8月の盆休み明けに約10年ぶりにメキシコに入国し、出張の合間に世界遺産の「ケレタロ歴史的建造物地区」を訪れることができた。この地域は中央高原と呼ばれ、標高2,000m近い高原の上にある。近年インフラの整備が進み、多くの日系企業が進出している。かつて安い人件費を活かして、太平洋に面するバハ・カリフォルニア州のティファナ地域に電気機器メーカーを中心とする日系企業が多く進出していた。しかし多くの企業は、更に人件費の安い中国に生産拠点を移してしまい優位性を失った。変わって浮上したのが、世界最大の都市の一つメキシコシティ（人口約2,000万人）を擁する中央高原である。<br /><br />メキシコの面積は日本の約5倍、総人口は約1.2億人で世界第11位、スペイン語圏では世界最大の人口を持つ国だ。2002年にティファナに長期に滞在していたため、メキシコの複雑な国情や犯罪のリスクについてはある程度の知識は持っていた。しかし、中央高原地域は全く馴染みがなく、ケレタロという街についての知識は皆無、しかもこの街の旧市街が世界遺産に登録されているとは全く意外であった。<br /><br />ケレタロはメキシコシティから北西約200kmにあり、ケレタロ州の州都で最大の都市、人口は約75万人である。街は1531年にスペイン人入植者によって建設され、17世紀から18世紀には周囲の銀山から産する銀の輸送の要衝として町が発展し、美しい街並みが作られた。街の中心部は石畳の道にコロニアルな街並みが広がっており、あちこちにバロック式の教会が建っている。<br /><br />またローマ時代の遺跡か、と見まがうような水道橋が郊外にある。この街の象徴とも言える水道橋の長さは1280mで74本の優美なアーチを持つ。1738年に当時の水不足の解消のため、この街の資産家ウルティア侯爵がメキシコシティの建築家を招き、スペインのセゴビア水道橋を真似て建造させたそうだ。この歴史の残る地域が「ケレタロ歴史的建造物地区」として世界遺産に登録されている。<br /><br />今回の出張では、ほとんど観光を楽しむ余裕はなかったが、メキシコの世界遺産としては、メキシコシティ歴史地区、テオティワカン遺跡に次いで3ヶ所目になる。中央高原の周囲にはサン・ミゲル・デ・アジェンデ、グァナファト、モレリアなどスペイン統治時代の世界遺産が点在しており、またこの国の東部にはマヤ文明の遺跡が点在している。32ヶ所の世界遺産を擁するメキシコ、残りの世界遺産を訪れるのを今後の楽しみにしておこう。<br />

メキシコの世界遺産No.3：ケレタロの歴史的建造物地区と水道橋

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2015/08/16 - 2015/08/22

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#世界遺産

ハンクさん

8月の盆休み明けに約10年ぶりにメキシコに入国し、出張の合間に世界遺産の「ケレタロ歴史的建造物地区」を訪れることができた。この地域は中央高原と呼ばれ、標高2,000m近い高原の上にある。近年インフラの整備が進み、多くの日系企業が進出している。かつて安い人件費を活かして、太平洋に面するバハ・カリフォルニア州のティファナ地域に電気機器メーカーを中心とする日系企業が多く進出していた。しかし多くの企業は、更に人件費の安い中国に生産拠点を移してしまい優位性を失った。変わって浮上したのが、世界最大の都市の一つメキシコシティ（人口約2,000万人）を擁する中央高原である。

メキシコの面積は日本の約5倍、総人口は約1.2億人で世界第11位、スペイン語圏では世界最大の人口を持つ国だ。2002年にティファナに長期に滞在していたため、メキシコの複雑な国情や犯罪のリスクについてはある程度の知識は持っていた。しかし、中央高原地域は全く馴染みがなく、ケレタロという街についての知識は皆無、しかもこの街の旧市街が世界遺産に登録されているとは全く意外であった。

ケレタロはメキシコシティから北西約200kmにあり、ケレタロ州の州都で最大の都市、人口は約75万人である。街は1531年にスペイン人入植者によって建設され、17世紀から18世紀には周囲の銀山から産する銀の輸送の要衝として町が発展し、美しい街並みが作られた。街の中心部は石畳の道にコロニアルな街並みが広がっており、あちこちにバロック式の教会が建っている。

またローマ時代の遺跡か、と見まがうような水道橋が郊外にある。この街の象徴とも言える水道橋の長さは1280mで74本の優美なアーチを持つ。1738年に当時の水不足の解消のため、この街の資産家ウルティア侯爵がメキシコシティの建築家を招き、スペインのセゴビア水道橋を真似て建造させたそうだ。この歴史の残る地域が「ケレタロ歴史的建造物地区」として世界遺産に登録されている。

今回の出張では、ほとんど観光を楽しむ余裕はなかったが、メキシコの世界遺産としては、メキシコシティ歴史地区、テオティワカン遺跡に次いで3ヶ所目になる。中央高原の周囲にはサン・ミゲル・デ・アジェンデ、グァナファト、モレリアなどスペイン統治時代の世界遺産が点在しており、またこの国の東部にはマヤ文明の遺跡が点在している。32ヶ所の世界遺産を擁するメキシコ、残りの世界遺産を訪れるのを今後の楽しみにしておこう。