2016/05/17 - 2016/05/17
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frau.himmelさん
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私の旅のテーマ『国境を越えて日帰りの旅』、今回はオーストリアのウィーンからハンガリーのショプロンへまいります。
ショプロンといえば思い出されるのは、ベルリンの壁崩壊の端緒となった「汎ヨーロッパピクニック事件」。
オーストリアの国境に食い込んでいるこのハンガリーのショプロンから、西ドイツに亡命を求める大勢の東ドイツ市民が、国境を越えて逃亡に成功した歴史的事件です。
私としてはこの現場に行ってみたいという気持ちはヤマヤマなのですが、それにはショプロンからバスで途中まで行き、そこから30分ほど歩かなければならないとのこと。70歳優に超えのシニアにはちょっと無理だとあきらめました。
国境の街ショプロンには、私がまだツアーでヨーロッパをあちこち旅行している頃二度ほど訪れています。
その時はただ付いていくだけの旅でしたので、単にきれいな街だったという記憶しかありませんが、その後調べてみるとこのショプロンという街、歴史的にも大変面白い経緯を経ているのですね。
第一次世界大戦終了後、ショプロンはオーストリアかハンガリーのどちらの国に属するか、住民投票で決められることになりました。そして65%の市民がハンガリーに帰属することを選んだのです。
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ウィーンのホテル、モーテルワン・ハウプトバーンホフの朝食。
4泊のうちこの日だけは朝食を付けました。朝食料9ユーロ。
あまり種類はありませんが、今日はこれから遠出をしますので、一日くらいホテルでいただきましょうということで。
朝から凄い食欲、いえこれは私のではありません。 -
今日のチケットは「アインファッハ・ラウス・チケット」。
券売機の最上段右側を選びます。
これで1日中オーストリアを周遊することができます。ドイツのバイエルンチケットのようなものですね。
これから私たちは、オーストリアとハンガリーの国境ショプロンまで行きますが、このチケットでOKです。その後、時間があれば、ハイドンゆかりのアイゼンシュタットにもこのチケットで行く予定です。
料金3人で37ユーロ。
ウィーンからショプロンまでの普通運賃が一人片道16.5ユーロですから、それだけでも3分の一くらいのお値段ですみます。 -
安いお得なチケットを探すのも私の楽しみ。
ショプロン行のオーストリア鉄道REXはガラガラ、
ゆっくりとくつろいで行くことにします。 -
ショプロンはオーストリアとの国境、ヘソのようにオーストリア側に食い込んでいます。
私のもう一つの楽しみは国境線を探すこと。何か目印がないかとさっきからじーっと車窓を凝視しています。
でも残念ながら「ここはどこ?」状態、オーストリアなのかハンガリーなのか? -
よく分からないうちにショプロンに到着。
あちらに停車している黄色とグリーンの列車はRaaberbahn。
ラーバーバーンとは、ハンガリーとオーストリア政府の合弁により設立された鉄道会社です。 -
こちらが私たちが乗ってきたオーストリア鉄道のREX。
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息子さんが鉄道ファンのK氏は、駅の端に停めてあったSLを目ざとく見つけて写真を撮っていました。
さすが~~。
私はこんなものがあることさえ気が付きませんでした。 -
ショプロン駅構内。
なんとなくオーストリアの駅とは異なる色彩を感じます。 -
駅を出て3人で町の方に歩いていると、突然恰幅のいい男性に声をかけられました。
「日本から来たのかい?」
「そうですよ。」
「東京からかい? わしは昨年(?)東京に行ったんだよ。」 -
「東京の国技館で相撲のエキシビションに出たんだよ。
ほら、これがわしだよ。」
ってスマホの画面を見せてくれました。 -
あらホント!
この後京都に行ったんだよーって話や、日本はどうでしたか?って話をしたり、3人で順番に記念撮影をしたり、すっかり盛り上がっていると向こうから
「パパ、まだぁ~~?」って娘さんの声が聞こえました。
あわてて「チュース!」って飛んで行ったアンコ型の異国のお相撲さんでした。
I女史と記念撮影。 -
駅前の人気のない通りをしばらく歩くと緑地帯に出ます。
公園になにやら歴史ありげなモニュメント。
ハンガリー語(マジャール語)の説明文はさっぱりわかりません。 -
マジャール語が全く読めなくて、少々ストレス気味のところへ懐かしい名前が。
「パイオニア」・「デンオン」・「ヤマハ」・「ソニー」・「パナソニック」・「オンキョー」・・・。
日本バンザ~~イ! -
ほんとに人気のない通り。静かです。
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この立派な教会には帰りに寄ります。
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その先にも公園が。
皆さんでお花の植え替え作業をやっているところです。 -
「戦争犠牲者の碑」。
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公園から見えるあの宮殿みたいな立派な建物は何?。
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入口の案内板でわずかにわかる単語で推測するに、ギムナジウム。
小学校のようです。 -
ウェルカム「SOPRON」
カラフルな立体文字。 -
ここはハンガリーが生んだ音楽家フランツ・リストの博物館であり、ショプロンの観光案内所なのです。
ここでやっとショプロンの地図をゲット。 -
旧市街は馬蹄形のコンパクトな地形です。
徒歩でも十分回れる広さです。 -
建物の横にはフランツ・リスト像。
リストとショプロンの関係については後ほど詳しく。 -
本当に静かな街です。
路地裏では二人の奥様が立ち話している以外、人の姿はありません。 -
小路の奥の方に小さな教会が見えます。
1864年に建てられたウルスラ教会。ネオゴシック様式です。 -
内部もこじんまりとまとまって、豪華じゃないところがステキ。
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祭壇。
ブルーの衣をまとった聖母マリア様。 -
ステンドグラスも清楚でかわいい。
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なぜか漫画チックな張り紙が貼られている説教壇。
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教会前に広場には、18世紀に造られたマリアの泉。
十字架を手に持ったキリストとマリアの聖母子像。 -
この素敵な小路にも人影を見かけません。
静かなガッセに敷き詰められた石畳が歴史を感じさせます。 -
そんな一角にあったプレート。
マジャール語ですから読めませんが、なにやら見覚えのある単語がいくつか。
Auschwitz-Birkenau(アウシュヴィッツ、ビルケナウ)、Hurcoltってホロコーストのこと!(赤線の部分) -
こんな荒れた家や、
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中にはこんな国旗を立てた建物もあります。
ところが・・・。 -
上を見ると、布の幕が凧のように揺れています。そこには人物の写真が。
ショプロンに住んでいたユダヤ人で、アウシュヴィッツなどに送られホロコーストで亡くなった方々の写真です。 -
左の男性は1889年生まれで1944年に亡くなっています。
右のつぶらな瞳の女の子は、1942年生まれで1944年に殺されました。
まだ2歳でした。
なんとひどいことを・・・。 -
この少女は1933-1944ですから11歳で殺されているのです。
この聡明な少女の笑顔を見ていると、ナチスの台頭でユダヤ人への迫害さえなかったら、裕福な家庭で幸せな一生を過ごすことができたのでしょうね。 -
ここにシナゴークとあります。ユダヤ教会です。
ユダヤ人は13世紀ごろからショプロンに住み着いていましたが、1526年に追放されました。シナゴークも破壊されました。
18世紀になってユダヤ人がショプロンに戻ってきて、このユダヤ礼拝堂を再建して現在に至るそうです。
こちらは旧シナゴーク。 -
旧シナゴークの向かい側の通りに新シナゴークができました。
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シナゴークは通りに面して建てることは許されなかったので、門より奥まった所にあります。
中に入ってみます。 -
何かの展示場になっているようですが、扉がピタッと閉まっています。
なにか入るのに気後れがして中に入ることができませんでした。 -
ユダヤ教に何か関係のあるモニュメントでしょうか。
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ここにさっきの11歳で亡くなった少女の像があります。
その前には小石がうず高く積まれています。
ユダヤ人は、お花に代えて悲しみの小石を供えます。 -
この付近がショプロンのユダヤ人ゲットー地区だったのでしょうか。
ショプロンの街の散策を始めた早々、暗い歴史に遭遇しショックを受けたシニア3人、口数少なく歩きました。 -
さて、気を取り直して・・。
正面に15世紀に建てられたショプロンのシンボル、火の見の塔の門が見えます。
右側手前は市庁舎。 -
広場中央には三位一体像があります。ウィーンのグラーベンでも見かけたペスト柱です。
猛威を振るったペストから逃れることができたことを神に感謝して建てられたものです。 -
三位一体とは、キリスト教の教えで、父(神)と子(キリスト)と聖霊が一体になることを意味します。
ここでもウィーンの三位一体像と同じく、神とキリスト、それにハトが精霊です。 -
6年の歳月をかけて1701年にバロック様式で完成しました。
碑銘の両横で跪いているのは、この像を建てたローエンブルク夫妻です。 -
三位一体柱を取り囲む広場の周りには、歴史的な建物が立ち並んでいます。
正面の館はシュトルノの博物館。右は市庁舎。 -
その他貴族や市長が住んでいた館。
今はレストランや博物館、住居になっています。 -
13世紀末に建設されたハンガリーのゴシック建築を代表する山羊教会。
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山羊が埋蔵金を掘り当てたので、敬虔なキリスト教徒だった飼い主は教会建設のために寄付をしました。
それにちなんで山羊教会と名前が付けられました。 -
教会を寄進したカイゼル家の紋章は山羊。
正面には山羊の紋章が飾られています。
1676年ショプロンは大火に見舞われましたが、教会はかろうじて全焼を免れました。 -
教会の内部には、聖母マリアの被昇天の絵が飾られた祭壇が置かれています。
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説教壇。希望と愛情を象徴する黄金の像。
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説教壇。かわいらしい天使たち。
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説教壇。見事な装飾模様です。
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ステンドグラス(左側)。
真ん中に小さく見えるのはハンガリーの紋章。 -
右側のステンドグラスにはオーストリアの紋章が見えます。
ハンガリーとオーストリア帝国との複雑に絡み合った関係が、この二つの紋章に表れています。 -
パイプオルガン
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天井模様
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山羊教会の見学を終えて外に出たら、三位一体像の周りには大勢の観光客が。
やっと観光の街ショプロンらしい雰囲気になりました。 -
私たちは火の見の塔の門をくぐります。
この門は「忠誠の門」と呼ばれます。 -
第一次大戦後、ショプロン市民はオーストリアを選ぶかハンガリーを選ぶかの選択を迫られました。
住民投票の結果、ショプロンの住民はハンガリーに帰属することを選びました。 -
旧市街の正門には、町の700周年を祝って1977年に作られた「街の鍵」が飾られています。
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狭い町なので、もっと簡単に旅行記も終わると思っていました。
いつもウダウダとした旅行記で申し訳ありません。もう1回ショプロン篇が続きます。
次回は城門に沿って街を歩いたり、ミニ観光バスにも乗ります。
それにショプロンにゆかりのフランツ・リストのこと、またエステルハージ家に深い関係があるハイドンの事もまだ残っています。
それに駅であった怪しい親子連れのあきれた要求・・。
なんだかまだいろいろ書き残しがありますね。
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この旅行記へのコメント (4)
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- ペコリーノさん 2018/05/15 21:25:30
- ベルリンの壁の崩壊
- frau.himmelさん、こんにちは
先日、TV番組で池上彰さんがベルリンの壁の誕生から崩壊までの説明をしてくれるものがあり、私もショプロンへ行ってみたくなりました。旅行記を調べたらやっぱりhimmelさんはいらしてましたね。
氾ヨーロッパピクニック計画の 場所は行きにくい場所でしたか。TV番組では、計画の当事者の方も出演されてました。現在はその記念に、当時の鉄条網や監視塔も残されているらしいですね。himmelさんはこの番組をご覧になりましたか?
私は今は、この番組の録画を見て満足することにします。
いつか行ってみたいです。
ペコリーノ
- frau.himmelさん からの返信 2018/05/17 22:06:13
- RE: ベルリンの壁の崩壊
- ペコリーノさん、こんばんは。
返信遅くなってごめんなさい。
シニア3人組の出発を数日後に控えて、今更ながら資料集めにやっきになっています。
ペコリーノさんの旅行記は今回も随分参考にさせていただいています。ありがとうございました。
池上彰さんのTV番組は残念ながら見ておりません。でもショプロンは同じく旅番組を見て、素敵な街だな〜と思い行ってまいりました。
もちろんヨーロッパのピクニック計画の場所に行けたらこんなにうれしいことはなかったのですが、バスは途中までしか行かないし車がなければ無理だとあったので、そこは諦めました。ショプロンの街自体もとても素敵でしたよ。
3人組の今回の旅は、ピクニックのショプロンと共に、ベルリンの壁崩壊の端緒となったもう一つの街、ライプチヒにも寄るつもりです。
ペコリーノさんにとっては思い出深い(?)街ではありませんか?
今回はペコリーノさんの旅行記を拝見して、「カフェ・バウム」には是非とも行きたいと思っています。
では、行ってまいります。
himmel
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- ハッピーねこさん 2016/11/03 01:39:50
- 美しくもいろいろな歴史に彩られた街
- himmelさん、こんばんは。
ショプロン・・・初めて聞く街です。
様々な大国の支配下に置かれたり、戦争で大きな影響を受けたり・・・
ヨーロッパには本当にいろいろな歴史に左右され、それが色濃く残る街が多いですね。
ウィーンから日帰りの旅、うらやましいです。
私は今年の旅は初めてドイツオンリーだったのです。
いつもフランスやスイスやオーストリアや、どこかしら隣国を訪ねてきましたので
ドイツだけでももちろん満足なのですが、どこか物足りないようなさみしいような・・・。
ドイツ自体も訪ねきれている街の方が圧倒的に少ないのに、なんと気の多いこと、
という感じですが、国境を越えるってそれだけで気持ちの高揚がありますよね。
後編も楽しみにさせていただきます。
ハッピーねこ
- frau.himmelさん からの返信 2016/11/04 20:30:48
- RE: 美しくもいろいろな歴史に彩られた街
- ハッピーねこさん、こんばんは。
2日から出かけていまして先ほど帰ってまいりました。
返信が遅くなってごめんなさい。
ショプロン編を見ていただいてコメントありがとうございます。
そういえば、ハッピーねこさんの今回の旅はドイツのみでしたね。
いつもフランスやオーストリアなど近隣諸国を絡めて旅をしていらっしゃっているのに。
私もドイツのみが多かったのですが、何年か前から、「国境を越えて日帰りの旅」や「徒歩で国境を越えよう」をシリーズ化しています。
ヨーロッパの国々がシェンゲン協定で結ばれてから、それが簡単にできるところが素晴らしいですね。
今回訪れたショプロンはハンガリー国なのに、ブダペストからよりウィーンからのほうが近いのです。きれいな街ですよ。
私が留守にしています間、ハッピーねこさんはいくつか旅行記をアップされていますね。
後ほどうかがわせていただきます。
himmel
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