2017/03/19 - 2017/03/19
1160位(同エリア1533件中)
ちゃおさん
長者ケ崎の広い駐車場を出ると、道路は緩い下り坂になる。ここを境にそれまでの葉山町から今度は横須賀市に入る。横須賀と言ったら、東京湾に面する軍港都市というイメージだが、今は市町村合併で、以前は三浦郡だったこの辺りの町村は横須賀市に吸収合併され、今では横須賀市は東京湾と相模灘、両方の海に面する広域都市になっていて、三浦半島を両サイドから支えている。ここをこうして歩かなければ分からないことだった。
今まで上ってきた来た分、ゆっくり下って行くので、昼食の休憩と相まって、足は楽だ。周りを眺める余裕も出てきた。前方に三浦半島、右手が相模湾。海に面してリゾート風の建物や結婚式場、日本の湘南地方は芦屋同様リッチな人々の代名詞だ。湘南ビーチボーイズ。車も湘南ナンバーへの憧れがあり、そのナンバープレートを付けた車が走っていると、如何にもお金持ちそうに思える。本当にこの辺りは湘南族が住むに相応しい南国風の瀟洒な建物が多い。しかし不思議なことに車のナンバーは湘南ではなく横浜。逆に湘南地方とは思えない、足柄市とか山北郡、箱根町の山の中の町村が湘南ナンバーになっている。この辺りの湘南貴族はどんな気持ちで見ているだろうか・・。
漸く長い下り坂を下り、平地に差し掛かって暫く歩くと、左側に「前島密翁の墓所」と書かれた石碑が見えてくる。明治の初め、日本の郵便制度を作り上げた前島男爵の墓地がここにあるのだ。それは道路から少し中に入った浄楽寺という境内にあり、前島翁が現役を退いた後、この寺の境内に別荘を建て終の棲家とし、併せ墓所と定めた。温暖で風光明媚なこの土地、天気が良い日には相模湾越に富士山も見えるだろう。
名は体を表す。密だったから郵便事業に特化したのか、郵便事業を確立し、「郵便の父」と呼ばれるようになって後に名前を密に変えたのか、自分には分からないが、いずれにしても通信の秘密は憲法で保障されていて、手紙は密だ。と、寺門の横に「國寶三尊佛」と書かれた古い石碑が見える。戦前の国宝だ。ああ、ここが芦名の浄楽寺なのか。運慶の三尊仏。一人旅だったら当然立ち寄る場所だが、今でも遅れがちな歩行で、皆さんには迷惑を掛けている。取り敢えず写真だけ撮って先を急いだ。
長者ケ崎から約5キロ、漸くコンビニの看板が見え、ここで小休止する。ファミマの100円コーヒー、シロップをたっぷり入れて疲労回復に努める。いつが最後か、どこが最後か、と最後がどんどん先に延びて、とうとうここまでやってきた。ここは自衛隊武山駐屯地前のコンビニで、行程表を見ると既に22キロ以上は歩いている。
一杯のコーヒーで再び元気を取り戻し、皆さんの後を付いて行く。右側の自衛隊の長いフェンスを通り過ぎると畑地に出て、一面が三浦野菜、三浦大根の生産地になっている。地味は豊かそうだ。畑中を歩く行軍。落伍したら敵に首を掻かれる思いで、必死に後を付いて行く。三崎駅前に向かって又上り坂になる。しんどい事甚だしい。本当に今度こそ駅まで行ったらギブアップしよう。兎も角駅までは頑張ろう。駅までの緩い勾配を登り終え、駅の際のコンビニで漸く休憩となった。
- 旅行の満足度
- 4.5
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長者ケ崎からの海岸沿いの緩やかな下り坂を下り、横須賀郊外の集落を歩くこと約5キロ、道路の左に「前島密翁の墓所」との石碑が立っている。
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ここは前島翁が最後の余生を過ごした浄楽寺だ。
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寺門の横に「國寶三尊佛」と彫られた古い石碑が立っている。ああ、ここが運慶の三尊が祀られている芦名の浄楽寺なのだ。
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そこから少し歩いた先に自衛隊武山駐屯地があり、その前のコンビニで一休み。
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武山駐屯地。ここは陸自と海自の両方の部隊が共用している。日本版海兵隊、陸戦隊の訓練でもしているのか・・。
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シロップをたっぷり入れたホットコーヒーで、足の疲れもやや回復し、次のポイント、京急三崎駅に向かう。
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駐屯地から1時間半、三浦台地の畑の中を歩き、漸く三崎駅前に到着した。ここまでの総距離、約28キロ!
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