので水シャワーでも我慢できますが、冷蔵庫がないと食べ物をキープできないので今日から発電機を使い始めました。
郊外に住んでいれば多少の音を立てても隣近所に迷惑がかからないけど、ここは街中。
そのために夜の１０時から朝の６時までは冷蔵庫・冷凍庫を開けないようにして発電機を止めました。
というのも私の家の周りでは、ほとんどの家で発電機を持っていないので音が響き渡るのでした。

街灯さえ点かないため「エッ。街中でもこんなにも星が綺麗に見えるんだ」と少し能天気で２日目の夜を過ごしました。

３日目の１９日（月曜日）。
今朝もチェーン・ソーの音が響き渡っています。
アチコチで部分的に電気が着くようになりましたが私の地域はまだ。
ツイッターで復興状況を見ても載っていないので電力会社のお客様相談室に電話。
Mr.ブルーパピーが「家のエリアの情報がないんだけどここってダーウィンだと思ってる」と冗談交じりにかけていた。
怒鳴られたりやじられたりばかりいた電話の相手が「こういうお客様ばかりだと良いんですけどね」と愚痴っていたらしい。

この日はサイクロンの後片付けが行われるので公立の学校・緊急を必要としない政府の期間はお休みでした。

３日目の夜も「キャンドル・ディナー」でした。

明けて４日目の２０日（火曜日）。
４日間働いて４日間休みの私も今日からまたお仕事。
（金曜日の朝に夜勤が明けてお休み中は停電でTVも見ることもネットをすることもできなかった）
４時に起きての水シャワーは流石ダーウィンにでもちょっとキツカッタ。

懐中電灯のもと出かける支度をしていたら目の端に赤くぴかぴかする光が！
ふと目をやるとアラーム時計がチカチカしてた。

廊下に目を向けると電灯が点いてる！
「やった～！電気が戻って来た！」
６８時間が経っていました。

道路わきの公園で大きな木が倒れていたので

同じようなことをした人がかなりいたようで

タイヤの跡が何本もついていました。

地元のニュースをスクリーンショット

こののちサイクロン・マーカスは西に進み２２日には西オーストラリア沖のインド洋で最大の「カテゴリー　５」にまで発達し、２７日にようやく低気圧になりました。

最大風速　　260km/h
最低気圧 912 hPa

仕事場に行っても話題は「サイクロン・マーカス」
「どれだけ被害があったのか？いつ電気が点くようになったか？」でした。

地域によってかなりの差があり全く停電にならなかった地域もありました。
というのも前の州政府の方針でここは「サイクロンの被害を受けやすいので電線を地下に埋めてしまう」と言う政策に基づき地上には電線はおろか電柱もないのです。
代が変わり今の州政府は「費用がかかりすぎる」と方針を変更。
そのため電線がアチコチで切れて垂れ下がる羽目になりました。

災害被害の規則で「７２時間を超えて停電の被害を受けた世帯は収入の如何にかかわらず一律A$２５０（約２万円ほど）の支給があると新聞に載りました。
私はダメだったけど（６８時間だったため）ボスのT氏は３日半停電だったのですぐに申請。
いつもご飯を食べに行く友達は金曜日の夕方に電気が点いたと教えてくれました。
でもあと１５時間点かなかったらA$400｛約３万５千円）加算されたのでした。
「お金はもちろん欲しいけど電気が点いたほうが良かった」と言ってました。

その後偶然にも出会った元の同僚は郊外に住んでいるのですが、彼の家は電柱が倒れ柵も壊され７日半も停電だったそうです。
「家屋保険には入っているけどどこまで保証されるかまだ分からない」と言ってました。
修理費用だけでA$2700（約２５万円）かかったそうです。

物凄い量になった倒木の片付け。
州政府が呼びかけをして陸軍も参加（３００人）。そのなかに知り合いの旦那さんがいた。
彼は２５年空軍で働いたのち現在は予備軍に。（戦闘活動はないが、緊急時に招集されることのある軍隊。）
またアメリカ海兵隊も手を貸していました（４５人）。

炎天下作業をし続ける人たちには頭の下がる思いもします。
しかもゴールドコーストで開催中のコモンウェルス・ゲーム（イギリス連邦の国々が集まるスポーツ祭典。今回は７２か国参加）の開会式にイギリスのチャールズ皇太子がやってきました。

イギリスに戻る前にここダーウィンにもやってくるというので、大きな木々がボンボンと倒れていたエスペラネードは視察前（１０日　火曜日　１０時）に綺麗にしないといけないと言われたらしく重機を使って準備
先週と比べると全く光景が変わっていました。
（先週は倒れた木々をスマホで撮っている人もかなりいました。私もその一人）

幸いなことにこれだけの被害があったにもかかわらず死者はゼロでした。

今現在でも１００％の電気の復興はされていないし、道路の脇・公園・空地には枯れた木々が残っています。

一昨日（８日）の日曜日の新聞に載っていた写真。
毎週日曜日の新聞に「結婚しました！」と言うカップルの幸せそうな写真が載るページがあります。
このカップル予定では８月に式をつもりだったそうです。
しかし同じころに赤ちゃんが生まれるとわかり式を早めました。
それがなんと３月１７日。
幸い２時間ほどで天気も持ち直し予定通り式を挙げたと記事にありました。
ダーウィン空港が閉鎖されていたため参加できなたっかお客様もいたそうです。
ちなみに生まれてくる赤ちゃんは男の子。
でも「マーカス」とは名づけないそうです。

旅行記ではありませんが「こんなこともありました」という覚書です。
お付き合い下さり有難うございました。

この旅行記へのコメント （1）

• salsaladyさん 2018/07/07 09:55:48

  オーストラリアでサイクロン！日本へは台風７－８号が～

  ☆毎年やってくる台風シーズン！とは言え，どんどん規模が大きくなって被害甚大です。北九州ｰ中国地方に住む人々の不安と苦痛は如何ばかりか？と気になります。
  
  ☆関東は何故か，一時的な晴れマーク？で落ち附いてますが。。。see you～