2014/03/05 - 2014/03/20
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Trudi さん
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地質学者や学生達とジープでカリガンダキを巡る。
2日目カトマンズに地質学者2名、学生21名、一般人チャコと私、25人全員集合。
3日目、午前中はネパール唯一の国立トリブバン大学でネパールの学生とともに、我らのボス、名誉教授Y氏「何故ヒマラヤは出来たか」とS大准教授S酒井氏の「カトマンズ地形」についての講義を受ける。すべて英語の始まりである。この大学の学長はネパール首相を兼ねており、建物は古く重厚で中は暗い。Y氏は日本とアメリカ両国の南極探検隊のメンバーとして活躍された方で76歳にして、体力剛健、知力、統率力そしてその行動力には彼の高校の山岳部の後輩、チャコに言わせると「化けものだね」。 同感。この旅では東京から参加したチャコには本当にお世話になった。72歳にして未だ5000メートル級の山に登っておられる。歩くのはY氏同様学生には負けないピッチ。私の荷物等ひょいと持ちあげる。午後はネパール学生と一緒に班を組んで町に繰り出す。私は4度目だが行きたいところ死者の街「パシュパテナーテ」に行けなかったのが残念。無論この足では皆について歩いて行くのは結構辛い。学生にとっては英語の勉強にもなり刺激をいっぱい受けたことであろう。
4日目 バスでポカラに向かう。途中何度もバスを降りて地学景観の観察。20数億年前に地球に現れ、地球で初めて炭酸ガスを吸い、酸素を出す「ストロマトライト」の化石に遭遇。 藍藻類で今唯一オーストラリアに現存していると言われている。ポカラからの山の景観に息を飲む。アンナプルナ、マチュピチュレ、ダウラギリ、ヒアルチュリ、8千メートル級の雪を頂いた神々しい山々が歓迎してくれている。学生たちが山に行っている間にアーユルベーダのオイルマッサージを受けた。初体験。良かった。疲労がとれた気がした。美容院にも行き、ヘアーカットをしてもらう。値段は「いくら出す?」と聞いてくる。眉そりもして400円で交渉成立。
5日目 6時半ポカラ出発、ジョムソンに向かう。これから毎日ペットボトル2リットル、トイレットペーパーの支給。ガザで入山許可の書類を提出。途中地滑りで2か所寸断され歩かなければならないと聞いていたが通行可能になったようでひと安心。ここで買った大きな枕をリュックの上に置き足をのせる。振動を緩和させるためだ。Y氏のアイデアである。それにしても落ちそうな路肩ぎりぎりで走る。揺れるのが半端ではない。ジープは巨大な川原を走り何本もある川をしぶきをあげて渡る。テレビで見るようなシーンだ。回りは巨大ながけと岩。縦に斜めに横にと流れる地層は圧巻。レイヤー(地層)の中に別のレイヤーが入り込む。大自然の営みに思いを馳せる。山を見ても岩を見ても人や動物などに見えるのが面白い。バッファローがいる。このドライバーの運転技術には感服。ガンガン音楽をかけて走りまくる。夜6時過ぎにジョムソン着。いつもの夕食「ダル」。カレー風味のスープやジャガイモで似たものをご飯にかける。お風呂どころではない。
今までまともにお湯が出たところなどほとんどない。寒い。寒い。すべて着こんでも寒い。Y氏によると氷点下になることもあるとのこと。カイロをしても3時位まで眠れず。何人か高山病の症状が出てきた。頭痛、息切れ、動悸、めまい、吐き気、ひどくなると幻覚症状を引き起こすことがあるという。
6日目 ジョムソンからムクチナートへ。一面雪。皆はカグベニ3,800メートルのヒンズーの寺院へ登る。私は歩けないので化石見物。パラボラアンテナでお湯を沸かしていたのを見てびっくり。麓のレストランのバルコニーで外国人達とお話。皆さん膝が悪いのに山越えしてすごい!大変。寺院で女学生が一人急性高山病になり手足がしびれて動けなくなり、男子学生に背負われて降りてくる。彼女は「おかあさーん、帰りたい。」と言った。やっぱり最後はお母さんかな。カグベニ泊。この日はダウンの寝袋にくるまって布団を被って寝た。昨日気がつけば良かった。でも夜中に3度吐いた。
7日目 カグベニからジョンソンへ。学生は歩く。私はジープでカロバニのホテルへ。木々もジープも荷物も何もかも砂で真っ白。風が、車が、砂塵を巻き上げる。微小な砂に石英が交じっているのでなかなかとれない。髪の毛を櫛で梳くとその歯がボキボキと折れた。砂が頭の皮膚に着くと痛い。ゆえに帽子、サングラス、マスクは必須。あの高大な川原をランドセルのようなものを背負った少年が一人歩いている。彼の家はどこにあるのだろう。これは絵になる風景だ。ここの景色に圧倒される。隆起によりヒマラヤは誕生した。山から山へまたがりレイヤーが続く。縦の上に横に流れているのもある。実に興味深い。途中トイレ休憩に停まった草原で、馬達が餌を食べている。突然その中の一頭が私の所に向かって来るではないか。私の前に来て私の顔をじっと見る。私も見返しながら顔を撫でてやる。野生の馬のようで毛が硬い。不思議な感覚だ。夕日に輝くアンナプルナ一連、ニルギル、泣きたいほど美しい。
8日目 カロバニからタトバニへ。学生たちは高ヒマラヤ片麻岩の観察。ガーネット(ザクロ石)、水晶、トルマリン等見られる。アンモナイトの化石を見つけた学生もいる。こんな高いところから海のものが出るなんて、ヒマラヤは気が遠くなるような時間を超えて出来たんだね。学生たちはカイアナイト(藍晶石)も見つけた。万華鏡のようにきらきら輝く。時空を超えていろんなものが現れる。自然のすごさ、素晴らしさを感じる。この日は唯一の温泉に入る。いろんな国の人がお酒を飲みながら楽しんでいる。Y氏もスエーデン人から貰ったビールを片手に上機嫌。皆いい顔をしている。チャコも学生も、そしてわたしも。カグベニ泊
9日目 ジョムソンへジープで向かう。なんとフロントガラスが割れてテープでとめてあり、右側サイドのガラスがなく布をつけてある。砂塵舞い上がる道を巡礼が歩いている。施しをしなかったことに後悔する。ベニを過ぎ一気にポカラへ。
10日目 ポカラ周辺のレイヤーと自然災害観察。半年ぐらい前の災害で鍾乳洞が潰れた所を見た。Y氏は時々口の中に指を入れ「「ヒュルヒュル」と音をたて指笛のように学生を呼ぶ。離れている時はなかなか良い。この日はポカラの博物館にも行った。雪男の足跡の写真もあり、クライマー等の紹介コーナーで登山家野口氏の写真も見た。この博物館は最近できたらしい。ネパールに入って初めてエアコンを経験した。
11日目 ポカラからルンビニへバスで向かう。学生たちは何度もバスを降りてお勉強。勿論すべて英語で行われる。私は木陰に座り込み、山の空気を味わいながら彼らのすることを見る。私も足が良かったら下まで降りれるのにと。なんと12時間かかってルンビニ着。暑さに皆ぐったり。でも食事の後はいつも勉強会。みんなえらい!S先生はネパール語、英語がペラペラでいつも女子学生を「デレデレ ダンニョバード(とってもとってもありがとう)」といって笑わせていた。ルンビニの太陽はいつも真っ赤。前に来た時もそうであった。その時の旅行社から私の撮った写真をパンフレットに使いたいと の申し出があったほど。
12日目 学生たちは早朝5時半に釈迦生誕地へ。私はすでに見て感動したところなので足の事もあり、太陽を見ながらで待機。朝食後いくつもの山を越えてカトマンズへ。深い谷の景観が素晴らしかった。
13日目 トリブバン大学で、大学教員、学生と合同で野外実習の総括討論会。全員英語で、私も感想と腹話術、マジックを披露。午後からは双方の学生たちはカトマンズ市、および郊外の世界遺産の見学に出かけた。この旅で学生達(東大、静岡大、筑波大、山口大、島根大)21名、大きな変化があり、英語力はY氏がびっくりするぐらい上達した。彼らにとっては素晴らしい経験の旅だったと思追う。女子学生も結構いて、東大修士の彼女は頼もしい限りであった。熱心に取り組む姿勢にチャコと感心。 最後に学生の一人が買った紅茶のような葉を食べて動けなくなり入院、どうやら農薬の成分ようなものであったらしいが二日で無事退院、ことなく済んだ。Y氏が私を「せいこちゃん」と呼んでいたので学生達からも「せいこさん」と呼ばれていた。全国に娘・息子が沢山出来たのは嬉しい。学生たちはチャコと私が旧知の友人だと思っていたぐらい彼女とは仲良しになった。
カトマンズを離れる最後の日は、東京組、九州組は先に帰ったので残った男子学生二人と私で、カトマンズのタメルの街に繰り出し最後の食事「かつ丼」を注文。口に入れると懐かしく「うまーい!」、「うんめ~!」、「おいしーい!」と三人大感激でこの旅を終えた。
素晴らしい出会いと感動の旅にしてもしきれないほどの感謝を・・・ ヒマラヤの高さぐらいのありがとう。
ドクターストップの状態で旅に出たことを後悔していない。”Do it now or never!“ 「好きなところに行って、
好きなことをして死ねたら本望だね。」 ドクターの言葉が身に染みる。
S. このルートは2017年1月2日NHKBS「Great Nature」で放映された。
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