2017/05/02 - 2017/05/07
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gyachung kangさん
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世界の至宝アンコールワットを擁するカンボジア。アンコールワットの存在があまりにも巨大過ぎて他のスポットが話題に上がることは滅多にない。
でも、この国にはもう一つクメールの至宝がある。シェムリアップからはるか北、タイとの国境、断崖の上にアンコールより200年も以前に築かれた古代遺跡プリアヴィヘアだ。
2017年ゴールデンウィーク。
ビルの谷間とPCにしばし別れを告げて実に14年ぶりのカンボジア再訪。
シェムリアップから北へ250キロ、
カンボジアとタイのボーダーを目指す5泊6日の春休暇の巻。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 船 タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- キャセイパシフィック航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
5月1日23時過ぎ。
いつものように自宅から徒歩と京急で羽田に向かう。
連休真っ只中ながらこの時間さほど混雑はなくチェックイン。時間に余裕があったので200ドル分両替しセキュリティと出国審査。キャセイドラゴンの機体はオンタイムで離陸した。
いつも思うが東京の夜景は上空からが
最も映える。世界屈指。 -
現地時間朝5時過ぎ、香港に到着。
やや長めの乗り継ぎ待ち時間のあとシェムリアップ行きの便に乗る。
今やアジア指折りの観光都市に変貌を遂げたであろうシェムリアップ、搭乗率も満席に近い。 -
モーニング!カンボジア
眼下にカンボジアの大地が見えてきた。実に14年ぶりとなる今回は入国時に申請するアライバルビザを取得することにした。US30ドル。
ビザ発給の手続きはあっと言う間。瞬く間にシールの貼られたパスポートが戻ってきた。 -
まず空港からタクシーでシェムリアップ市内中心部へ。次にウェブサイト情報で調べておいたプリアヴィヘア方面行き乗り合いミニバスが発車するらしい国道6号線のスポットを目指してトゥクトゥクを走らせる。
さあ、果たして情報は本当なのか? -
が、しかし。
プリアヴィヘアは甘くなかった。
国道6号線沿いのミニバス乗り合いスポットを発見。目的地はプリアヴィヘアへの玄関口となる村スラァエム。呼び込みの男性を捕まえスラァエムまで行くバスは無いかと尋ねてみたが、無い、との答え。何人かに尋ねても回答は同じ。乗り合いスポットが変わったのかな?
当てが外れた落胆と蒸し暑さでたまらず茶屋に緊急避難。
プリアヴィヘア、どうしてくれよう?
作戦の練り直しである。 -
ま、乗り合いバスに拘ることはない。
いったん市内に戻りホテル選びを済ませてから次の手を打つ。
ホテル近くのツアー会社に赴き、プリアヴィヘアツアーの催行有無を確認する。ツアーは有った。
が、明日は人数が集まらず催行しないとの回答。ねえねえ、なんとかなりませんか~の私の粘りに女性スタッフは料金アドオンでプライベートツアーの案を提示してきた。こういう仕事ができるスタッフに出会うと私は迷わない。
即断即決ディール成立!
明日のプリアヴィヘア行きが確定した。 -
翌朝。
約束の時間より大幅に遅れて私のホテルにドライバーが迎えにきた。私の指定した時間が早すぎたんだろうね、ゆるしてあげるよ笑
今やカンボジアでもごく普通に走っている日本が世界に誇る高級車が本日のチャーターカー。何しろプリアヴィヘアへは往復500キロ以上の旅。道路事情も分からない中、こりゃあ実に頼もしゅい! -
車はひたすら北上しカンボジアとタイの国境を目指してひた走る。
途中にごく普通の民家に止まりトイレ休憩。ドライバーの知り合いのようだ。 -
庭先で赤ちゃんが気持ちよく睡眠中。
いつもそうだがハンモックを見ると東南アジアにいることを実感する。ハンモック文化は日本の気候や住宅事情では望めないから羨ましい感じがする。何かきっかけがあれば火がつくかもしれない。 -
北上すること3時間。
道脇の家並みは殆んど消え、フロントガラスの向こうになにやら雰囲気のある二つの山が見えてきた。
ひょっとして?
ドライバーがボソッと呟いた。
「あの右側がプリアヴィヘア」
よっしゃあ、遂に視界に捕らえたぞ、プリアヴィヘア! -
山の麓に管理事務所があった。
車はここまで。
ドライバーは車を停め私にチケット購入を促したあと山のてっぺんにあるプリアヴィヘア寺院まで私を送迎するモトバイを紹介。ここから先はバイクのライダーに全てを任せることに。 -
山頂に向かって左側の山腹から登っていく。山道は超険しく途中からはドライバーのお腹に両腕を巻きつけてないと振り落とされそうなくらいの急登。
ここを走ること25分、バイクは停止。
プリアヴィヘア寺院への入口にとうとう辿りつく。遠かった。実に遠かった。 -
チケットチェックの小屋。
私が寄りかかったらパタンとたおれた。そりゃドリフのコントです。 -
山頂に続く道が出現。
剥き出しの岩盤にプリアヴィヘア遺跡の年代感がにじみ出る。
私、いきなりこの道に惚れましたよ。 -
次にカンボジア国旗と並んでユネスコのブルーフラッグが現れた。
私が14年前に訪れたその頃、この周辺はタイとの領有権争いが真っ只中であり交戦することもある緊張状態であった。今、タイとの関係は改善されている。だからユネスコの太鼓判。 -
おおおーっ
視界が開けて旗の向こうにすさまじく荒れた石積みが見える。
ここより先が待望のプリアヴィヘア! -
最初の塔門。
山頂には草木のみ。他に何もない。
想像を超えた崩壊感にのっけから絶句した。 -
目の前に参道が現れた。
参道の左右両脇にわずかに残るリンガ。ラオスのチャンパーサックにある世界遺産ワット・プーを彷彿させる。まさにヒンディー教遺跡の象徴だ。 -
長い参道が終わりかける左サイドにこのバライ。大きさと深さは十分。
プリアヴィヘアが建立されたのは9世紀の終わりとされているからあのアンコールワットより古い。その頃に水を汲みにいちいち下山するなど到底無理な話。この山の頂で最大の課題は生活水の確保であった事は疑いない。 -
王権のシンボルである狛犬ならぬ狛獅子が。風化の程度が歳月を物語ってる。
ところで昨年ベトナムの山寺ビッドンを訪れた時にも狛獅子があった。アジアを代表する強い動物と言えば一番手にトラなのだがトラが王権のシンボルになっている例は見た試しがない。ほぼ例外なくライオンなのである。これは文化人類学のジャンルなのかも知れないが一体何故なのか、研究に値するテーマだと思う。 -
この丸い穴ぼこはおそらく柱の基礎杭の跡なんだが。でも間隔がバラバラなのはなんでなんで?謎である。
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そして第二塔門か。
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ご覧のように木枠の補強がなければ持たない箇所も多数。全くもってお痛わしゅうございます。
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プリアヴィヘアは山頂にある最終祠堂に向かって一直線に計画されている。
だらだらの坂を上がりながら3つ目の塔門が。 -
第三塔門は最大規模誇る。この古代遺跡のハイライトかもしれない。
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第三塔門の西側の祠堂全景。
壮観、なんだが。 -
倒壊の危機に晒されているのがこのあたり。インドシナ半島は比較的地盤が安定しているとは思うが震度3が来れば大ピンチなのでは。困ったのう。
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これもクメール遺跡ではお馴染みの欄干のナーガ。がしかしナーガの頭部は見る影もない。
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ここは第五塔門だったか。
修復に手がついておらず通ることは出来ない。 -
綺麗に残っている経蔵もある。
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が、中央祠堂の内側はこの状態。
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1100年以上の経年による自然崩壊だと思うがまるでトマホークミサイルを被弾したかの如しである。
こればっかりはなあ。風雪にはかなわない。プリアヴィヘアに罪はない。 -
プリアヴィヘアは危機に瀕する世界遺産の指定には入っていない。
カンボジアとタイの緊張状態が小康した今は人為的な破壊の心配は消えたという判断だとは思うが。
でもね、東南アジアには雨季の大スコールというものがある。大雨に打たれ続けて地盤が緩んだらダメージは蓄積、確実に石積みは崩れますよ。
カンボジア政府が予算不足なら日本がレスキュー隊を組んであげればい。頼むから、頼むから、検討して欲しい。
ほっておくと待ってましたとばかり中国が手を挙げますよ、きっと。 -
最後の祠堂を突き抜けてそのまま進むと岩の上に置かれた小さな祭壇があった。手を合わせてお祈りをする。
で、この先にもう道はない。
道が消えてその代わりに目にとびこんでくるものは…… -
そう、この景色!
眼下に広がるカンボジアの大地である。 -
せり出した岩盤のテラスぎりぎりまでにじり寄って下を見下ろしてみた。
私はどちらかと言えば高度感には耐性があるほうだ。けど、これ以上は無理だった。 -
標高650メートル。
視界を遮ぎるものは何もなし。
紀元900年代に敢えてこの場所を選んで寺院を建立した理由は王権の誇示であると同時に防衛上の優位性からだと思われる。この断崖を這い登って来れるのは間違いなく猿だけだな。 -
この日はるばるプリアヴィヘアを訪れていたのは単独で乗り込んでいた私の他は少人数の団体が4組ほど。日本人も2組いた。なぜか日本人からの支持率が高いのがプリアヴィヘアの特徴かも。記念写真撮影率は推定99パーセント。みな、及び腰に笑顔で記念撮影をしていく。
かつてはロープも無かったようだが今ロープは張られていた。ここに転落防止の鉄柵を設置するような野暮なことだけはしないように。
ツーリスト代表として心の底からカンボジア政府にお願いをしておきたい。
みんなもそう思いますよなあ笑! -
いま一度、パノラミックビューを。
断崖絶壁は旅の華だねえ~
あらためてそう思った。
イエメンのコーカバン村
イスラエルのマサダ砦
中国山西省の懸空寺
スリランカのシーギリヤロック
それにここプリアヴィヘアを加えて世界五大断崖絶壁の名所に私が認定。
断崖マニアの皆さまには是非ともトライしていただきたい。
え仕事?
そんなものはサッサと片づけて。
五大絶壁に立つことは断崖マニアのスタンディングオーダーでしょう。違いますかな? -
断崖テラスを後にして参道を引き返す。第三塔門の東サイドあたりからはタイ領内の大地ビューも見渡せる。
-
カンボジア最暑期の5月。
くたびれてちょうどいい具合の石に腰かけてひと休み、と思ったらおいおい遺跡かよ。
それがプリアヴィヘア。プリアヴィヘアを訪れる方はくれぐれもご注意を。 -
プリアヴィヘア寺院は長らく旅行者が訪れることが不可能な遺跡であった。
余りにも遠い、という理由ではなくポルポト残党軍が撒き散らした地雷の危険やその後のカンボジア政府とタイ政府の領有権争いが立ち入りを禁止にした。だが今は私のようなツーリストがごく普通に入ることができる。
平穏こそが人の自由な往来を可能にする、その素晴らしい手本である。
平穏を取り戻した現在のカンボジアに心から祝福を贈りたい。 -
てなわけで、ご紹介したようにプリアヴィヘア遺跡はアンコールワットより先史に遡る歴史性と類のない特異なロケーションに存在するクメールの至宝、いや秘宝である。
そしてこの秘宝にもいくつかの箇所にレリーフが生き残っていた。 -
その最高峰レリーフがこれ。
乳海攪拌 にゅうかいかくはん
の絵である。
神々と阿修羅がヴィシュヌ神を挟んで大蛇を引っ張り合い海を千年かき混ぜ続けたというヒンディー教の天地創造神話に登場する乳海攪拌。
海をかき混ぜる、という途方もないスケールのこの説話には人の想像力を刺激する不思議な何かがあると思うのは私だけ?
プリアヴィヘアの乳海攪拌は第二塔門の南面上部にある。サイズではアンコールワットの大レリーフにかなわない。が、彫りの深さと彩色の名残りが奇跡的。これは、はるばるプリアヴィヘア参拝に来た人だけへのカンボジアからのプレゼントである。
瞼の裏に焼きつけてお持ち帰りすることをお忘れなく!
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この旅行記へのコメント (1)
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- 世界遺産のアンコールのチュムチュムさん 2017/05/29 23:26:41
- 良い旅
- こんにちは!
私は日本語のガイドチュムチュムと申します。お客様が観光に行った所はとても綺麗な場所ですねぇ!カンボジアの観光に来てくれてありがとうございました。これからもお願い致します。
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