2017/04/09 - 2017/04/09
35位(同エリア72件中)
naoさん
この日は1回分残っていた春の青春18きっぷを使って、日帰りで岡山を訪れました。
岡山県玉野市八浜(はちはま)は、岡山市南部の児島湾淡水湖(児島湖)の対岸にある小さな集落ですが、現在では想像できませんが、太古の時代には「吉備児島」と言う島にあった集落で、本州との間に「吉備の穴海」が海峡として東西に通じていたことから、瀬戸内海航路の重要な港町として栄えていました。
古代からタタラ製鉄で砂鉄を採取していた吉備の国では、山を崩して土砂を川に流したことにより、東から吉井川、旭川、高梁川の三川を通じて「吉備の穴海」の河口部まで運ばれ、徐々に堆積していったことと、江戸時代以降に干拓が行われたことにより、本州と吉備児島が地続きとなり、児島半島が形づくられました。
これにより瀬戸内海航路の港町としての役割を失った八浜ですが、干拓によって海峡が失われたあとに運河の役割を果たす倉敷川が生まれたことで、上流の一大商業地倉敷との間を舟運により物資が行き交う外港として発展します。
また、岡山藩から在郷町に指定され、近隣の村々との交易により市場町の性格を強くしていった八浜は、酒造業や醤油醸造業をはじめ、廻船問屋や船持商人を輩出することとなり、次第に富が蓄積されていきます。
江戸時代も後期になると、干拓によって新たに生まれた土地で栽培される綿花を原料とした織物業が起こり、繊維関連製品の積出港としてさらなる繁栄を遂げ、児島半島東部における文化、商業、工業の中心地として発展しました。
しかし、明治時代以降の船舶の大型化と世界的な船舶不足による造船ラッシュを受け、児島半島南部の寒村だった宇野地区に大規模な造船・港湾施設が建設され、さらに国鉄宇野線が開通すると、近代化から取り残された八浜は衰退の一途をたどります。
近代化から取り残されたことが幸いして、結果的に八浜には古い町並みが残されることとなり、細い通りに沿って、入母屋造り白漆喰壁の厨子二階建てに格子窓やナマコ壁をしつらえた、重厚な商家の建物が点在し、かつてこの町が商工業の町であったことを物語っています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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JR宇野みなと線備前田井駅にやって来ました。
この日の目的地の玉野市八浜(はちはま)へは、ここからバスに乗って向かいます。 -
玉野市の汚水枡の蓋。
中央に市の花「ツツジ」を配し、周囲には市の木「ウバメガシ」が描かれています。 -
備前田井駅の最寄りのこのバス停から・・・
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このバスに乗って・・・
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玉野市八浜に到着しました。
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焼杉の外壁が、黒い精悍な表情を醸し出しています。
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町並みの南の入り口です。
今を盛りと、満開の桜が咲いています。 -
八浜の町並みです。
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立派な門構えの町家です。
瓦葺の袖壁が卯建のようです。 -
弧を描いて延びる町並み。
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こちらの町家は、1階下屋の屋根瓦と接する2階の腰壁にナマコ壁が使われています。
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こちらの町家も同様ですね。
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土蔵造りの部分にも扉が入れられています。
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こちらは慶応元年(1865年)創業の藤原酒造さんです。
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こちらは、藤原酒造さんのお向かいにある山田醤油店さんです。
山田醤油店さんは文久3年(1863年)創業の醤油醸造元でしたが、残念ながら平成20年に廃業されてしまいました。 -
カーブミラーに写っているのは藤原酒造さんです。
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先端が見えている煙突は藤原酒造さんの煙突です。
藤原酒造さんの工場も、一部屋根が落ちたりしているので、ちょっと気になります。 -
では、ここで折り返します。
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藤原酒造さんの角を曲がって先へ進みます。
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空き家になっているようですっかり荒れ果てていますが、細部を見れば伝統的な様式で建てられていることが判ります。
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藤原酒造さん。
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こちらは、八浜町並み保存拠点施設です。
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この施設は、玉野市が八浜地区の代表的な伝統的建物を活用して整備されたものです。
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八浜の町並み保存に努力されている玉野市では、地元の皆さんと協議を重ねながら修景事業なども行われているようです。
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八浜町並み保存拠点施設の前の土蔵造りの町家。
この横に面白そうな脇道があるので、歩いてみます。 -
町家に植えられた黄色いチューリップの中で、虫さんが忙しそうに動き回っています。
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土塀と竹垣を巡らせた立派なお屋敷です。
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脇道から見た八浜町並み保存拠点施設です。
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八浜の町並みを振り返ったところです。
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こちらは、10月に行われる八浜八幡宮の秋祭りで曳き廻される「だんじり」の収納庫です。
平成26年に、江戸時代末期に作られた「だんじり」1台が、約120年ぶりに新調されたそうです。 -
ここにも2階の腰壁にナマコ壁が使われている町家がありました。
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お向かいの町家にも使われているので、ナマコ壁が向かい合っています。
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お向かいの町家は、ナマコ壁に虫籠窓が開けられています。
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八浜の町並みです。
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2階外壁の角にもナマコ壁を使った重厚な町家です。
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このような魅力的な路地があると・・・
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ついつい惹きつけられてしまいます。
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瓜型の虫籠窓を開けた、黒漆喰壁の町家。
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土塀の上からヤツデの花が顔を出しているので、庭があるようです。
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ナマコ壁の目地に、手の込んだ職人技が見てとれます。
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町並みの外れに、注連縄をはった社がありました。
なお、町並みを抜けると児島湾淡水湖に出ます。 -
焼杉板で覆われた町家の玄関脇に、ばったり床几が見えています。
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八重桜が町並みに彩りを添えています。
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この町家の妻壁のマークは、いったい何を意味しているんでしょうか・・・。
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八浜八幡宮の参道です。
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境内へはこの階段を上って行きます。
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かわいい猫ちゃんが恐れる様子もなく近寄って来ます。
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こちらの町家は、瓦葺の1階下屋の荷重を持ち送りで支えています。
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板塀を巡らせた大きなお屋敷です。
伝統様式の主屋には、どこか重みを感じさせるものがあります。 -
八浜町並み保存拠点施設の屋敷の裏手には、何棟ものナマコ壁の土蔵が集まっています。
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脇道から見たナマコ壁の土蔵。
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脇道沿いの町並みです。
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お屋敷から顔を覗かせる桜。
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道なりに板塀を巡らせた八浜町並み保存拠点施設のお屋敷。
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昔ながらのナマコ壁の土蔵と、新しく建てられた町家が、お互いに反発し合うのではなく・・・
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それぞれの長所を活かしながら見事に共存しています。
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午前中はどんより曇っていましたが、薄らと青空も広がり、ずいぶん空模様が回復してきました。
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細い脇道の先に身を潜めるように、雰囲気のある町並みが続いています。
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細い脇道から、ほっとするような町家が現れました。
せっかくの良い風情なのに、この電柱邪魔! -
「ドキッ!」とするような、真っ赤な木瓜の花です。
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公園の桜も満開です。
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明治時代の近代化から取り残されたことが、結果的に幸いした八浜には、伝統様式の重厚な商家の建物が点在し、かつてこの町が商工業の町であったことを物語る、良い町並みが残っていました。
では、この辺りで備前田井駅へ戻ります。 -
バス停から見た町並みの様子。
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さて、バスが来ました。
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備前田井駅へ戻って来ました。
思っていたより早く八浜の町歩きが終わったので、これからどうしようかなと考えていると、瀬戸大橋を電車で渡ったことが無いのを思い出したので、瀬戸大橋を渡って高松へ行くことにしました。
これも青春18きっぷだからこそできるワザですね。
と言うことで、お土産は讃岐うどんに決まり! -
そうと決まれば善は急げで、さっそくプラットホームへ・・・。
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宇野港行きのプラットホームには、平成28年春からJR宇野みなと線で運行されている観光列車「La Malle SETOUCHI(ラ・マル せとうち)」のPR幕が掲げられています。
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そうこうしていると、JR瀬戸大橋線への乗換え駅である茶屋町駅行きの電車がやって来ました。
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茶屋町駅から普通車に乗って児島駅へ。
児島駅で高松駅行きの快速マリンライナーに乗り換えます。
乗換えに少し時間があったので、児島駅を探検しました。 -
児島と言えば「ジーンズ」が代名詞になるほど、よく知られたジーンズの町で、駅前の通路にはジーンズが吊られ、訪れた客を迎えてくれます。
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児島は1960年代に国内で初めてジーンズを生産したところで、「児島ジーンズストリート」と名付けられた通りには、多くのジーンズショップが店を開いています。
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ということで、快速マリンライナーから瀬戸内海の島影を満喫しながら、瀬戸大橋を渡ります。
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見えているのは、伝統的な町家が連なる美しい町並みで知られる笠島地区のある塩飽本島です。
そういえば、塩飽本島には2013年に訪れているのですが、そこから瀬戸大橋がよく見えていたことを思い出しました。 -
高松駅についた快速マリンライナー。
すでに行先表示を岡山駅に変えて、スタンバイしています。 -
満面の笑みを浮かべる高松駅。
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駅前に停まっている楽しそうな乗り物は、平成28年10月から高松市の中心部で本格的に運行が始まった「ベロタクシー」です。
ベースになっている車両は電動アシスト付きの三輪自転車で、運賃は1km500円と、タクシーの初乗り運賃より安く設定されているので、観光客や子供連れの地元の皆さんの注目度が高まっているそうです。
なお、「ベロタクシー」は1997年にドイツのベルリンで開発されたもので、すでに日本国内でも27都市で運行されているとのことです。
さて、八浜の良い町並みを歩いたし、初めて電車で瀬戸大橋を渡ったし、楽しい乗り物も発見したし、お土産に讃岐うどんまで買えたしと、今回も楽しい旅になりました。
では、ゆっくり大阪へ帰ります。
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