2016/03/09 - 2016/03/12
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ちゃおさん
泥岩に流麗な文字で彫られた「前・後・出師表」が掲げられた回廊を出ると、そこはちょっとした中庭になっていて、周りの建物を取り囲むようにして小奇麗な築山、池などもある。中庭の一角に桃の木があり、丁度今満開になっている。この土地の気候は桜と桃が同時に花開くようだ。桃の花に見とれていると、何人かの中国人観光客が木の傍に行って記念写真を撮っている。中国人の好きな桃の花。当方も写真を撮ろうと近づいていくと、「桃園」と書かれた石碑が立っている。「桃園」?? ああ、そうか、ここは「桃園」で、中国人は三国志演義の故事を知っていて、競ってこの桃の花の下に立って記念写真を撮っていたのだ・・
痛快歴史読み物「三国志演義」。現代のような多種多様な遊びやレジャーの少なかった昔の青少年は吉川栄治の太閤記、或いは徳川家康、丹下左膳、大菩薩峠等々の長編歴史物を読む機会が多く、そうした中にこの「三国志演義」もあった。自分もいつの頃か読んだ筈だが、今は中身は殆ど忘れてしまっている。しかしこの「桃園の誓い」はまだ尚、薄っすらと覚えていた。いや、それは本の中ではなく、紙芝居で見た記憶だったか・・。
後漢末、国が乱れ、各地に群雄割拠していたが、その頃、桃の木の下で劉備と関羽、そうれに張飛の3人が出会い、盟友となり、3人力を合わせ国を治めることを誓った。義侠の3人は死ぬまで力を尽くし、漢の後継、蜀漢を造ったが、魏との戦いの中で死んでいった。義理人情は日本人の専売特許かと思っていたが、1700年前の中国人も持っていた。いや、それよりもずっと昔の孔子の時代にも既に仁義礼智信は言われ続けていた。本来は義に篤い国柄なのだ。
そうした故事を知ってか知らずか、若い中国人女性が満開の桃の下でしきりに写真を撮っている。そんな合間を見つけ、自分も1枚。良い記念になった。こんな場所で又「桃園の誓い」を思い出すとは・・。
- 旅行の満足度
- 4.5
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