2017/06/04 - 2017/06/04
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地酒大好きさん
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今日は梅雨前の絶好な晴天で、滋賀県米原市にある霊仙山(りょうぜんさん)登山には最適な日でした。
昆虫採集が趣味のH先生と友人女性のMさんとわたしの三名で、滋賀県の醒ヶ井(さめがい)駅から4kmにある榑ヶ畑(くれがはた)登山口に向かいました。登山口近くの駐車スペースは午前9時前ですでに満車で、手前200mぐらいにある空き地に駐車しました。空はまったくの快晴で、オオルリなどの多くの鳥たちがさえずっています。
H先生もMさんも霊仙山は初めてで、期待で胸が膨らみます。H先生は昆虫、Mさんは鳥が目当てです。わたしは植物(おんちですが)、鳥、昆虫と欲張って期待して行きました。
榑ヶ畑とは今では廃村になった、かつての集落の名前です。文献には「榑ヶ畑コースの登山口付近には、第二次世界大戦時には約50戸、160人の榑ヶ畑集落があったが、1957年(昭和32年)に廃村となった」とあり、無人の廃村になってから60年たっています。今は民家があったと思われる石垣の敷地がいくつか残っており、朽ち果てた民家ががれきとなって残っているだけです。耕地もほとんどない集落の生活は苦しかったであろうと容易に推測できます。
ここから急な坂を上がり、汗ふき峠に着きます。ここには涼しいというより冷たい風が吹き抜けており、汗も乾きます。この乾いた冷涼な気候では、ヤマビルも活動できません。安心して頂上への道をたどります。すると突然、「ジューイチ、 ジューイチ、ジューイチ」の甲高い声が。ジュウイチです。Mさんは初めて聞く声だとかで大喜びです。H先生はといえば、珍しいツチハンミョウをいくつか見つけられて大喜びです。ツツドリやカッコウの声も遠くから聞こえてきます。ミソサザイの長いさえずり声も大きく聞こえてきます。ヒガラの甲高く速い「ツツピン ツツピン」も声もよく通ります。
新緑の森林地帯を抜けると、かつてはササに覆われていた広い頂上部はシカの食害により裸地状態で、シカの糞がたくさん落ちています。それを食料にするセンチコガネやオオセンチコガネがたくさんいます。新しいシカの糞の塊をひっくり返すと、糞の下では3匹のオオセンチコガネが食事中でした。まるで、ごちそうに囲まれた虫たちの女子会だねと言い合いました。同じオオセンチコガネでも色に個体差があり、H先生は自慢して今日のコレクションを他の登山者に見せびらかしておられました。エビネもたくさん自生しており、H先生の話では、こんなにエビネがあるところは見たことがないとのことでした。
シカに食べられて多くの植物は壊滅状態ですが、毒があるアセビやハシリドコロは食害から免れているのは分かりますが、エビネ、マツカゼソウ、フタリシズカ、シダの仲間などは食べられずに残っています。理由が分かりません。樹木ではタニウツギ、サワフタギ、ヤマボウシなどが満開でした。
ところでフタリシズカの中に、花穂が3本あるものを発見。2本だけだと思っており、3本のものは「サンニンシズカ」だろうか、または三人だから静かではなく「サンニンカシマシ」かなと笑いあったものです。帰宅して調べてみると、花穂が2本~5本があってもフタリシズカだと図鑑にはありました。
空は晴れて日光が降り注ぐのですが、冷たい風が吹くので暑くはありません。広い頂上部はなだらかで、一日中歩き回ればもっと多くの昆虫たちに会えるに違いありません。ここではホオジロとカッコウの声がしきりです。風が当たらない場所をさがしてランチです。ヤマシャクヤクが咲く5月中旬は多くの登山者でにぎわっていた山ですが、今日はまばらです。ヤマビルを警戒してのことと思いますが、こんな乾いた冷涼な気候ではまったく心配はありません。
ここからは青い琵琶湖が望まれますが、何気なく琵琶湖を見ると飛行機雲を残したジェット機が湖面に墜落していくような光景に目を奪われました。思わず飛行機事故だと叫んでいました。でもすぐ反転して急上昇していくのが見えました。よく見ると6機編成の自衛隊のブルーインパルスでした。今日は彦根城築城410年目を記念したブルーインパスのアクロバット飛行が琵琶湖上空で繰り広げられているところでした。この情報は元航空自衛隊のパイロットだった知人から聞いていたのを思い出しました。3人でしばし見とれていました。こんな特等席で見られるのは幸運でした。
下山も昆虫をさがしながら歩きます。今日の収穫にH先生は大満足との感想でした。Mさんからは昔山岳会に入っていたという話を聞きました。これなら今後の山行(さんこう)にも参加していただけると思います。三人とも大満足の登山でした。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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霊仙山登山口の看板です。クマの情報があったらしく、このような看板があちこちに立っています。
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1957年に廃村になった榑ヶ畑(くれがはた)集落の石垣がある宅地跡です。平坦な場所が少ないため、このように石垣で宅地を造成していました。今では宅地跡には木が育っています。
耕地がほとんどないため、当時の生活は苦しかったと想像します。 -
日陰の斜面に咲くサワギクです。
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ミスミソウの株もありました。3月から4月に白、淡い紫、淡い青紫、淡い紅色などの花が咲きます。
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タニウツギのピンクの花もきれいです。
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これはタツナミソウです。
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フタリシズカです。花穂が2本見えます。ヒトリシズカは花期がほとんど終わったようです。
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これは花穂が3本あるのでサンニンシズカだろうか、はたまた三人だから姦しい(かしましい)のでサンニンカシマシだろうかと冗談を言い合いました。
後で調べてみると花穂が2~5本でもフタリシズカということです。 -
シカの食害でほとんどの草は食べられていましたが、このマツカゼソウはたくさん残っていました。ミカン科の草で、臭気があるためシカに嫌われているのかと思います。
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ランの仲間のエビネもまだ咲いていました。以前のブームで野生のものは盗掘によりほとんど見られなくなりましたが、安く人工栽培できるようになってからはブームが終わり、このように野生のものが多く見られるようになりました。これは咲き始めのもののようです。
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エビネの群落がたくさんありました。これは花期が進んでいるものと思われます。
この植物もシカには食べられていないので、多く残っていました。毒でもあるのでしょうか。調べても分かりません。 -
白い花がもじゃもじゃと咲いているサワフタギの木です。
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サワフタギの花です。きれいですね。
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樹林帯を抜けるとこのようななだらかな丘陵のような景色に一変します。以前はササに覆われていたのですが、シカの食害でササは壊滅状態です。ササで繁殖していたウグイスは今はまったくいません。
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地面に目をやると、このようにシカの糞だらけです。新鮮な糞の下には、糞を食料にするセンチコガネの仲間が集まって食事会を開いていました。ごちそうだらけで肥満になるのではないかと心配します。
H先生はうれしくて糞を片っ端からひっくり返してオオセンチコガネなどを探すのに夢中でした。センチとはトイレの古語「雪隠(せっちん)」が語源です。光沢が美しいコガネムシです。
この昆虫を見つけた人は、美しさに感嘆しますが、まさかウンチを食料にしているとは思わないでしょう。ウンチだけであんなにきれいになれるなら、バイオテクノロジーで人間も食べられるようにすれば女性に売れるでしょう(??) -
眼下に琵琶湖が見えてきました。湖の手前が彦根市です。
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広い頂上部はササがなくなり、ほとんどが裸地(らち)の状態です。この風景の中にどれだけの糞があるのでしょうか。ぼう大な量だと思います。しかし、このように食べ尽くしたら、シカは食べるものが無くなり別の場所に移動するのでしょうね。
カッコウがずっと鳴いていましたし、ホオジロが盛んにさえずっていました。カッコウの声は「カッコウ」ですが、ホオジロのさえずりは「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」と聞こえます。実際にはその言葉をとても早口で言ったように聞こえます。 -
何気なく琵琶湖を見ると、白い線を引きながら飛行機が琵琶湖に突っ込んでいきました。飛行機事故だと思いましたが、その後すぐ急上昇したいったためブルーインパルスの曲芸飛行だと分かりました。
今日は彦根城築城410周年記念の飛行があったことを思い出しました。市民の反対もあり、事故が起きるといけないので、市の上空ではなく、湖上での演技でした。
その後このように五輪のマークを描いて飛んでいました。 -
これもブルーインパルスの曲芸飛行のひとつです。
特等席から観察できました。 -
頂上部にあった木です。花を付けていますが木の名前が分かりません。この辺りは豪雪地帯ですから、しなやかな木だと思います。
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その木の花です。何という名前の木でしょうか。
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H先生の今日の収穫です。下段の左から5列の大きなコガネムシがオオセンチコガネです。6列目が希少なツチハンミョウです。1カ所でこれだけの数の昆虫を短時間で採集できたのは先生も珍しいとのことです。
先生は採集した昆虫をこのように標本に整理するのが楽しみのようです。このような趣味の人を、一般に「虫屋さん」と呼んでいます。
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