2017/03/18 - 2017/03/18
44位(同エリア72件中)
船尾唯智さん
宇野と高松を結ぶフェリーは、国鉄の連絡船があり、各社が競って深夜もピストン運航するほど四国の表玄関の大動脈であった。
それが瀬戸大橋ができて四半世紀を超えた現在、国鉄連絡船はおろか、宇高国道フェリーなどの運航会社は消え、四国急行フェリーのみが運航している。
しかしその四国急行フェリーですらも地元の玉野市などの支援を受けて何とか運航している状態で、4月には船を減らして大幅減便に踏み切る。
その前に一度は乗ってみようと、四国フェリーの旅人になってみた。
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下津井界隈を散策した私は、下電バス「とこはい号」でJR児島駅に到着した。
そこからバスを乗り継ぎ、王子ヶ岳経由で宇野に向かおうとしたが、調べるとバスの時刻が悪いために、やむなくJRで茶屋町乗継で宇野を目指す事にした。
児島から高松へは快速「マリンライナー」に乗れば30分で着いてしまう。それを逆方向の岡山行快速「マリンライナー」に乗って高松を目指す訳だから、なんとも天邪鬼な旅である。そこのところは20年以上変わってない、というより我ながら進歩がない(笑)
茶屋町からはJR宇野線。車両は画像の通り、昔の快速「マリンライナー」で使われていた213系。昔ながらの転換クロスシートがそのまま残っていて快適だ。個人的に好きな電車である。 -
この電車、たいそう賑やかな中国人団体客が乗り込んでいる。はて何処に行くのだろうか?気になる。
終点宇野駅に到着。かつては宇高連絡船へ直結するように海にレールが伸びていたが、今は撤去されてそこに駅舎が立っている。
なお玉野市は、市を二分する市街地「玉」と「宇野」の合造名である。宇野の市街地は当然宇野駅周辺だが、玉市街地はこれよりやや西に位置する。前述の王子ヶ岳乗継のバスに乗り込もうとしたのは、この玉市街地の様子を見てみたいという願望からである。 -
宇野の駅前から西に歩いて5分でフェリー乗り場に到着する。
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昔、栄えていた航路だけあって、ターミナルは立派である。
左隣の建物は直島行のターミナル。直島はアートの島と呼ばれ、ヨーロッパなど海外では人気の島。外国人が「死ぬまでに一度行ってみたい場所」の一つに挙げていると言われるから驚きだ。
多分中国人団体客もこちら直島行フェリーに乗るのだろう。
大減便を強いられるほど日々衰退する宇高航路、一方で世界的に脚光を浴びる直島、こういう状況を聞く限り、高松行フェリーと直島行フェリーの利用状況は逆転してるのではないか? -
フェリーターミナル内の自販機で乗船券を購入。大人1人片道690円。乗船時、フェリーターミナルの人が下部分の改札券をもぎって乗船する仕組みだ。
残る上半分は領収書として手元に残る。なるほど合理的な乗船券だ。 -
フェリーが桟橋につけられ、大きな口を開けている。ここからクルマも人も乗り込む。人は左側の赤く塗られた「歩道」部分を歩く。
後で調べたら、このフェリーは第八十七玉高丸で、3月いっぱいで引退してしまった。その後、フィリピンに転売されている。
この日は三連休の中日。乗り込む人も多かったが、乗船を待機するクルマもそこそこいた。ただ、昔だったらもっと凄かったんだろうが。 -
客室に乗り込むとご覧の通り。手前の丸型テーブルと、それを囲んだ座席がなんとなく時代を感じさせる。
その後ろには売店があり、香川県のフェリーらしく、お約束のうどんも作って出してくれる。
フェリーと言えばうどん、というのは、我が故郷の鹿児島県薩摩半島&大隅半島でも同じだ。鹿児島湾を行く桜島フェリーや垂水フェリーが、うどんを名物にしてる。ただ鹿児島のうどんは柔らかく、讃岐とは違う。 -
外に出ると、デッキは広々として、かつ屋根がついている。というか屋根というより、上は操舵室など船員の作業場だろう。
客が多かった当時、できるだけ客を詰め込むために客室スペースを減らして、この広いデッキのスペースを作ったのか?謎である。 -
僅か1時間ちょっとの船旅ではあるが、こういう浴室までついている。中を覗いてみたらやや狭かったが。トラックなどのドライバー御用達のものである。
昔は多くのドライバーが利用していた模様だが、3月現在も浴室を愛用されるドライバーはいらっしゃった。 -
客室内には「カモメ文庫」なるコーナーがあり、そこには漫画などの本が置かれていた。自由に読書ができる。
1時間ちょっとの船旅にしては、浴室といい、サービスが充実している。 -
やがて宇野港を出港する。このフェリーが並ぶ画像から分かる通り、瀬戸大橋がある今でも、宇野は直島や豊島への玄関口となる港町である。
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直島に行くフェリーの画像の拡大。こちらに賑やかな中国人団体客の姿がこのフェリーで見えないところを見ると、やはりあのフェリーに乗った模様だ。
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出港したらすぐ直島が見える。宇野からこんなに近いところにあるのか、と初めて知る。
宇野~直島間フェリーは僅か20分で大人片道290円。こんな近くだから、宇野と直島の経済的結び付きも強いようで、深夜0時まで運航してるのは少々驚き。これなら、岡山市内で夜遅くまで飲んでも、直島の人は帰ってこれる。ちなみにその深夜便は運賃が倍増する。
また直島には高松とのフェリーもあるので、宇野~直島~高松とフェリーを乗り継げることもできる。 -
右舷後ろを振り向くと、波打ち際にクレーンの林立が見える。三井造船玉野事業所のようだ。
この広い敷地の背後あたりに、前述の玉市街地がある。玉市街地の訪問はまたの機会に取っておこう。 -
後ろを見たら、青いキャンパスに白い航跡が描かれる。
今日は本当にいい天気に恵まれた。惜しむらくは、下津井でタコ飯とうどんを食べ、腹がまだいっぱいだったために、このフェリーのうどんを試食出来なかったことである。
もし試食していたら、明らかに腹をこわしていただろう(笑)せっかく素晴らしい日のフェリー旅の途中で、便所で格闘してもいい思い出は出来ない(笑) -
瀬戸の穏やかな島影と青い海に、キラキラと光が輝く。
はっきり言って瀬戸大橋ができて便利になったが、こういう風情溢れる光景を瀬戸大橋で楽しもうと思っても、あっという間の通過だし、ましてや鉄道の場合だとおびただしい数の無骨な鉄筋で邪魔される。
時間や手前をかけても、それでしか堪能できない旅や光景もある。特に他交通機関に比べ、速度が遅いが眺望は抜群のフェリーはそうだ。またフェリーは移動する「ハコ」自体が大きいから、その中に売店とか、そこで食べられるうどんとか、浴室とかの楽しみも多い。 -
そんな1時間ちょっとの船旅もゆったりかと思えば、やはりあっという間である。
小豆島へ行くオリーブラインのフェリーが見えてきた。もう高松港だ。 -
しかし高松港は面白い。
画像を見てお分りの通り、オリーブラインのフェリーをはじめ、このフェリーといい、4隻もの船がほぼ同時刻に入出港している。この狭い港のエリアがスクランブル状態だ。
鹿児島市内の港も、離島や大隅半島への船がたくさん出ているが、発着場が分散されているので、さすがにこのような光景を見ることはない。だから、興奮する(笑)
しかし四国急行フェリーが大減便となった今、このような光景が今もなお高松港で見られるかは、残念ながら不明である。 -
やがて高松港着岸の時を迎える。
折り返しのフェリーを待つクルマの数は、宇野港を見た数よりもこちらの方が圧倒的に多かった。折り返しのフェリーはさぞかし賑わうだろう。 -
昔、高松出身の友人がこのような話を聞かせてくれた。
高松から宇野行きのフェリーに深夜乗ったらウトウトしてしまい、気が付いたらそのフェリーが高松に戻っていた最中だったと。
どこのフェリー会社の航路かは聞かなかったが、つまり、昔は折り返しの停泊中、船員さんが船内に残る客の確認すらしていなかった、ということになる。
今も所要時間が極端に短い航路はそうかもしれない。そういうのんびりとした話はフェリーによく似合うという印象から、今も鮮明に覚えている。高松港に着いた時、その話をふと思い出してしまった。
またこの高松港から、違う航路の船旅が出来ることを夢見ている。
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